あ~ぁ、ストレスが解消しない間にその2になりそうです。PEN-FT(B) #3298XX ですが、この個体も整備済票付きで通販で購入されたそうです。貼り直されているシボ革の状態を見ると大体分かるのですが、色々ありそうな予感がします。
シボ革は前回の個体と同じで両面テープ貼りになっていますがトップカバー際が何故かカットされた形跡があります。なんで??
こちらもアクセサリーシューのゴムの影響で白が黄ばんでいます。例によってこの程度にしか写りませんが。。
トップカバーを開けると・・なんか怪しい雰囲気ですよ。どうもこの個体の露出計ユニットは基板別体タイプのようですが、この配線は何でしょう?
あらら、Cdsが汎用のものに置き換えられており、ハーフミラーも例によって汎用をカットして接着されています。
汎用のCdsを取り付けるのには、基板別体タイプのハウジングの方が都合が良いのは分かりますが、そもそも基板別体タイプをオリジナルで装備した個体は、生産の最後期のみで、その他はSSでの露出計不良によるユニット交換を受けている場合だと思います。とすると、Cdsを交換しなければならないような劣化は殆ど無いはずですが・・
ここに半固定抵抗が隠れていました。オリジナルの新品部品が無い現状で、このような修理方法も一つの選択肢であるのは理解しますが、私は電気的な知識がありませんし、基本的にはオリジナルにこだわりたいと思っています。
ん?。32万台の個体で、この部分の留めネジがスリ割りネジとは考えられませんが・・
あちこち接着剤でドロドロです。
まず、接着剤と汚れを完全に清掃してあります。
前板関係も分解を受けていまして、リターンミラーのピント調整に苦労した形跡があります。そんなことでスクリーンにもキズがついてしまったようです。
ハーフミラーを貼られていたハウジングの接着剤を丁寧に落としていきます。このような個体の修復作業には、未分解の個体の数倍の工数が掛かるのです。
ブレーキ軸と地板にはかなりのガタがあります。
この個体もチャージギヤ軸の摩耗があります。軸の右側が摩耗しているのが分かるでしょうか?
前板側を見ていますが、すべて分解をされていますね。いっそ、そのまま手をつけないでいてくれた方が良かったです。遮光幕がスクリーン抑えの内側に入っていません。
マエカバーの先端が切れています。貼り直されたということ。
はぁ、リターンミラーも良くなかったですね。今回は再使用で・・
最初から組み直します。前板は洗浄します。
フレネル・スクリーンは残念ながらキズだけではなく、接着剤が付着しています。しかし、溶剤では拭けないのです。この個体のように後期型はスクリーンは四角ですが、それ以前は上下に二か所づつの突起があり位置決めを確実にしています。まぁ、無くても良いとの判断でコストダウンされたのでしょう。
スクリーン抑えがクシャクシャに変形しています? 修正をして使います。
ミラーユニットを超音波洗浄をして注油します
本体と前板側が完成しました。
接眼プリズムの墨塗りが剥離したままです。モルトが悪さをして塗料を侵しているので、古いモルトの除去には注意が必要です。もう遅いみたいですけど・・再塗装をしてからモルトを貼ります。
露出計ユニットは同じ30万台のストックから選びました。ハーフミラーは新品と交換です。尚、露出計ユニットの良品は貴重で、当方にもストックが多くありません。
バネカケは180°取付角度が間違っていましたので正規の位置で組んであります。シンクロ接片を留めるネジが規格外⊕でしたのでオリジナルに変えてあります。白のリード線は再半田付けの時に短くされたようで、正規の配線をすると長さが足りないので新製してあります。
調整部のメクラネジも変えられています。オリジナルは⊖ネジです。という具合で、不具合の修理と言うよりは、オリジナルに戻す作業の方がはるかに多いのがお判りいただけるでしょうか?
1台に何日掛けているんだ。と思われるでしょうね。私も早く完成させたいのですが、次から次と修正ポイントが出て来るのです。オリジナルへの修復は手間が掛かるということ。で、トップ面がヨレヨレで凹みを内側から乱暴に叩き出して盛り上がっていますので修正をしておきます。
オーナーさんはシボ革はそのままと言われますが、左端の寸法も足りないので、このまま使うわけにはいかないのです。で、左のものを使います。
右側のシボ革の先端部が欠落していましたので、継ぎ足してあります。
本体側はセルフタイマー不調を修復してあります。トップカバーは文字の色入れをやり直してあります。
やっと終わりましたよ。オリジナルを崩されると修復には多くの工数が掛かるということ。
2台共同じオーナーさんです。ブラック2台とは豪華ですね。