tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本も「争いの文化」に堕すのか

2019年07月03日 15時54分58秒 | 国際関係
日本も「 争いの文化」に堕すのか
 日本政府は、対韓国輸出の中で、半導体関連の3品目について輸出管理強化の措置を打ち出しました。
 マスコミは、韓国の対日政策に関する対抗措置だといった刺激的な見出しを掲げるものもありますが、解説によれば、届け出を一括からその都度に改めるというもので、禁輸措置などではないという事です。

 安倍首相は、信頼関係上の(優遇)措置を見直したもの」と説明していますし、世耕経産相は、「安全保障が目的で、軍事に転用される可能性もあるから」といったテクニカルな説明をしています。

 本当のところは良く解りませんが、日韓関係が問題視されている中でのことです。一部のマスコミの刺激的な論調は別としても、実際に関連するビジネスに携わる人たちは勿論、産業界一般からも(政府のさじ加減で事が決まるという意味で)今後を心配する意見は少なくないようです。

 「李下に冠を正さず」という言葉がありますが、アメリカの対中関税政策が世界で問題になっているさ中でもあり、誤解か正解かは別にしても、同じようなレベル、「相手に警告する」とか「困らせよう」とかいう「争いの文化」のレベルでの行動を日本も取り始めたと受け取る人たちは海外も含めて多いと思います。

 「一謙虚に吠えて、万犬実を伝う」という諺もありますが、こうした種々の世論も含めて、今回の日本政府の行動が、日韓関係をますますこじらせることにつながる可能性は決して小さくないように思われます。

 戦後の日本は「競う」ことはしても「争う」ことは一貫して避けてきたのではなかったでしょうか。

 さらに言えば、今の世界経済は、きわめて複雑に絡み合っているのが実態で、アメリカが対中制裁で返り血を浴び、さらに世界を巻き添えにするという状態が見え見えです。

 政治の問題に対して、経済の面でなにかいい手段はないかというのがトランプさんの発想ですが、もし日本もそんな考えを持ったとすれば、それは「今の日本」としては大きな誤りではないでしょうか。

 政治レベルの問題は、政治レベルでしっかり片付けてほしいというのが、政府に対する経済界の意見であることもしっかりと理解する必要があるのではないでしょうか。