目のコンディションは改善方向なのでボチボチ作業を始めています。この初期型PEN-FV #1064XXはフランスからの修理ご依頼です。当然、私はフランス語が分かりませんので、国内の代理人の方を経由しています。あまり使われなかったきれいな個体なんですけどね。製造はFTで言うと#117000 と同じ1967年3月の製造で、当然使われているユニットはすべて初期型のものなので、安定性には難がある厄介の個体です。
当然、現状はフリーズ状態となっているわけですけど、O/Hで問題はないと思うのですけどね。では、本体を洗浄してモルト貼りから組み立てて行きますが、初期型は巻上げユニット周辺のネジは全て真鍮のスリ割りネジで、強い緩み止めが塗布されていて、不用意に緩めようとするとスリ割りを壊すか頭がねじ切れるかです。分解を想定していないと言うか、ネジの緩みを懸念していたようです。まぁ、そこは経験で分離しますが。
リターンミラーですが、長期間、革ケースに入っていた影響か、外周のメッキは飛んで無くなっています。しかし、使用できない状態でもありませんが、オーナーさんのご希望により交換することにします。
新しいミラーを貼ったミラーホルダーを取り付けました。ミラーユニットも当然初期型です。
最後のプリズム関係を組み立てて、前板関係は完成させます。
シャッターユニットは摩耗はしていませんが、スローガバナーは初期型です。しかし、特に歯車の偏摩耗はありませんので洗浄注油してあります。シャッターバネは少しくたびれているんですね。まぁ、今回は再使用とします。
シャッターが完成しましたので、前に完成している前板を組み込みます。
全反射ミラーは腐食も無く見かけきれいでしたが、こちらも交換をしておきました。
これでメカは完成。
トップカバーを取り付けましたが、巻上げレバー裏のネジは丸皿のスリ割りネジで、アンダーカバーもスリ割りネジ(巻き戻しは+ネジ)が初期型の特徴。
付属の38mm。長期に保管されたレンズは後玉のコーティングが劣化します。全体のO/Hをします。
その他、巻き戻しクランクもPEN-Fと同じローレットタイプです。きれいな個体ですが、どこで入手されたのでしょうね。まぁ、海外でもファンの方がいらしてうれしいですね。