38.点火
何が火を点けるのか
不明だけれど
ある瞬間
突然に点火する
暗から明へ
不通から開通へ
無から有へ
switchがONになる
それはきっと
僕が誕生を約束された
天啓の奇蹟と
酷似しているに違いない
其処から
新しいもう一つのイノチが
紡がれてゆくのだ
僕が僕のイノチの旅を始めたように
僕のもう一つの物語は
点火したその瞬間から
紙とペンと分秒で記録されてゆく
39.天賦の
書くことで生きている
書くことで呼吸している
書けることで
inochiを運ぶ
書いていることが
僕を僕にしている
きっと天賦の
唯一の恩恵に違いない
この一秒が
この一行が
この一編が
僕を前へと動かしてゆく
イノチを刻む一ミリを
その刹那に起因する一片を
僕はwriterとして
書き付けてゆくのだ
それはただ
僕のための絡繰りなのだが
同じ移ろいに
居合わせる数多の同胞harakaraに
共鳴者は居ないかと
手段を駆使しては
同行者を募集するのだ
雑踏のビラ配りのように
些かの虚しさを抱えながら
宛てない同胞の
アナタを探すのだ