これ最近良く見ると思わない? 汎用のハーフミラーをカットして使っている個体。オーナーさんによると通販でO/H済みとして購入されたそうです。#2439XXと中期頃の個体ですが、外観はそこそこきれいですね。(画像撮り忘れ)上物には手が入っていますが、内部のシャッターユニットなどはそのままに見えます。
スプールバネが飛び出しています。これは故意にバネを伸ばした可能性があります。
上が取り外したバネで下がうちのオリジナルバネ。うちのも純正よりは自由長は長めに作ってあるのですが、それより長くなっていますね。まぁ、工場でも、数種類のバネを用意して、スリップ率を見ながら調整していた形跡はありますが、流石に、こんなに伸ばしたら端面の平面性がなくなって飛び出してしまいますよ。今回は下のバネを使います。
セルフタイマーが不調のため整備しました。レバーがお辞儀をしているので調整をしようと・・あらスリ割りの片側が無くなっていますよ。ネジ径に比べて頭の大きさが大きいスペシャルネジですので、強く締めると破損してしまうのです。
良品のネジに交換します。
あっ、忘れてた。チャージギヤに摩耗がありますが、比較的軽度です。
その他飛ばして組立完成。ハーフミラー、スプールバネ、タイマーネジを交換しています。
これでひと段落と思いましたら・・シンクロ接片の先端樹脂部のカシメが外れています。自然に外れるケースもありますが、トップカバーを締める時にシンクロソケットのMX位置を合わせずに無理に締めると壊れます。
接片を交換するためネジを緩めると・・ネジが固着して折れました。この部分は工場でも瞬間系の接着剤を使っていますが、リード線がやり直されているので、半田付け目的で分離し、固定に瞬間接着剤を使ったものかもしれません。
まったく世話の焼ける個体です。折れて残ったネジは完全に固着してダイカスト部と一体になっていますので、新しくタップを切ってねじを留めます。
接片一式を交換しています。その他、露出計があり得ない抵抗値に調整されていたり、ファインダーのピント調整をするイモネジのスリ割りの片側が壊されていたりで、いらいらし通しの個体です。
オーナーさんから色入れの白の黄ばみを言われていたのを思い出しました。実際はもっと黄ばんでいますが、このデジカメでは補正して写ります。色入れをやり直しておきますが、計時劣化はあるわけではから真っ白には入れませんよ。
ほとほと、人様のいじったカメラは、その意図が分からないのでやりにくいものです。つぎも似たような個体の予想です・・
あっ、レンズを忘れていました。40mm f1.4ですけどF用ですからカビやヘリコイドグリスの劣化はありますね。
ヘリコイドグリスが流化して流れ出しています。これが絞り羽根に回るのです。グリスの入れ替えをします。
カビもきれいになりました。レンズのキズも少なく貴重な40mmです。では、これで完成です。