今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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完全手遅れのPEN-D2の巻

2021年01月07日 21時10分00秒 | ブログ

一見きれいな希少PEN-D2と思うでしょ。そう、元々は悪くはない個体なんですが・・

 

 

これですよ。過放電により液漏れをしていてすでに手遅れ状態。電池室や本体の塗装も侵されています。

 

この場合、慎重にネジを緩めないとスリ割りが壊れるか頭が折れます。やっと分解したところ。絶縁パッキンは完全に死んでいます。

 

ネジは電池の液により浸食されていて再使用は出来ません。しかし、M1.4で長いネジは他では使用していませんので代用を見つけるのが大変です。特にスリ割りネジを探すのは困難ですので+ネジで代用することになります。

 

この個体は未分解機だと思いますが、ネジが親の仇のように強く締めつけられていて分解が困難でした。まず、スプール軸とギヤが緩まない。画像の前面プレートが緩まない。また前玉ホルダーも緩まない。最後はシャッターの取付けネジのスリ割りが痛むほど締められていました。ネジは強く締めれば良いというものではなく、締め付けトルクを守らないと分解時に破壊に繋がる危険があります。

よく観察すると、シャッター留めネジの部分が荒らされてマジックのようなものが塗られています。この個体は未分解機と思いましたが、手が入っているようです。道理で、あんな締め方は工場はしないはずです。

 

本体を洗浄して電池の漏れ液を完全に除去してあります。では、リード線から新製して行きます。

 

電池室部分の部品を洗浄研磨してあります。絶縁パッキンは自作しました。

 

 

ターミナルの半田付け、絶縁パッキン、電池室の順に組み立てていきます。

 

 

ネジは汎用品で+は仕方ありません。皿、ナベ寸法など規格はオリジナル通りです。液漏れにより塗装も侵されています。リペイントをすれば完全ですけどね。

 

あっ、ピンボケだ。

 

 

ヘリコイドが固着していましたのでグリス交換してシャッターと組んであります。しかし、シャッターのチャージが出来ない。観察するとチャージの中間バネが伸ばされていました。修正して良好になったところで今日はここまで。

 

いけね。ひどい電池室ばかりに気を取られていて、肝心の露出メーターが動かなかったんだ。意外にD2,D3のCdsは丈夫で回路の修復で復活しました。ホッ。

 

ファインダーの清掃をして本体に取り付けました。メーター窓のセル板は黄変気味ですけど、この材質は静電防止材なので安易に作り直しは出来ません。

 

私たち修理人はつくづく掃除屋だなぁと感じます。作業の多くを清掃に当てています。外から見えないのでこのまま取付けることも出来ますが、それは出来ません。

 

平行で裏蓋を仕上げてあります。最後に前面プレートを絞めてやっと完成です。今回のように、普通のオーバーホールではない個体は工数が掛かります。

 

この個体#1370XXは、シャツター完成(昭和39年9月) 製品完成1964年10月です。ちょうど第18回東京オリンピックが開催されていた時。あの頃は高度経済成長で大人のおじさんたちが生き生きと仕事をしていました。去年の2020東京オリンピックはコロナによって開催できず、果たして今年の開催も危ぶまれています。両方の時代を生きている私としては何とも残念な気持ちです。

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