tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「景気動向指数」下げ止まりの中身は?

2019年07月08日 22時11分54秒 | 経済
「景気動向指数」下げ止まりの中身は?
 参院選のスタートと時を同じくして「景気動向指数が下げ止まった」というニュースが飛び込んできました。

 タイミングよく、与党に都合のいい統計の発表という事になったのかもしれませんが、米中貿易交渉、日米FTA交渉も控えて、産業界には不安も走っている中で、「下げ止まり?」といぶかる向きもあったようです。しかし、統計は統計です。信用すべきでしょう。

 今回の景気動向指数はこの5月の統計数字がほぼ出そろったということで、それらを合成した指数という事です。5月は10連休もあったりしたので、その前後の動きがそろってから本当の様子が見えてくるもかもしれませんが、5月時点の数字でも、今の日本経済の特徴がよく出ているように思うので、直接、原数字にあたることにしました。

 政府発表の中心は、9項目の「一致系列」の前月比増減の寄与度です。しかし、年間の動き見るといったことになると、一致系列の各月の指数そのものを見た方が感じがつかめます。
(指数では、所定外労働時間と営業利益はまだ数字が未発表で7項目です、寄与度の方はこの2つも傾向から推計して9項目になっています)

 下は、指数表示(2015年=100)の4項目の動きです。生産出荷関係の企業活動を示すものですが、3月頃までは何かもたもたですが4~5月は上がってきています。特に5月の工鉱業生産は急上昇です。

一致系列のうち生産出荷関係項目


 次に、こちらの項目はは指数ではなく、対前年同月比の伸び率です。有効求人倍率(実数値)はほとんど横ばい、卸売りの売上高は急減、小売りの売上高は5月に微かに増加、といった状況です。

一致系列のうち卸・小売売上高+有効求人倍率


 毎月見ている勤労者所帯の平均消費性向(家計調査7日発表)も、昨年5月の96.3%から98.3%と、久方ぶりの上昇でした。
(休みが多く収入は増えなかったが、10連休で支出は増えたという事のようです)

 その結果、政府発表のCIの寄与度では、一致系列総合で、1.1ポイントの上昇になり、2か月連続上昇で「下げ止まり」ということになったわけです。

 現実の各指標の動きは図の通りですが、一見して特徴的なのは、生産出荷関連は上昇ですが、販売業の売上高方はほとんど改善はないという状況です。一致系列には消費支出関連はありませんから、消費については家計調査を見るよりないのですが、これは10連休の影響で増加(前述)しているようです。

 確かに鉱工業の生産出荷は、不安な国際情勢の中で意外に堅調です。ただ、基調的増加なのか、何かの理由で駆け込み的なものがあるのかは、今後の動きを見るまでは不明です。

 そして明らかなことは相変わらずの消費不振の様相が顕著なことです。
 このブログでは、日本経済は「投資中心、消費不振の片肺飛行」と指摘してきていますが、この状況は基本的には変わっていないようです。

ヘイケボタルの最盛期に入りました

2019年07月07日 22時47分32秒 | 環境
ヘイケボタルの最盛期に入りました

 6月5日に、ゲンジボタルの報告をしましたが、ちょうど1か月遅れて今がヘイケボタルの孵化の最盛期のようです。

 比較的気温の低い昨日、今日は、1匹の羽化ですが、一昨日は5匹、その前は3匹といった状態で、羽化直後に捕まえて籠に入れていますので、合計は20匹を超え籠の中は大分賑やかです。

 羽化の時刻は決まって8時前後、その時刻にU字溝の周囲の草むらをくまなく探し、捕まえて籠に収納、来年のための産卵を期待するわけです。

 ヘイケボタルの体長はほぼ1㎝で、ゲンジ(1.5~2㎝)よりだいぶ小さいので発光部分も小さいですが、光の強さはそんなに変わりません。

 ゲンジの光り方は、ゆっくりと点滅ですが、ヘイケの場合は、チカチカと忙しく点滅します。星に例えれば、ゲンジは惑星の安定した光、ヘイケは恒星の瞬きと言いたいような気がしています。動画でお見せできないのが残念です。

 産卵用のミズゴケを敷いた籠は、生ごみ乾燥用の籠を改造したもので、置く場所はU字溝の上です。
 これは経験で解ったことですが、以前、家の中において鑑賞していて、中々元気に光ってくれないので、庭に出してU字溝の上に置いたところ、急に元気よく光りだしたと経験をしました。
 やはり下に水があるかどうかで全く違うようです。写真は以前載せた「U字溝の上に置いた籠」で、暗くなるとこの中で活発にチカチカト゚光ります。

世の中、何か不穏になってきました

2019年07月05日 23時40分27秒 | 国際関係
世の中、何か不穏になってきました
 参院選が始まって、根拠や実効性に乏しいようなことが平気で政治家の口から出るようです。日本の選挙戦は以前からこんなものだったのでしょうか。もう少し控えめで、もう少しまともだったように感じるのですが、どうでしょうか。

 そんなことを考えていたら、アメリカでは、トランプさんが独立記念日を「戦力誇示の日」に置き換えるようなことをやっているニュースが飛び込んできてビックリです。
 大統領選挙の品のなさに驚いていたら、今度は、独立記念日を戦力誇示の場にするという異常なことが白昼平然と行われたのです。

 もちろん報道では「こんなのは本来のアメリカではない、熱狂する人もいるが大多数のアメリカ人は違う」という市民の発言も紹介されていましたが、やはりトランプさんが選ばれたという現実な重く、今のアメリカの大衆はどっちなのかが心配です。

 日本でも、参院選で同じようなことが心配されます。日本をもう一度戦争をする国にしたいという意見もあるようですが、「大多数の日本人は違う」という意見の方が真実だと多くの人は言いながら、選挙では改憲賛成派が勝つという予想のようです。

 アメリカが南シナ海に空母を出し、中国は軍事演習で南シナ海にミサイルを発射しました。より多くの国民はそうした意地の張り合いを是としているのでしょうか、それとも非としているのでしょうか。

 安倍さんがイランを訪問して、全く冷静と思われるロハに師と平和を願う話をしました。しかし、イランは核合意を拒否したトランプさんとの直接対話は拒否し、ウラン濃縮をさらに進めるようです。

 中国やイランは、通常の民主主義の国とは違うのだという見方もあります。思想や宗教が政治の上にあるという事でしょう。
 しかし、今のアメリカは、通常の民主主義の国でしょうか。トランプさんのツイートによって動く国のように感じる人は多いでしょう。

 国際情勢における何かしら不穏な状況がいつの間にか、かなり進んできているような気がするのは、私だけでないと思います。
 荒天での山登りではありませんが、「引返す勇気」を持っている人が、だんだんいなくなるという恐ろしい状態を想定したくないですね。

参院選の争点年金論争の不毛

2019年07月04日 23時26分06秒 | 政治
参院選の争点年金論争の不毛
 先日、老後生活の安定には年金にプラスして2000万円ほど用意してくださいという金融庁の報告書(年金審議会答申)が麻生さんから受け取り拒否されたことで、年金問題は今次参院選の一大争点になった感があります。

 もともと、消費不振の大きな原因として年金不安(不信)があることは政府もよく認識しているのでしょう。いささか無理して「100年安心プラン」等という中身のないスローガンを掲げていました。

 早速始まった選挙演説を聞いていますと、安倍さんは舌鋒鋭く、野党は財源の説明もなく「安心できる年金」をというが、年金積立金には限りがあるという主張のようです。 
 年金は平均で議論しても意味はない、個々人の差が大きいので個別に議論しなければ…」といった指摘もしています。

 安倍さんの頭の中には、消費税の増税に反対していながら年金充実を言っても駄目ですよといった意識があるのでしょう。これも確かにもっともです。

 だからでしょうか、安倍さんは今度は「消費税を10%に引き上げたら、その後10年間は消費増税をしないで済む」という主張を展開しています。
 また、本来、年金は経済成長があって初めて充実できるもので、自民党は、アベノミクスによって経済成長を進めますとおっしゃいます。

経済成長を進めるというのは、与党も野党も一緒で、経済成長が要らないといっては得票は不可能でしょう。
 理論的には、経済成長が年金を支えるという説明は正しいのですが、消費税を10%にすれば、10年もつという公約には数字の裏付けはありません。
 
 よく考えると、安倍さんの発言も、野党と大同小異で、財源の論拠はなく、ただ、自民党はアベノミクスで経済を成長させますという公約を張り付けているだけです。
 
 もちろん、安倍自民党が悪いといっているわけではありません。野党の年金議論も、最低賃金大幅引き上げも、財源理論は不足のようです。

 また余計なことを書きます・・・、
 選挙戦は花盛りですが、国民にしてみれば、出来るか出来ないか解らないことを、ぶっつけ合って、「礼」の意識も忘れて相手を貶め、この期間の中で、国民の人気がとれればいいといった最近の民主主義下の選挙運動、そしてマスコミ、影響される国民、総ぐるみの「ポピュリズム化」が大きな動きとなって民主主義の堕落を齎しているように感じられてなりません。

 先進事例はトランプさんのアメリカでしょうか。アメリカの真似をしていては、日本もアメリカになってしまうような気がして不安です。
 
 かつて、「舶来崇拝からの脱却」を書きましたが、いま必要なのは、「アメリカの困った所を真似をしないようにしよう」という事のような気がしています。

日本も「争いの文化」に堕すのか

2019年07月03日 15時54分58秒 | 国際関係
日本も「 争いの文化」に堕すのか
 日本政府は、対韓国輸出の中で、半導体関連の3品目について輸出管理強化の措置を打ち出しました。
 マスコミは、韓国の対日政策に関する対抗措置だといった刺激的な見出しを掲げるものもありますが、解説によれば、届け出を一括からその都度に改めるというもので、禁輸措置などではないという事です。

 安倍首相は、信頼関係上の(優遇)措置を見直したもの」と説明していますし、世耕経産相は、「安全保障が目的で、軍事に転用される可能性もあるから」といったテクニカルな説明をしています。

 本当のところは良く解りませんが、日韓関係が問題視されている中でのことです。一部のマスコミの刺激的な論調は別としても、実際に関連するビジネスに携わる人たちは勿論、産業界一般からも(政府のさじ加減で事が決まるという意味で)今後を心配する意見は少なくないようです。

 「李下に冠を正さず」という言葉がありますが、アメリカの対中関税政策が世界で問題になっているさ中でもあり、誤解か正解かは別にしても、同じようなレベル、「相手に警告する」とか「困らせよう」とかいう「争いの文化」のレベルでの行動を日本も取り始めたと受け取る人たちは海外も含めて多いと思います。

 「一謙虚に吠えて、万犬実を伝う」という諺もありますが、こうした種々の世論も含めて、今回の日本政府の行動が、日韓関係をますますこじらせることにつながる可能性は決して小さくないように思われます。

 戦後の日本は「競う」ことはしても「争う」ことは一貫して避けてきたのではなかったでしょうか。

 さらに言えば、今の世界経済は、きわめて複雑に絡み合っているのが実態で、アメリカが対中制裁で返り血を浴び、さらに世界を巻き添えにするという状態が見え見えです。

 政治の問題に対して、経済の面でなにかいい手段はないかというのがトランプさんの発想ですが、もし日本もそんな考えを持ったとすれば、それは「今の日本」としては大きな誤りではないでしょうか。

 政治レベルの問題は、政治レベルでしっかり片付けてほしいというのが、政府に対する経済界の意見であることもしっかりと理解する必要があるのではないでしょうか。

経済成長は何処へ行った:要因を列挙すれば

2019年07月02日 17時58分27秒 | 経済
経済成長は何処へ行った:要因を列挙すれば
 「経済成長はどこへいった」シリーズを書いて来ましたが、今の日本は、何か委縮して、持っている実力を本気で発揮していないという気がしてなりません。

 やはり、基本は日米関係にあるのでしょうが、(シリーズの最初に書いたように)人の好い日本は、それを真面目に受け入れ、挙句は超長期不況の中で自信を喪失して、弱気になってしまったといった感じではないでしょうか。

 その辺りを「見える化」してみようと2つの図をと書いてみました。「企業の場から」と「家計の場から」の2つです。
 あまり整理されていません。因果関係も表示していません。それぞれが因であり果であるという関係にあるものも多いと思います。
 要は、眺めてみて、何かを感じて頂ければといった所でしょうか。

 所で、日銀短観が発表になって、DIは下がっていますが、有り難いことにまでプラスです。米中関係によってはマイナスに突っ込む可能性も当然あるでしょう。
 日本追い落としに成功したアメリカは、今度は中国追い落としに向かっているという見方もできるでしょう。日本は従順でしたが、さて中国は・・・?

<第1図:企業の場から>


<第2図:家計の場から>