「景気動向指数」下げ止まりの中身は?
参院選のスタートと時を同じくして「景気動向指数が下げ止まった」というニュースが飛び込んできました。
タイミングよく、与党に都合のいい統計の発表という事になったのかもしれませんが、米中貿易交渉、日米FTA交渉も控えて、産業界には不安も走っている中で、「下げ止まり?」といぶかる向きもあったようです。しかし、統計は統計です。信用すべきでしょう。
今回の景気動向指数はこの5月の統計数字がほぼ出そろったということで、それらを合成した指数という事です。5月は10連休もあったりしたので、その前後の動きがそろってから本当の様子が見えてくるもかもしれませんが、5月時点の数字でも、今の日本経済の特徴がよく出ているように思うので、直接、原数字にあたることにしました。
政府発表の中心は、9項目の「一致系列」の前月比増減の寄与度です。しかし、年間の動き見るといったことになると、一致系列の各月の指数そのものを見た方が感じがつかめます。
(指数では、所定外労働時間と営業利益はまだ数字が未発表で7項目です、寄与度の方はこの2つも傾向から推計して9項目になっています)
下は、指数表示(2015年=100)の4項目の動きです。生産出荷関係の企業活動を示すものですが、3月頃までは何かもたもたですが4~5月は上がってきています。特に5月の工鉱業生産は急上昇です。
一致系列のうち生産出荷関係項目
次に、こちらの項目はは指数ではなく、対前年同月比の伸び率です。有効求人倍率(実数値)はほとんど横ばい、卸売りの売上高は急減、小売りの売上高は5月に微かに増加、といった状況です。
一致系列のうち卸・小売売上高+有効求人倍率
毎月見ている勤労者所帯の平均消費性向(家計調査7日発表)も、昨年5月の96.3%から98.3%と、久方ぶりの上昇でした。
(休みが多く収入は増えなかったが、10連休で支出は増えたという事のようです)
その結果、政府発表のCIの寄与度では、一致系列総合で、1.1ポイントの上昇になり、2か月連続上昇で「下げ止まり」ということになったわけです。
現実の各指標の動きは図の通りですが、一見して特徴的なのは、生産出荷関連は上昇ですが、販売業の売上高方はほとんど改善はないという状況です。一致系列には消費支出関連はありませんから、消費については家計調査を見るよりないのですが、これは10連休の影響で増加(前述)しているようです。
確かに鉱工業の生産出荷は、不安な国際情勢の中で意外に堅調です。ただ、基調的増加なのか、何かの理由で駆け込み的なものがあるのかは、今後の動きを見るまでは不明です。
そして明らかなことは相変わらずの消費不振の様相が顕著なことです。
このブログでは、日本経済は「投資中心、消費不振の片肺飛行」と指摘してきていますが、この状況は基本的には変わっていないようです。
参院選のスタートと時を同じくして「景気動向指数が下げ止まった」というニュースが飛び込んできました。
タイミングよく、与党に都合のいい統計の発表という事になったのかもしれませんが、米中貿易交渉、日米FTA交渉も控えて、産業界には不安も走っている中で、「下げ止まり?」といぶかる向きもあったようです。しかし、統計は統計です。信用すべきでしょう。
今回の景気動向指数はこの5月の統計数字がほぼ出そろったということで、それらを合成した指数という事です。5月は10連休もあったりしたので、その前後の動きがそろってから本当の様子が見えてくるもかもしれませんが、5月時点の数字でも、今の日本経済の特徴がよく出ているように思うので、直接、原数字にあたることにしました。
政府発表の中心は、9項目の「一致系列」の前月比増減の寄与度です。しかし、年間の動き見るといったことになると、一致系列の各月の指数そのものを見た方が感じがつかめます。
(指数では、所定外労働時間と営業利益はまだ数字が未発表で7項目です、寄与度の方はこの2つも傾向から推計して9項目になっています)
下は、指数表示(2015年=100)の4項目の動きです。生産出荷関係の企業活動を示すものですが、3月頃までは何かもたもたですが4~5月は上がってきています。特に5月の工鉱業生産は急上昇です。
一致系列のうち生産出荷関係項目
次に、こちらの項目はは指数ではなく、対前年同月比の伸び率です。有効求人倍率(実数値)はほとんど横ばい、卸売りの売上高は急減、小売りの売上高は5月に微かに増加、といった状況です。
一致系列のうち卸・小売売上高+有効求人倍率
毎月見ている勤労者所帯の平均消費性向(家計調査7日発表)も、昨年5月の96.3%から98.3%と、久方ぶりの上昇でした。
(休みが多く収入は増えなかったが、10連休で支出は増えたという事のようです)
その結果、政府発表のCIの寄与度では、一致系列総合で、1.1ポイントの上昇になり、2か月連続上昇で「下げ止まり」ということになったわけです。
現実の各指標の動きは図の通りですが、一見して特徴的なのは、生産出荷関連は上昇ですが、販売業の売上高方はほとんど改善はないという状況です。一致系列には消費支出関連はありませんから、消費については家計調査を見るよりないのですが、これは10連休の影響で増加(前述)しているようです。
確かに鉱工業の生産出荷は、不安な国際情勢の中で意外に堅調です。ただ、基調的増加なのか、何かの理由で駆け込み的なものがあるのかは、今後の動きを見るまでは不明です。
そして明らかなことは相変わらずの消費不振の様相が顕著なことです。
このブログでは、日本経済は「投資中心、消費不振の片肺飛行」と指摘してきていますが、この状況は基本的には変わっていないようです。