中々きれいで、急いでメンテナンスをしなければならない状態でもないように見えますが、オーナーさんの愛情でしょうね。今回は40mm f1.4レンズから見て行きます。一見きれいなレンズですが、分解歴があって、オーナーさんからは、ヘリコイドの回転ムラを指摘されています。分解してみると、グリスが変ですね。これは、オリジナルグリスを残したまま、普通のグリスを追加塗布されています。う~ん、普通のグリスはダメなんですね。全て分解洗浄をしてグリスの交換をすることにします。
分解洗浄のうえヘリコイドグリスを塗布したところ。油が回っていた絞り羽根も洗浄して組立ます。
ヘリコイドには微細なアルミの切粉が見つかりました。これが回転ムラの直接の原因かも知れません。現在は滑らかに回転します。角レンズはすでに分解を受けて清掃されていますが、細かなキズやカビ痕があるのが残念なところ。では、FT #2110XX本体のメンテナンスに掛かりますが、巻上げのゴリツキと裏蓋ラッチの跳び越しがあります。21万台ですが、かなり大切に扱われた個体のようです。
すみません。体調が思わしくなく、作業はあまり進みません。(時計は組んでいましたが)この個体は過去に全体のO/Hを受けおり、それによって重大な不具合が出ていなかったのでしょう。しかし、完全に分解しての作業ではないので不十分です。ここまで組みました。特に問題はありませんが、この頃までのシャッターユニットはメンテナンスをすると見違えるような軽快な巻上げフィーリングとなります。この個体も良いですよ。今日はここまでとしておきます。
本体の組立を終えてセルフタイマーユニットをチェックすると、タイマーレバーがロックされない時がある。この頃の個体はすでに改良後のユニットになっていますが、ワンウェイクラッチが初期のものは爪によるロックで、これが作動フィーリング(ジッジッジッ)が不評のため、三つのコロがドラムの内周に飛び出してロックする方式に改められました。確かにフィーリングは改善されましたが、古くなるとコロの作動不良からロックせずの症状が現れます。小さなユニットですが、この症状を改善させるためには分解と細かな修正が必要のため、ちょっと気分が滅入ります。まぁ、腕時計の分解から見たら歯車のホゾも太くて楽勝なんですけどね。
で、修理を終えたタイマーユニットを組み込んで作動のチェックです。非常に良好な作動です。まぁ、現在は使用する方は少ないと思いますが、動くものが正確に動かないのでは放置することは出来ません。その他、ハーフミラーは交換としています。
これで完成しています。過去にきれいな修理の手が入った個体でした。それゆえ、重大な不具合が出ていなかったのでしょう。上手な方の修理は私も参考にさせて頂くところもあります。しかし、レンズはいけませんでした。普通のグリスを追加されていましたが、これはいけませんね。ヘリコイドを洗浄して専用グリスを塗布してありますので、現在はスムーズな作動となっています。全体的にこの頃の個体としては保存状態とメンテナンスは良好な個体でした。スムーズな巻上げも特徴ですね。