ジョンブリアンを始める前に外出用に使用しているセイコー・クラウンをオーバーホールさせてもらいます。クラウンはマーベルの次の世代のモデルですが、当時の傾向でケースの外径が大きくなって、この個体のケースは35mmあります。非力で腕の細い私としてはちょっと大きめな時計ですが、機械は非常に安定して信頼が置けるユニットです。ゼンマイの入っている香箱車に付く角穴車が緩んでいた以外は不具合はありませんでした。とは言っても古い機械ですから、力の掛かる香箱車の軸受けなどには少し固めのグリスを塗布して労わってやります。
はい、はしょって完成。ケースが金メッキのものは長い間の汗により腐食しているものが多いものです。ステンレスSSケースの方が劣化は少なく、キズも研磨出来ますから楽ですが、年寄りになると光り物を付けたくなるのです。文字盤は特殊なタイプですが、ワニ革バンドの色と合わせて、ちょっとじじくさ過ぎるかもね。そのうち、落ち着いた文字盤と黒バンドに変えようと思います。
でね。オーナーさんからは、「今なに」でUPしてとのご希望なのですが、UPはしますけど、シボ革の色が違っているだけで、普通のPENなので、あまり書くことないのですよねぇ・・ジョンブリアンはいつ頃製造された製品なんでしょうね? 作り自体は一つ前にやりました三光PENに近い感じですね。モルトは完全に風化して接着剤だけが残っていますが、すでにダイカストも腐食が進行していますので、軽く研磨をする必要があります。
やっとジョンブリアン色が出て来ましたね。絵の具などの呼び名ではジョンブリアンは出て来ますが、一般的には何のこっちゃという名前でしょう。要するに肌色系統の色なんですが、実物は黄土色に近くないですか? まぁ、経時劣化はしているはずですが。画像はすべて洗浄したところ。やっぱり書くこと無いんですよねぇ・・
順調に組立てていますが、レンズが惜しいですね。後玉のコーティングがカビで劣化しているのが分かるでしょ。ここの劣化は結構見ますね。その他のレンズは良好なので残念ですが、今回はこのまま組んでおきます。
ファインダーは現在、接着硬化中です。その他は全て完成しています。モルトもきれいにやり直してありますよ。巻上げダイヤルを留めているネジはすでに左ネジに変更されています。先日の三光PENは右(正)ネジでした。見えないところでも、改良は進んでいくのです。
ファインダーの対物レンズは樹脂製ですから、前回の三光PENに近い仕様となっています。樹脂レンズは、採用当時は早期の曇り劣化が心配されましたが、その割には現在でもきれいで(僅かな白濁はありますよ)充分実用に耐えるものです。但し、過去に乱暴な拭き上げをされているものはキズが目立ちますが、この個体はきれいでしたね。駒数計の指針も金メッキですが、巻き戻しダイヤルは変更後のもので、指針よりこちらの方が先に変更されたことが分かります。シボ革の色を変えてバリエーションを増やす手法は、上下枠が中間色のグレーだから成立したのでしょうね。製造台数はそれほど多くはなかったと推測しますので現存数も少ないと思います。状態の良い個体は更に稀少ですから大切にされてください。普通のPENをジョンブリアン仕様に仕上げることは可能ですけどね。