今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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どこへ行ってたPEN-FTの巻

2021年06月21日 22時30分00秒 | ブログ

ここしばらくPEN-FTが来ていませんでしたね。取り上げる回数が減っていることも影響しているかと思いますが、最近PENのご依頼が少ないのです。その中で送って来られる方は若い世代の方が多く、世代交代を感じます。で、#3081XXと製造も新しく非常にきれいな個体で、気になるのは巻き上げのゴリツキ、ファインダーの曇り、セルフタイマーのロック不良ぐらいでしょうか。特にドラマはない個体と予想されます。30万台としてはハーフミラーの蒸着メッキ飛びが激しいと思いますね。殆ど抜けています。反射率が極端に落ちているので曇って見えるのです。以前にハーフミラーについて問い合わせを頂きまして、非常に専門的な性能項目を公開せよ。とのことでしたが、純正ミラーの規格は何世代も前の古い製法で製作されたもので、現在、全く同じ製法で作ることは出来ないのです。返って現在の製法の方が反射率等に優れているとも言えます。また、純正ミラーでも製造時期によって何種類か仕様を変えていて全て同じではありません。そのような事情からあくまでも純正の置換えとして使用できることを狙って製作していますので、その点ご理解の上ご利用頂ければ幸いです。

市販されているモルトキットが貼られていますが、古いモルトを取り除かないと返って弊害がありますよ。

 

 

本体洗浄の上、組み立てていきます。

 

 

30万台なので全体的な劣化は少ないのですが、テンションシャフトのガタが少し大き目かなぁ?

 

 

洗浄組立をしました。チャージギヤ軸の摩耗はありませんでした。

 

 

テンションシャフトの摩耗も軽微なのでブレーキ軸と地板側との部品嵌合によるガタです。シャッターバネの係り位置は標準でした。素性は良いシャッターと言うことです。

 

コントロールレバーが緩むとスローガバナーとの連動が外れることがあるので緩みをチェックしておきます。

 

本体にシャッターを組み込みましたので清掃をした裏蓋を取付けておきます。

 

前板関係を分解清掃しました。スクリーンに黒点汚れがありましたが清掃で取り除くことが出来ました。

 

 

接眼枠の表面が傷ついていましたので研磨をしてから取り付けます。

 

 

こんなにメッキが飛んでいるのです。当然、新品と交換になります。

 

 

細かなレバーカバーなどを接着していきます。

 

 

メカ部分はほぼ完成しました。巻上げもスムーズになっています。久しぶりにFTを組んでみると「え~こんなに組立に工数が掛かるカメラだったかなぁ」(すでに丸二日)と改めて思いましたね。しかも工賃に反映しにくいのが悩みの種です。

付属の40mmはレンズの汚れとヘリコイドガタが気になります。

 

 

過去に分解を受けているようです。

 

 

レンズを分解清掃をして行きます。

 

 

ピントリングの回転を逆にするとコクッとガタを感じるのはヘリコイドのアウター側のグリスが抜けているからです。グリスを入れ替えて改善しました。

 

最後に露出計の調整をしましたが、30万台機としては感度低下が大きいと感じました。これは湿気の多い場所に長期間放置されていたと推測します。このようなCdsの場合、感度を補正しても電圧の変化に対して非常に敏感になる傾向があります。この個体には電圧変換用のアダプターにアルカリ電池のLR44がセットされていましたが、すでにわずか電圧降下をしていて電池単体で1.47V、アダプターを介して基板直前の電圧は1.25Vでした。因みに新品の酸化銀電池SR44の単体電圧は1.58Vで、アダプター介すと1.36Vとなりました。この電圧差によりメーター指示が1段程度変化してしまうこともありますので、使用する電池は電圧降下をするLR44ではなくSR44を使用してください。

最近珍しいぐらい摩耗も少なく外観もきれいな良い個体でした。しかし、特殊な構造と部品点数の多さに加え、微妙な組み立て方の違いによって性能の安定性や巻上げ感触などが変化してしまう難しいカメラなんですね。

 

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