痛ましい事件が続きます。
大津の事件では警察が学校へ操作捜査に入ったとのニュース。
でも、よく考えると警察も父親からの何度かの相談に応えなかったと聞いています。その警察が何を目的に操作捜査なのかは…。
そしてもう一つ気がかりなのは、いじめに関する情報もその多くは「伝聞」であるようです。
私は子どもたちの事件の多くはその社会のありようを反映しているように思えます。
大津の中2自殺、県警が学校・市教委を捜索 暴行容疑
大津市で昨年10月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒(当時13)が自殺した問題で、滋賀県警は11日夜、昨年9月に同級生3人が生徒に暴行したとの容疑を裏付けるため、生徒が通っていた市立中学校と、市教委事務局が入る市役所(同市御陵町)を捜索した。
男子生徒は昨年10月11日午前8時10分ごろ、自宅マンション14階から飛び降り、自殺した。
少年課によると、捜索容疑は昨年9月29日ごろ、同級生3人が男子生徒に暴行したというもの。捜索は午後7時半ごろから始まり、中学校は校長室や職員室、市役所は市教育長室や市教委事務局などに捜査員計24人が入った。
[大津市いじめ自殺]なぜ防げなかったのか (沖縄タイムス社説)
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(10時間47分前に更新) |
男子生徒と家族の無念さを思うとやりきれない。周りも男子生徒が同級生らからいじめを受けていたことを見聞きしていたのに救えなかった。
大津市の公立中2年の男子生徒=当時(13)=が昨年10月、自宅マンションから飛び降り自殺した。
学校は10月中旬に全校生徒を対象にしたアンケートを実施。男子生徒が同級生らから殴られたり、ズボンをずらされたりしていたのが目撃されていたことが分かった。市教委は「男子生徒がいじめを受けていた」と発表した。ただ、自殺との因果関係については判断できないと否定した。
学校は11月上旬に2回目のアンケートをしたが、発表したのは8カ月後の今月10日。「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」などの重大な回答があった。にもかかわらず市教委はこれらを「見落としていた」と釈明した。にわかに信じられない。
市教委は6日になってこれらの記述に気付き、9、10日に確認作業をしたという。学校も市教委も調査があまりにずさんといわざるを得ない。
市教委はこれまで2回目のアンケート自体を明らかにしておらず隠蔽(いんぺい)体質を疑われても仕方がない。一人の男子生徒が自殺したというのに、原因にはとても届かない調査の在り方だ。市教委が不十分さを謝罪したのは当然である。
男子生徒の両親は今年2月、自殺はいじめが原因と市や同級生らを相手に損害賠償請求訴訟を起こし、市は争っている。市教委は真相究明よりも訴訟を重視しているのではとの疑念が拭えない。
アンケートから浮かび上がってくるのは、男子生徒がいじめられていることを多くの生徒らが直接的であれ、間接的であれ、知っていたという事実だ。生徒らは誰かに男子生徒がいじめられていることを伝えたのだろうか。
担任教諭は学級の状態を把握しなければならない存在だ。「(男子生徒が)先生に相談したけれど何もしてくれなかったと聞いた」との回答もある。担任教諭はどう対応したのだろうか。校長はじめ学校はいじめを認識していたのだろうか。解明しなければならない点が多すぎる。
警察も怠慢のそしりを免れない。大津署は男子生徒が自殺した直後の昨年10~12月に父親から計3回、被害届を出す相談を受けたにもかかわらず、受理しなかった。滋賀県警は11日にやっと専従捜査チームを設置し、暴行容疑で中学校と市教委を家宅捜索した。男子生徒が自殺してから9カ月。あまりに遅すぎる。
越直美市長は全国最年少の女性市長で弁護士でもある。今年3月の同中学の卒業式では自身のいじめ体験を涙ながらに告白し「いじめのない社会をつくる」と誓った。
いじめは人権侵害である。人間としての尊厳を傷つけ、失われた命は戻ってこない。
越市長は「市教委の調査は全く信用できない。いじめと自殺の因果関係はあると思う。おわびして和解したい」と被告の市として異例の姿勢を示した。警察の強制捜査とは別に、第三者委員会による調査のやり直しが必要だ。