リコー・キャディーはリコー最初のハーフカメラで、1961年7月発売とのことです。レンズは広角の25mm f2.8(3群4枚富岡光学製)と来ればPEN-Wと同じスペックですけど、PEN-Wの発売は1964年9月だからキャディーの方が早いんだね。単独の露出計を内蔵していて、PEN-EEの発売は1961年8月だから、こちらも1カ月早い。へぇ、革新的に製品だったんですね。で、この個体はシャッター固着ですけど、このシャッター(精工舎#000/561)は羽根の張り付きが多いです。全体的にきれいな個体ですが、トップカバーの両肩が凹んでいます。
こちらは多少は修正が出来ると思いますが、本来はガラス窓を外さないと叩けません。
このような裏のダイカストと圧縮で変形したものは、まず修正出来ません。
あまり画像を撮ってなかったんです。巻上げのフィーリングはギリギリ、ガッチャンという感じで、あまりスムーズではありません。底部のギヤとリンケージを分解洗浄でグリス塗布をします。左端のネジは左ネジなので注意。
精工舎のシャッターですが、PEN-Sのコパル製のような繊細な感じてはありませんね。テンションスプリングもかなり強いコイルバネが使用されています。巻上が重い一因。なのに羽根は張り付くんですね。分解洗浄をします。
レンズは曇りやカビは無く非常にきれいです。新種ガラスや高級なコーティングを施されていないレンズの方が劣化が少ないように思います。
しっかりとした地板にPENによく似たファインダーと露出メーターが組み込まれています。セレンはトップカバーにブリキのおもちゃと同じ、ベロを折り曲げる式で取り付けられているため、ベロを起こすと折れる危険性が高いので取り外しません。私、ベロが折れるのを一番最初に経験したのは5-6歳の時にD51のブリキおもちゃを分解した時が最初でした。関係ないか??
レンズを清掃をして接着をしたところ。面白いのは、アイビース枠がトップカバーではなく、ファインダー側に付いていること。LV表示はドラム回転式。
配線はトップカバー側と本体側で独立しています。
巻き戻しダイヤルは沈胴式というか、左側に捻じるとポップアップします。
PENの巻上げダイヤル位置(上方)は設計者の米谷さんが人間工学の観点からスケッチを描いて決められたのですが、それからすると、底部のこの位置はお世辞にも巻きやすいとは言えませんね。トップに露出計を内蔵しているので苦肉の設計でしょう。
ASA感度によりLV表示を切り替えます。このギミックは好きです。
内部の設計はどこのメーカーが設計してもこうなるのね。しかし、PENと違って裏蓋は丁番式です。
同じ25mmならPEN-W用に作ったフードが付くかな? あら、付いた。
当時の発売価格は¥10,800(ケース付)だったようです。個体数は少ないようですから大切にされてください。