tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

確かに消費者物価は上がっていますが

2022年01月11日 17時28分58秒 | 文化社会
長い間鎮静を続けていた消費者物価に動きが出てきているというので先日発表になった総務省の「消費者物価指数」の昨年11月までの物価の動きを見てみました。

アメリカ物価が上がったという報道がありヨー-ロッパでも上昇傾向で、物価の上がらない国日本でも企業物価が9%も上がったとインフレを心配する意見もあるようです。

このブログでは企業物価の9%上昇は石油など資源価格上昇のせいで、避けることは出来ないし、世界中同じ条件だから日本が特に心配することはないという見方ですが。当然消費者物価にも影響が出て来ることですし、その辺りの影響を見ておこうという事です。

全体的な動きは下の折れ線グラフのようになっています。数字はいずれも対前年同月の変化率(%)です。

   2021年消費者物価指数の動き(対前年同月変化率%)

       総務省:消費者物価指数

消費者物価指数は「総合」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品とエネルギーを除く総合」の3つが常に発表されますが、これは、生鮮食品とエネルギーはその性格上価格が変動することが多いので、それらを除いた基本的な部分の動きを確り見ておきましょうという趣旨のものと思っています。

ご覧いただくと解りますが、緑の線、基本的な物価の部分の動向を示す線はこの夏に0.2%程度の上昇を示しましたが、ほぼ安定で、赤と青の線が明らかな上昇を示すという状態です。にとどまっています。

昨年の9月、10月、11月は赤の線と青の線がほぼ同じように動いていますが、これは11月で見ますと生鮮食品が前年同月比」で3.1%上昇し、エネルギー価格が同15.6%上がっていることの結果です。

勿論エネルギーも生鮮食品も家計を直撃しますが、生鮮食品は天候に左右されますから、下がる事も当然ある(最近の牛乳の場合など)という意味で別枠にするのでしょうが、最近の生鮮食品は、温室栽培も多いですからエネルギー価格に連動するようになるのかもしれません。

因みに、昨年4月3本の線が急降下していますが、これは交通通信(スマホ料金)が大幅に下げていることの結果のようです。

11月時点で、消費者物価の10大費目の対前年同月比の動きを見ておきますと(単位%)

  食料     1.4 ( 生鮮3.1 生鮮以外1.1)
  住居     0.7
  光熱水道   9.2  (エネルギー価格上昇)
  家具家事用品 0.4  
  被服履物   0.1
  保健医療    -0.2 
  交通通信   -6.9
  教育      1.2     
  教養娯楽    4.3
  諸雑費     1.2

上記の物価変動なども、全体で見ればせいぜい1%程度ぐらいのもので、いまの所諸外国に比べれ物価安定の日本です。

しかし、物価というのは世論やムードの影響もありますから、これからの政府やマスコミのムード作りによっては長年の我慢をここで少しでも取り戻そうといった意識、無理に物価を抑え込んでいては経済も元気が出ないといった雰囲気なども出そうな気もしないでもありません。
物価はあまり変動しない方が良いと思うのですが。

2022春闘を占う:新しい動きが出るか?

2022年01月10日 22時35分17秒 | 労働問題
マスコミでもそろそろ春闘関連の記事が出てくるようです。

この所はコロナ問題が常に最大の関心事でしたが、コロナ懸念の中での3回目の春闘ですし、コロナはコロナでワクチン・治療薬で確り対応して、春闘は春闘で、賃金、物価、経済成長、為替など、環境条件も動いて来ている中で、岸田政権の「新しい資本主義」「分配と成長との関係」の実行の場として、何とか具体的進展を欲しいという雰囲気があるのではないでしょうか。

折しも労使ともに新しいリーダーの登場となって政・労・使の3者とも今までにない新たなアプローチが打ち出されるのではないかという気がしないでもありません。

岸田政権が賃上げに積極的なのは発言や賃上げ減税に積極的などといった点に見るところですが、連合の芳野新会長も労働組合が賃上げを要求して獲得しそれを社会全体に波及させたいという主張をお持ちのようです。

注目すべきは経団連の十倉会長が賃上げの必要性を認めていることでしょう。「官製春闘ではない」という発言の中に、経営者として賃上げの必要を認識するという視点が感じられるとも言えそうです。

政府の賃上げ減税は、中小企業の多数を占める利益の出ない企業にはメリットがないので一部に賛否両論があなるようです。

連合は今迄ずっと提唱プラス・ベア(2%)という感じのマンネリ感の拭えない経済合理性追求方式でしたが、今年は新会長の下、何か新機軸が出るのではないでしょうか。

経団連は、例年の「経労委報告」は未だのようですが、賃金問題に言及しているのは十倉会長です。

マスコミの報道から理解できるのは、「日本企業は外国にばかり投資しているが国内に投資しないと経済成長しない、海外からの配当や利息ばかりではだめで、利益が出れば賃金も上げて消費を増やして国内で生産するようにしなければいけない。」

更には「賃金引き上げには生産性を上げなければいけないが、特に中小企業の生産性向上が重要だ。そのために大企業と中小企業の取引価格の適正化が重要で、経団連はその推進に取り組んでいる。」といった発言があるのです。

往々大企業のエゴ組織などと言われる経団連ですが、こうした発言は大筋全くの正論で。連合も政府も納得して政労使合意のもとに日本経済の新たな成長発展に進めそうな感じすらするところです。

経団連が春闘を主導するようになれば、これは石油危機の際に当時の日経連が春闘を主導してインフレ進行を止め、日本経済の安定と繁栄を実現して以来ほぼ半世紀ぶりの日本の経営者の本領発揮になるのですが、さてどうなるでしょうか。

こうした政労使三者の活動にかかわる重要な課題にどう対応するかという問題と同時に、過日このブログで指摘しましたように、円安傾向が続きそうな国際経済、為替問題の気配を指摘する金融関係の専門家もいます。

実はこの問題は、賃金問題に絡む極めて重要な要素ですので、円レートの中・長期的な動きも踏まえ、今春闘は新たな労使関係と金融問題の絡み合った問題として今後十分に注視していく必要があるように思うところです。

2021年11月、家計消費は低調

2022年01月09日 22時25分03秒 | 経済
1月7日、総務省より11月分の家計調査が発表になりました。
ちょうど、新型コロナの制圧が可能になるのではないかと期待を持たせるような新規感染者数の激減の時期でしたので、消費も少し活発になったのではと考えていました。

然し数字が発表になってみると状況はあまり変わってはいないようです。グラフにして昨年と較べてみましたが、余りぱっとしないので、その状況だけ報告しておきます。

先ず2人以上の所帯の消費支出の一昨年と昨年の動きを折れ線グラフで示しました。
一昨年は、3月まではまだ新型コロナが如何なるものか解らない人も多かったのでしょうが、4月から緊急事態宣言、そして5月まで延長ということになって、巣籠りが始まり、消費は落ち込みました。

二人所帯の消費支出の推移(単位1000円)

    総務省「家計調査」

5,6,7月には一人10万円の給付金出ましたが消費支出は全く増えていません。
秋になってGoToなどもあっていくらか上向き、政府の楽観政策で年末が少し良かったようですが1月にはまた緊急事態宣言で落ち込みです。

1月から茶色の線に移りますが、暖かくなる頃から異常に快調で、巣籠り需要などといた言葉も出来、住宅関連や耐久財などの売れ行きが活況になり、なぜか外出する教養娯楽、衣服・履物などの需要がありました。

然し症状の重いデルタ株が8月まで猛威を振るい、厳戒体制で8月をピークに感染者は減少、10月あたりから、コロナも終幕などの見方の出る一方、オミクロン変異株の出現で第6波を予想する専門家も多く、さてどうなるかでしたが、11月の消費性向は矢張り前年比下降です。

昨年3,4月の消費の多少の活性化は、我慢疲れの反動だったのでしょうか。家計の消費動向は、ずっとコロナに振り回されている事がはっきりわかります。

所で収入と支出の分析が可能の2人以上勤労者所帯でずっと追いかけている、家計の消費意欲「平均消費性向」についても同じ2年間について「平均消費性向」の数字を採ってみました。

    2人以上勤労者所帯:平均消費性向の推移(単位:%)

     総務省「家計調査」

こちらは棒グラフにしてみました。
昨年3,4月の「我慢の反動」の時期、平均消費性向は前年より上がりました。そして続く5、6、7月も前年より高くなっています。

理由は、3,4,5月は「我慢の反動」でしょう。5,6,7月月は、前年この期間に一人10万円の給付金だ出て、それが消費に向かわなかったため、平均消費性向がその分さがっていたからです。とくに両方が重なった5月は前年5月比13ポイントも上がっています。給付金が無ければこうなるということです。

2021年7月昨年5月の家計調査が出た時のブログでは順調な改善傾向と驚いて(喜んで)いますが。その後一人10万円の支給と共に本来の姿は見えなくなりました。

見えてきたのは8月からですが、結局、勤労者家計は前年以上に消費には慎重という傾向の継続です。

政府は、オミクロン株の増殖は速いが、ワクチン接種の早期化も含めて、経済の活性化にも力を入れていくといます。
しかしワクチンも外国頼みで、自力でできるのは国民に「感染を増やさない様に」してくださいとお願いすることだけというのが現状です。
わが家もそうするように頑張るつもりです。

コロナ対策が最重要課題では・・・

2022年01月08日 12時05分55秒 | 政治
オミクロンの拡散スピードの速さはまさに驚異的です。
デルタ株の抑え込みに成功したかに見えて日本ですが、オミクロンでは水際作戦など簡単に突破され、すでに市中感染で、怖しいスピードで拡散です。

感染力は強いが症状は軽いなどと気休めをいう意見もありますが、コロナ菌が更なる突然変異をすることはないなどという前提では、問題の解決はないでしょう。

最悪の事態を考えれば感染力がさらに強く症状も強烈なコロナ菌の変異株が出てくる可能性がないなどとは誰も言えないでしょう。

こうした可能性を考えれば、対抗策の基本は「ワクチン研究の進歩」しかないのではないでしょうか。
早期に変異株にも適切なワクチンを開発する、更には治療薬を用意するといったことができて、はじめて「備えあれば憂いなし」といえるのではないでしょうか。

経済も政治も、国際関係も、これが成功してコロナの心配が解決してはじめて可能になるのでしょう。強力なコロナの新種変異株が猛威を振るう中では、最優先は、出来るだけ多くの人類が生存を続けるということになるはずです。

そんな大げさなという意見は当然あるでしょう。しかし、個人レベルに下りてみれば、現在でもこうしたことが現実になっている家族や地域があるのです。

楽観論も人の気持ちを和らげる効果はありでしょう。然し、対自然現象の場合は、最悪の事態を想定するのが原則といわれます。

翻って、日本の場合を考えてみましょう。ワクチンも治療薬も外国頼みです.政府は三回目のワクチンの前倒しと言っていますが、その都合も外国次第です。
これから何が起きるかわからない時に最も重要な対策が外国頼みです。

日本より早くワクチンを開発している国も沢山あります。日本の遅さが気になります。
それを関連研究機関や製薬会社の責任にすべきではないでしょう。国にとって喫緊の最重要課題は国が総力を挙げて成し遂げるべきものです。

これまでも、コロナ関係の研究開発援助より、後追いのバラマキに使った予算の方が膨大でした。

今、研究開発段階で最も問題になっているのが治験の困難さだと聞きます。
確かに感染者が多い方が治験はしやすいでしょうが、すでに開発されたワクチンがある場合には、優越性試験とか非劣性試験といった方法が可能です。

治験の対象者にしても、全国の保健所、病院、医師会などの全面的な協力を得れば不可能ではないでしょう。

こうしたことも、政府がどこまで日本をコロナ対策先進国に早期に押し上げるという強力な意思を持つかによって可能にも不可能にもなる事でしょう。

コロナ制圧の道はまだまだ遠いようです。日本全体が本気になれば、今からでも決して遅くはないと思うのですが、政府はどの程度の事を考えているのでしょうか。
政府の本気度が問われているような気がします。

為替レートと賃金決定 (試論) 

2022年01月06日 15時56分43秒 | 経済
第二次大戦後1970年までは世界経済はブレトンウッズ体制のもと、固定相場制でやってきましたが、ご存知のように基軸通貨国のアメリカが赤字国になってしまったせいで70年代に入って、結局、変動相場制になりました。

つまり、赤字国というのは、一般的に言えば、その国の物価が高いので、輸出が不振になり、安い外国製品が入って来て国産品は売れなくなるからです。

アメリカが普通の国であれば、ギリシャやイタリア、韓国などのように、IMF管理になって、何年か緊縮経済をやり不況に耐えてコストを下げ、生産性を上げて、競争力をつけ黒字国になって国際経済に復帰という事になるのでしょうが、何せ、覇権国、基軸通貨国ですからそうはいきません。

基軸通貨であるドルを切下げてドル安にし、競争力を回復して赤字を減らそうという事になったわけです。それでブレトンウッズ体制は崩壊しました。

変動相場制になりますと競争力の強い国の通貨は高くなり、弱い国の通貨は安くなるという形で競争力の調整が「マーケット・メカニズム」によって行われ、それぞれの国の競争力に従って通貨の価値が変動し、自然に国際競争力のバランスが回復されるという理屈です。

例えば、固定相場制の時には、1米ドル=360円、1英ポンド=1008円でした。今は、それぞれ104円、156円辺りです。それで日米、日英の国際競争力の水準は日本が下がり米、英は上ったという事です。

ところで国際競争力というのは輸出入だけではありません国際・国内のあらゆるサービス料金なども関係してきます。つまり国の経済の総合力の競争です。(例えば、国内のバスタクシーの料金も、観光客の懐を通じて国際競争に曝されています)

という事ですから、その国のあらゆる物価の総合的なレベルが問題で、それが上がれば(インフレになれば)いずれは通貨を切り下げないと赤字国転落となってしまうという事になります。

では、どういう場合に経済がインフレになるのと言いますと、通常その原因は賃金インフレです。
賃金を実力(生産性)以上に上げ過ぎてインフレになって競争力が落ちるので、それを防ぐために自国通貨の切り下げを期待し、マーケットがそれを実現してくれるという事でしょうか。

しかし、マーケットはそんなにうまい具合に動いてくれませんから通貨が安くなり過ぎ、それがインフレを加速して経済が破綻などという事も起こります。今のトルコの情勢がそれに似ています。

逆にマーケットに通貨を高くされ過ぎて、苦労したのが日本です。プラザ合意で多少の円高なら受け入れますといったために、予想外の大幅な円高にされ、それに国内の賃金水準を合わせる(下げる)ために「平成長期不況」になりました。

ところでこの所、円安が進んでいます。日本がゼロ金利で、アメリカがインフレを抑えるために金利を上げるというのが原因です。
上記の理屈でいうと、円安になったら、それに見合った賃金の引き上げをしても、日本の競争力は落ちません。

放っておけば、競争力が強くなり過ぎるから、そのうちにマーケットが円高に戻してくれるのでしょうが、考え方によっては、円安が定着しそうだったら、「その分賃上げをした方が日本経済にとって都合がい」という理屈も成り立つのです。

勿論これは黒字国日本だから、また円安が定着するならばという条件があって成り立つ理屈で、それだけ日本は経済政策、賃金政策に余裕があるのだから言えることなのですが、今の日本では一考に値する政策テーマではないでしょうか。

為替レートと物価と賃金の関係を考える

2022年01月05日 22時08分34秒 | 経済
前回インフレの事を書いたので、今回もその続きで物価問題を中心に、物価に影響する要因について考えてみたいと思います。

最近、加工食品などを始めとして日常生活に関係する値上げの動きが報道されていますが、主な原因は世界中で資源価格が上がっている事と円安になっている事が響いているなどと説明されています。

現実も確かにその通りでしょうが、そのほかに最低賃金が大幅に上がったり、介護などの福祉関係で、職種によっては人手不足や賃金格差拡大への批判などから、賃金引上げの動きがあったりすることも影響しているようです。

値上げする側にしてみれば、もう何年も、コストが上がっても値上げ出来ない状態で、苦しんできているので、この際なんとかしたいといった事情もあるようです。

確かに日本の物価は上がっていません。主要国の物価の動きを見ても、どの国もある程度の上昇はしているのですが、日本はずっと横ばいなどというグラフもよく見ます。

確かに日本は物価の上げにくい国になっているようです。その分家庭の主婦や年金生活者などには有り難いわけですが、一部に皺が寄り過ぎるというのは矢張りよくないでしょう。

なぜ日本は物価が上げにくい国になったのかには、実はそれなりの理由があるようです。
かつてのバブル経済以前は、物価は結構その時の事情を反映していたと思いますが、確かにこの所は本当に動きが少なくなってきています。

物価だけではありません。賃金も極端に上がらなくなってきているのです。
現実を見れば、、賃金も上がらない、その上に家計は将来不安から貯蓄に励み、消費を抑える、結果は値上げしたら売れないので値上げしないといった状態でしょう。

こんな癖が、この所の30年にもわたる不況の中で定着してしまっているのです。
そんなことになってしまった原因を数字の面から見てみますとこんな状態です。

プラザ合意で円高になる前の年1984年の日米の消費者物価を共に100として2020年の水準を見ますと
アメリカ 100→259
日本   100→122
この36年間で、アメリカの物価はほぼ2.6倍になっているのに対し、日本は36年間で僅か22%の上昇です。

その原因は、実は為替レートにありました。円レートはこの間1ドル=237円から106.8円に大幅円高です。これも1984年を100としますと
円レート 100→44.97 この円レートで日本円の価値をドル建て(ドル換算)にしてみますと
日本 消費者物価ドル換算 100→270.6
となって、日本の消費者物価は(為替レートが変わらなければ)アメリカより上がっているのです。

日本は、この円高に耐えて、2.7倍になるべき物価を22%の上昇に抑えたのです。
当然賃金も上げられませんし値上げなどとても無理ということになりました。

この癖はなかなか抜けません。今、40歳ぐらいまでの人は、物心ついてから、「物価は上がらないもの」という経験しかないのです。

為替レートというものは、一国の賃金や物価に直接影響を与えます。そして一国経済に多大な影響を与えるということです。
という事であれば、今後は、為替レートと賃金の関係をどのように考えていったらいいのでしょうか。次回考えてみたいと思います。

良いインフレ、悪いインフレ

2022年01月04日 16時18分48秒 | 経済
政府・日銀が2%インフレのターゲットの旗を掲げても殆ど上がらなかった消費者物価がこのところ動き始めたようで、インフレを心配する消費者の声もあります。
「悪いインフレ」「良いインフレ」といった言葉げマスコミに登場したりしています。

解説者などの話を聞いていますと、「賃金が上がらないのに物価が上がるのは悪いインフレです」などとの説明があるようです。
確かに賃金が上がらないのに物価が上がれば、消費者にとっては悪いインフレでしょう。 

最近の物価の上昇は1つには海外の資源などの物価が上がっていること、2つには円レートが1ドル=102~3円から104~5円と円安になって、その分輸入物価が上がること、その2つの要因が重なっていることが指摘されています。

どちらの原因も消費者にとっては困るのですが、海外の資源価格が上がるという問題は、世界共通ですから、世界中の消費者が同様に困るので、日本だけが困るのではありません。いわば仕方ない値上がりで、そのうち資源価格が下がれば終わります

それに対して、円安になって、輸入品の値上がりで物価が上がるのは日本だけ物価が上がるわけで、日本の消費者だけが困るので確かに日本にとって悪いインフレです。

しかし、かつてプラザ合意の「円高」に苦しみ、苦肉の賃下げをしたのに比べれば、円安で日本の競争力は強くなり、コロナが無ければ、外国から多くの観光客や買い物客が来るはずで、プラスの面もあります。

考え方によっては、円安が続くなら、その分だけ賃上げをしても、日本の競争力は落ちないので、賃上げで対抗することも可能という「打つ手」もあるのです。

ですから「悪いインフレ」といてもいい面もあるわけで、一概に「悪い」と言ってしまえない面もあるのです。

インフレの原因にはもう2つばかりありまして、今年は不作とか不漁とかで物価が上がる、場合ですがこれは、お天気やお魚の都合によるので、悪いインフレですが、人間は耐え忍ぶしかなく、来年の豊作、大漁を願うのみです。

最後の1つは、賃金を上げ過ぎて値上げになる「賃金インフレ」です。
最初に述べた政府、日銀の「2%インフレターゲット」ですが、その含むところは3%の賃上げをして2%物価が上がれば、1%分は生活が向上してみんなハッピーという事のようです。

確かにそれは結構ですが、もし、2%賃上げして2%インフレだったら、生活水準は変わりません。
3%賃上げしてインフレが2%で済むためには、1%の生産性向上が無ければなりません。
 
こう考えてみると、毎年同じ事をやっていて、資源価格が上がったり、円安になったり、自然現象で不作や不漁になったり、賃上げを頑張ったために物価が上がって元の木阿弥だったりするのは、すべて「消費者にとっては」悪いインフレという事でしょう。良いインフレなどというのはないのです。

良いのは生産性の向上で、生産性を向上させれば、その分は物価が下げられるのです。
豊作や大漁になるのは「天」が生産性を挙げてくれるのですが、それだけではなくて、人間にも生産性を上げる能力があります。日本人は、もともと、それに優れているはずです。

そして。生産性さえ上げれば、賃上げをしてもその分物価上がりませんから、多少物価が上がっても「この程度なら良いインフレだ」などと言えるということになるのでしょう。

2022年 明けましておめでとうございます

2022年01月01日 22時34分22秒 | ご挨拶
今年もよろしくお願い申し上げます。

猪口1杯のお屠蘇で雑煮を祝い、おせちを食べて、平穏な元日を過ごしました。 
しかし、世界の騒然さは変わりません。

この所、都下国分寺でも、霜柱の朝が続きますが、毎日が平穏で、今年のリュウキンカの開花は、また早くなりそうだとか、チューリップが芽を出したとか、アケボノが咲き始めたとか、狭い庭でも折々の花を観賞し、野菜を育て、初物を食べて「75日寿命が延びた」と笑い・・・、といったのんびりした日々をと思いながら、やっぱり、世の中の余計なことが気になるのです。

今年もまた、気になることを、色々書くことになってしまうと思いますが、お手すきの折に覗いていただければ幸甚です。

改めて本年も tnlabo's blog を宜しくお願い申し上げます。