セイコー・クラウンは実用テスト中ですが、調子は良いですよ。古い腕時計が欲しい方はご相談ください。で、カメラに戻ります。PEN-F #2733XXは1963-3月製とスプロケットが樹脂製となった後期型ですが、過去に部品を購入いただいているオーナーさんから送られて来ました。Fは久しぶりだね。どこへ行ってしまったのでしょう? 付属のレンズは38mm f2.8と渋いのが付いていますねぇ。完全にフリーズ状態で、シャッター羽根の止まり方が嫌だなぁ・・
裏側から。あちぁ~という感じ。最悪の場合、メインスプリングが折れていることも考えられましたが、テンションはあるようですから折れてはいないようです。
シャッターダイヤルが天地逆に取り付けられているとのお訴え。どちらにも付いてしまいますからね。
駒数板の一部が曲がっていますね。取り外さないまま、トップを裏側に置いて作業をすると「あっ」となったのです。軸との回転も非常に重い(軸先端の圧縮による太り)です。
応急でセットをしてみましたが、とにかく、各部の作動が非常に重い。シャッター羽根が正規の位置に戻らないのも、フリーズ(誤作動)の原因です。
原因はブレーキのOリング固着です。まったく動きませんのでブレーキも利かず、作動も完了しないのです。これは交換となります。
FはFTに比べて古いですから汚いのが多いのですが、レンズマウント部の腐食をそのままにしてマウントをセットしてあるので、フランジバックが不正確になっています。
私は性格的に汚いのは嫌いなので、修理前にはとにかく清掃を心がけます。
以上の部分を組み直せば、間違いなく作動しますので、ここで終わっても良いぐらいです。と言うわけにもいかないので、全て洗浄をした本体と部品で組み立てていきます。ピンセット先の小歯車が全く固着して回転しません。これでカウンター回ってましたか?
シャッターユニットを分解洗浄したところ。ブレーキのOリングが嵌るホルダーはOリングが悪さをしてか、激しく錆びているものがありますが、この個体も同様でした。錆を研磨すると寸法が変わってしまうので、Oリング側で寸法の調整をして行くことになります。ポン付けでは適正なブレーキ力をコントロールできません。
テンション軸ですが、ここは無給油で回転していますので、かなり線状痕が出来ています。これも巻上げの感触に影響します。オイルレスメタルというわけでもないと思います。
劣化して交換したOリング。すでにブレーキリング間にセットしてあります。あとはハンマーを取り付ければ作動します。
前板のリターンミラー関係とプリズムの状態は悪くはありません。後期型ですからプリズムの腐食もなく良好です。
全反射ミラーはすり傷はありますが、再使用としてあります。少しでもファインダーを明るくしたい場合は、反射率は低下していますので交換した方が良いですけどね。駒数計はスプール軸の変形を修正してスムーズに駒数板が回転するようにしてあります。あっ、曲がった駒数板も修正をしてありますが、アルミですから一度曲がったものは完全には戻りません。ネジには、灰色の緩み止めが塗布されていますが、美しくないので、私は全て溶剤で洗浄してから使用します。最後にシンクロターミナルのリード線が横方向に着けられていましたので、気分が悪いのでまっすくに着けなおしてあります。前回のシボ革の接着も下手ですね。あ~気分が悪いんだ。
今回は手を着けませんが、付属のレンズに珍しい38mm f2.8が付いていますね。安価なセット販売用でしょうか。
後玉の口径も小さいですね。私のところにも過去数個の個体が来たのみです。
FTと違って、お顔が完成されていませんね。しかし、初期型は、この部分の地板の形状が異なり、ギヤが露出しているタイプですから「顔」にならないのです。レリーズのリンケージも初期とは変更になっています。
一時はどうなっちゃったの状態の個体でしたが、仕上げてみると巻き上げも軽くスムーズで、シャッターもトルクがあって安定しています。Fは古いですから、放置をされるとこんなのが多いのだろうなぁと推測します。しっかりメンテナンスをして、本当のPEN-Fを実感して欲しいものと思います。
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