時計3個の修理依頼です。2個は現在のクォーツ時計。シチズンのクロノグラフは日窓枠が外れているのとプッシャーボタンの固着です。
本来は文字盤を分離してから接着するのですが、工数を掛けられないのでそのまま接着しています。
2個目はJ・CREWとかいうブランドですが、中身はセイコーエプソンです。こちらもプッシャーボタンが錆びついて動きませんので改善します。その他は、電池のストックが無いので入荷後の作業とします。
これはご依頼者さんのお祖父さんが所有されていた時計だそうです。オメガ・デビルcal711という2針の薄型時計ですね。薄いのに自動巻きです。程度はあまり良くありませんね。現在は不動になります。
オメガらしい赤機械。かなり何度も分解を受けていて傷が多いです。油脂汚れも多いですが水の侵入はありません。なら何とかなるかなぁ?
20μの金メッキケースは薄いですね。ベゼルとあまり変わらないぐらいです。切り欠きがありますが、故意に切り取ったのでしょうか? まさかオリジナルではないでしょうね。防水性能は無しです。
自動巻きのローターを取り去ったところ。残念ながら文字盤留めネジの1本はすでにスリ割りが無く、ネジの分離は不可能です。では、検証しながら分解して行きます。
ローターを含めて3mm弱という薄型設計のため、香箱とゼンマイも自動巻きとしては薄くて華奢です。ゼンマイは、かなりくたびれていますが切れてはいませんでした。
輪列を組んで行きます。流石に受けはピタッと収まり精度は良いと思います。
この部分が自動巻きユニットになります。
テンプを載せると動きだしました。ローターを取り付けてこちら側は終了。
今日は定期健診で新宿の病院に行って来ましたので作業はしていません。日中は穏やかに晴れて暖かだったですね。現在の新宿駅舎は1964年の東京オリンピック直前に完成した建物で、当時は画像の高架道路やタコの口のような空気取入口が近未来的で子供心にも素晴らしいなぁと感じたものでしたが、さすがに50年以上経過したコンクリート建築は老朽化が激しいですね。現在盛んに工事が進められていますが、今度のオリンピックまでには完成するのでしょうか?
しかし、世界一の一日乗降客数を誇る駅で、外国人観光客も大幅に増えていますので常にホームは混雑しています。今日は日ごろのウォーキングの成果か、脚の調子は良かったのですが、雑踏は不得手なので早々に引き上げて来ました。
で、cal.711ですが、どうも手巻きと自動巻きの連動がスムーズでない。摩耗もあってコハゼの動きも悪く、コハゼバネの形状が変形していてオリジナルの形状でないようです。
カレンダーは無いのでシンプルな日の裏ですが、2針で独特な設計になっています。歯車は摩耗気味で、過去の分解で傷だらけです。
タペストリー金文字盤は品があって豪華です。針をつけて針回しをしてみると、やはり歯車の摩耗かオメガらしくない粗い感じです。風防ガラスはフラットガラスが入っていますがΩマークはありません。オリジナルかは不明。
151-0039は1970年初期のモデルのようです。裏蓋内側には沢山の修理履歴が書きこまれていますが、プロの時計師さんとしては仕事が雑のように感じます。
シチズンの方は電池を交換して秒針の0時停止セットをしておきました。時計が重いと見えてバネ棒が曲がり気味のため新品に交換しておきます。
J.CREWの方も電池をセットして裏蓋を圧入します。
他のサイトさんによれば、DE VILLEはフランス語で街角の意味だそうですね。自動巻きなのに薄型2針の洒落たドレスウォッチです。ご依頼のお祖父さんが所有されていた時計とのことですが、お父様の体調がよろしくないとのことで、力づけたいとの想いでご依頼になったようです。各部に問題のある個体ですが、なんとか復活出来てお役に立てたでしょうか。
http://www.tomys800.sakura.ne.jp/