激しく角をへこませて痛々しいPEN-FV #11327XXです。現オーナーさんのミスかは知りませんが、「何とか修正をして欲しい」とのご要望です。しかし、一番修正が困難な部分で、美的観点からの修正では到底お受けできません。
じつは、裏蓋が開かない状態でした。⇧部分のトップカバーが上からの衝撃で下がってしまい、裏ふたが収まるスリットが狭くなって裏蓋が挟まっているからです。
ヘコミ面を見るとコンクリートの上に落下したと分かります。ここまでへこんでいると多少叩いたぐらいではへこみは動きません。特にクロームボディーは真鍮母材の上にニッケル層とクローム層がありますので、ブラックモデルよりも硬く、より修正が困難なのです。今回は機能的な観点から修正をしましたが、これ以上力を掛けると真鍮母材にクラックが入りますので止めておきます。修正は非常にリスクの高い作業ですが、修正工賃を頂いたことはありませんのでクレームは無しです。
シャッターユニットはチャージギヤ軸に軽微な摩耗はありましたが、その他は特に問題はありませんでした。光学系の状態は非常に良くプリズムのコーティングも完全です。
落下の過去がある個体の場合はプリズムなどのレンズ類にカケなどの損傷があることが多いのですが、この個体は幸い無事でした。接眼プリズムのコーティングも良好でした。
この個体はレンズマウントの裏に調整シムが入っていました。PEN-FTの場合、前板ダイカストの成形が中央で沈む傾向があるので、多くの場合⇦の部分に入っていることが多いです。
組立完了、修正をしたトップカバーを付けます。裏蓋の開閉などに支障が無いことを確認します。
付属して来たボディーキャップですけど、最近はこのようなものが流通しているのですかね? 3Dプリンターで出力されたものでしょうか。ボディーに嵌める時に合わせ位置が分からず困りましたが、よくよく見るとボッチ↗が成形されていました。成形肌が荒いので赤●などの色入れがし難いですので改良されると良いですね。カメラとしては非常に調子が良く仕上がりました。不注意のへこみが惜しい個体です。