こんな記事がのっとりました。悲しいことですが 公明ズルズル後退 山口氏一ヶ月で変節…
武力行使3要件
憲法が自衛隊の実力行使を許容する条件。1954年の自衛隊発足以来、歴代内閣が踏襲した「自衛権発動3要件」は個別的自衛権を念頭に置いていた。今回、集団的自衛権の行使を認めるため政府が憲法解釈変更の閣議決定案に新たに盛り込んだ。(1)国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる-場合、自衛の措置としての武力行使を認めるとの内容。
(2014年6月28日掲載)
読み解く=集団的自衛権 閣議決定案を自公了承 公明ずるずる後退 容認 割れた創価学会
連立政権のパートナーである公明党との関係悪化を危ぶむ周囲の声にもかかわらず、強気を貫いた安倍晋三首相。政府高官は「首相が自信を持った一番の理由は、創価学会の態勢にある」と明かす。
5月17日、公明党の支持母体の創価学会が、集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更について異例の見解を発表した。「本来、憲法改正を経るべきである。これまで積み上げられてきた憲法9条についての政府見解を支持している」。永田町に衝撃が広がった。
しかし、直後に「創価学会の見解ではなく、広報室のコメントだ」と釈明。学会内で意思統一できていない内部事情を露呈した。
学会内では、連立政権維持を優先させ集団的自衛権を限定容認する勢力と、平和の党の看板を守るため断固反対する勢力がけん制しあう状況とされる。
自民党関係者は「あっちの勢力が強硬なことを言ってきたら、こっちの勢力に手を出して崩せばいい」と漏らす。
しかも、政権中枢に座る菅義偉官房長官や自民党筋は早くから、原田稔会長、佐藤浩副会長ら学会幹部とそれぞれ密会を重ね、感触を探ってきた。「俺は全然心配していない」。菅氏は周囲に度々こう語った。
●山口氏、1ヵ月で変節
相手の「弱み」を見逃さず、首相官邸は攻めた。足腰の定まらない公明党は、とりあえず閣議決定先延ばしの「遅延戦術」に出る。
政府が集団的自衛権を含む15事例を示すと、公明党幹部は「一つ一つつぶして、集団的自衛権の行使は必要ないと論破する」と語った。5月20日の第1回与党協議会の後、別の公明党幹部は、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処だけでも「最低1カ月以上かかる」と公言した。協議が公明党ペースで進みかねない状況になった。
協議会後の首相官邸。兼原信克、高見沢将林両官房副長官補から報告を受けた菅氏は、安全保障法制の実務関係者を呼びつけ、ハッパを掛けた。「事例を一つ一つ検証するやり方では駄目だ。事例の議論は後回しにして、本題の憲法解釈変更から始めろ」。この指示で、流れは一気に変わる。
「閣議決定されるべき政府方針を、いつでも出せるよう準備してほしい」。グレーゾーン対処でやっと自公が合意した今月6日の第4回与党協議で、自民党の高村正彦副総裁はいきなり政府に指示した。
10日の第5回協議後には、首相が高村氏を官邸に呼び、閣議決定について「今国会中に集団的自衛権という言葉をしっかり入れて与党合意するように」と畳みかけた。
協議はまだ入り口なのに、出口の「閣議決定」が主題にすり替わった。首相の覚悟に押されるように、公明党はずるずると後退する。17日、北側一雄副代表は「事例に固執するのはいかがか」と妥協。公明党の敗北は決定的となった。
「限定(容認)と最初は言っても、拡大していくことにつながりかねない」。5月19日にはこう明言していた山口那津男代表。それが今月26日のNHKニュースで一変。閣議決定案についてこう断言した。「二重三重の歯止めが利き、拡大解釈の恐れはないと思う」
東京・渋谷のNHK放送センター出入り口で待ち構えた記者たちに目を合わせることもなく、山口氏は車で走り去った。