tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

高付加価値経営と付加価値率

2014年07月20日 12時20分39秒 | 経営

高付加価値経営と付加価値率<2008年1月4日付のリメイク版>
 前回も、実質付加価値労働生産性が重要概念と書いて来ましたが、日本人は1人当たり年間にどのくらいの付加価値を産出しているのでしょうか。
 この統計はOECDが出していますが、2012年で、35,202ドル(約350万円)です。OECD加盟国の中では、34か国中18位で、あまり高くありません。
 この数字は、OECD発表の購買力平価を使って、全ての国のGDPをドル換算していますから、理論上は実質値という事になります。

 アメリカは51,689ドル、スエーデンは43,176ドル、ドイツは41,231ドルですから、日本の数字は、アメリカの68パーセント、スエーデンの82パーセント、ドイツの85パーセントという事になります。

 一人当たりのGDPというのは通常、その国の国民の豊かさを表す指標という形で比較されることが多いのですが、見方を変えれば、日本人の生産性は、これらの国に比べて、それだけ低いという事です。
 日本人は勤勉でよく働く、技術水準も高いと内心思っていますが、少し違うようです。

 何故、こんなことになっているのでしょうか。原因はいろいろあると思います。日本のGDP は「失われた20年」で1990年代からほとんど増えていないという事もあるでしょう。さらにその原因(QCではナゼを5回繰り返せと言います)は、この間不況で生産性を上げるような経済活動が出来なかった。(なぜ不況になった?・・・以降はこのブログでずっと取り上げて来ました)

 これから日本は此の遅れを取り戻さなければなりません。そこで先ず「高付加価値経営」という事になります。日本の経済・社会全体が高付加価値になる必要があります。一人一人の日本人が、より高い付加価値生産に貢献するためにはそれぞれの場所で「生産性」を上げなければなりません(生産性=付加価値/従業員数)。

 という事でこれを企業レベルに落としてみましょう(日本の生産活動のほとんどは企業が行っています)。
 グローバルに競争が進展する社会です。企業にはますます高付加価値経営が求められます。端的にいえば、「使う原材料は同じでも、出来た製品の機能・性能は格段に優れている」といったことで、優れた創造性や技術力によるものということが出来ましょう。

 では具体的に、高付加価値経営を示す指標は何かといえば、それは「付加価値率」ということになります。

   付加価値率 = 付加価値/売上高×100  (100をかけるのは%表示にするため)

ということになっています。上の式の右項のうち、「売上高」はすぐわかりますが、「付加価値」は解りにくいと仰る方もあるかもしれません。付加価値は、その企業が外から買ってきたものやサービスの値段(外部からの購入費用)にその企業の活動によって「付け加えた価値」で、「外部からの購入費用」と「付加価値」を足せば売上高(100%)になります。ですから、売上高のうち付加価値の分が何%かが「付加価値率」です。

 付加価値率はその企業の活力の指標だといわれます。付加価値率が上昇傾向の企業は元気に発展する企業、元気のない企業は、付加価値率が下がりがちになります。

 あなたの会社は如何でしょうか。ここ数年のあなたの会社の付加価値率の動きをグラフにしてみれば、何か得るもの、感じるものがあると思います。