tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

5月、平均消費性向は上昇ですが・・・

2019年07月09日 22時46分45秒 | 経済
5月、平均消費性向は上昇ですが・・・
 昨日のブログで、「景気動向指数」が下げ止まった中身を見て来ました。主因は鉱工業生産と出荷の好調で、家計の消費行動に関わる販売業の方は相変わらずで、余りぱっとしない状況は変わっていませんでした。

 鉱工業生産の好調を支えたとみられる自動車やエアコンなどは、消費税の引き上げ前の駆け込み需要を見込んで生産を増やしたという見方もあり、確かに在庫増も見られます。
 その意味ではこれから9月いっぱいは、増税前の駆け込み需要で消費支出も増える可能性もあり平均消費性向も上がる可能性もあります。

 結局は消費増税の前と後を均してみないと解らないということで、これからも毎月
勤労者所帯の平均消費性向を見ていきますが、年末の統計が出る時期ぐらいまで見ていかないと本当の様子はわからないということになるのでしょう。

 前回も平均消費性向の数字を載せましたが、2019年5月の2人以上勤労者所帯の平均消費性向は 98.3%で、前年同月の96.3%に比べて2.0ポイントの上昇です。
1年間この状態が全ての所帯で続いてくれれば、GDPの民間最終消費需要が2%ほど増えて、(民間最終消費支出はGDPの約6割ですから)それだけで経済成長率が1.2%高まることになります。

 ところで平均消費性向が2ポイント上昇の関係数字を見ますと(平均消費性向=消費支出/可処分所得×100ですから)、まず勤労者所帯の可処分所得を見ますと、前年同月比で僅か0.1%の上昇、一方、消費支出は2.3%の上昇になっています。 
 
 可処分所得(手取り収入)が僅かしか増えなかった理由は10連休もあり、所帯人員の中で非正規労働者の所得が大きく減った事のようです。
 支出の増えたのは、多分10連休で出費が増えたことによるのでしょう。つまり、通常の状態ではない中での平均消費性向の上昇でしょう。6月の数字が心配です。

 また、余計なことを付け加えますが、7月になると、「老後生活で、年金では2000万円足りない」報告書事件があり、また消費切りつめ貯蓄志向が強まり平均消費性向が下がって、これがまた消費不振の原因になって、経済成長率が上がらなくなるのではないかと心配です。

 安倍さんは、「年金原資は経済成長で支えるべきもの」といっていますが、経済成長の方を是非宜しくお願いしたいと思います。