tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2015年7-9月GDP速報:緩やかな上昇傾向維持

2015年11月20日 11時03分07秒 | 経済
2015年7-9月GDP速報:緩やかな上昇傾向維持
 11月の16日に標記の第1次速報が発表されました。大方の見出しは2四半期連続のマイナスで、景気は足踏みといったものでした。
 
 ただし基本的な見方は、どちらかというと楽観的で、民間在庫が減ったのが響いていて、これは在庫調整が進んだからで、これからは在庫積み増しの可能性もあり、基本的には日本経済は、緩やかながら上昇のプロセスにあるといったものでした。

 日銀の黒田総裁も、日本経済の回復基調は変わらないということで、当面金融政策は現状の緩和政策を維持ということです。

 一部投機筋などに更なる緩和の期待があり、それを予測する意見もありましたが、日本経済全体や円レートを通観すれば、これ以上の緩和は、百害あって一利なしというのがまともな見方でしょう。

 ところで、GDP速報で発表された数字を「トレンドを見る」という視点で対前年同期比の実質成長率(民間部門のみ)で見てみますと、以下のような動きになっていて、「なんだ、やっぱり段々良くなっているじゃないの」といった状況なので、少し数字を並べてみます。

 数字を5つ並べますが、2014年7-9月期から2015年7-9月期の5四半期の「対前年同期比」の伸び率です。プラスなら、1年前より良くなっているということになります。

国内総生産(GDP)  ‐1.4  ‐0.9  ‐0.8  1.0  1.0
民間最終消費支出    ‐3.0  ‐2.4  ‐4.0  0.4  0.7
民間住宅       ‐12.4 ‐15.5 ‐15.4 ‐3.3  5.7
民間企業設備       1.4   0.2  ‐1.4  1.4 ‐0.3

 基本的に、昨年のマイナスには、消費税増税後という特殊事情のあることは否定できません。しかしこうした特殊要因を除けば、1パーセント程度の基調的上昇というトレンドは見えるようです。

一番下の民間企業設備は、変転著しい国際環境も含め確かに出入りはありますが、最も不振とみられている民間最終消費支出も、次第にマイナスから、正常状態としてのプラスに転じ、弱々しい伸びではありますが、ゆっくりと上昇に向かっているように感じられます。
 問題はこれまでも触れてきましたように、家計の消費支出をいかにして伸ばしていくかでしょうか。