今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

バラバラになったズイコー38mmの巻

2015年03月15日 21時30分18秒 | ブログ

都合で軽めの作業としておきます。PEN-F用38mm f1.8ですが、かなり使い込まれて古いだけあって汚れ放題です。使用中にヘリコイドが抜けてしまいバラバラになってしまったとのことです。まずは、ヘリコイドネジの正しい入口を見つけなければなりません。

ヘリコイドグリスも殆ど流れ出ていますので、新しいグリスに入れ替えて組んであります。

 

原因はヘリコイドガイドのコマの脱落です。ここは、強いネジロックで留められていますので、自然に緩むことはあまりないのですが、中にはありますね。絞り羽根も洗浄をしてあります。

 

シボリリングにクリック用のスチールボールをセットしてグリス塗布のうえドットリングで抑えます。

 

F用の38mmも程度の良いものが少なくなっていますが、この個体も先端のマウントリングも凹んで歴戦の痕が覗えます。

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SEIKO クラウン 15002のゼンマイを交換するの巻

2015年03月14日 19時57分38秒 | ブログ

いよいよ、F1グランプリが始まりましたが、期待のマクラーレン・ホンダは予選最下位。あちゃー、予想はしていましたが、一年遅れの参戦はホンダにとって厳しいですね。さて、どこまで巻き返してくれるのか期待しましょう。昨日と今日、検査通院のため新宿まで出かけておりましたので、カメラの作業はお休みしています。(お待ち頂いている方すみません)で、帰りにヨドバシカメラに寄って買い物をして来ましたが、母親にと安いクォーツ腕時計を購入しようとレジに出しましたら、対応の女性店員の方のアクセントがちょっと変? あぁ、中国の方のようです。少し前の春節では、大挙して中国人観光客が来日して爆買現象が起きているとニュースでやっていましたね。それで、中国語で対応できる店員を採用しているのかぁ・・。大江戸線にも外国人観光客が多く乘っていましたよ。何はともあれ、貴重な外貨獲得で、不況脱失の日本経済にとっては有り難い昨今の外国人観光客増加です。で、時間が中途半端ですので、少し前に修理をして、仮のゼンマイを組み込んであったクラウンのゼンマイを交換します。洗浄して香箱にゼンマイセットして注油をしたところ。

暗い画像ですみません。デジカメが良くないもので。本来は、機械を取り出しての作業が安全ですが、ずるをしてそのままで香箱をセットします。歯車に接触をして変形させないように注意です。

 

受けをセットして角穴車を取付けて終了。巻き上げの感触は、やはり多少?軽いように感じますね。異常に巻き上げが重いと、歯車に過大なトルクが掛かって消耗や変形の原因になります。

 

ベルトも2本購入して来ました。それを取付けて完成。左と中央はマーベル、右がクラウンで左から右が製造年順。年々、文字盤のサイズが大型化して行くのが分かりますね。私の細い腕には、中央のマーベルがフィットします。しばらく、この3個を気分で使い回ししていくつもりです。非防水は軽く腕に馴染んで最高ですよ。

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こんなのがあるんだぁPEN-FT(B)の巻

2015年03月09日 15時09分16秒 | ブログ

ベテランのご常連PENファンさんから素晴らしいコンディションのPEN-FT(B)が来ました。やっと入手をされたそうです。ブラックは元々現存数が少ないのですが、塗装のコンディションは完璧で、塗装面の磨滅も少なく、新品の艶消し状態を維持している個体です。へぇ~、こんなのが残っていましたね。残っていたのには理由があったのでした。作動は不動状態で、例によってFT使いが皆やってしまう苦し紛れのセルフタイマー攻撃もしてありますね。応急復帰もしませんので、これはシャッターの中心で何かのトラブルを抱えているということです。

ほんと、デジカメが悪いのでニュアンスが表現できませんが、塗膜の磨滅がないのが分かりますかね。セルフタイマーレバーの裏と艶が変わらないことで磨滅がないことが分かります。

 

トップ面はこんな感じ。きれいですね。私も塗装の見本として所有したいぐらいです。傷や当たりもありません。

 

おぉ、分解歴は無しですね。このような個体は工場での組立標準を知る上で貴重な資料となります。リード線の配線方法など、細かなところもチェックをしておきます。

 

で、故障の原因は目鼻がついていました。完全に固着をしている場合はブレーキリングの留めナットの緩み。緩んだナットが飛び出して来てハンマーと接触をするためです。この部分の緩みは初期から対策に追われて、緩み止めのポンチを打ったり、ナットを真鍮製に変更するなどの対策が行われましたが、根本的な解決策は最後まで無かったようです。この個体は、たぶんフィルムを通した本数は少ないと思いますので、新品のかなり早い時期にナットが緩んで使用出来なくなったと推測します。保証期間なのに何故サービスに出さなかったのでしょう? まぁ、それが原因で、殆ど未使用の状態で残ったとも言えますが。今回はここでUPを止めても後は同じなんですけどね。続き、やりますかね?

この個体#3209XX(1969-11月製)はチャージギヤはカシメのため地板から分離が出来ません。前回の#3581XXは薄リングナットでの組立で分解が可能です。シャッターユニットでは、これが最後の変更ですね。

ブレーキリングを組み立てます。ブレーキナットはご覧のように薄いですからふた山程度しか掛かりませんのでゆるみ易いのは当然です。強い慣性が働く部分の設計としては厳しいところです。

 

巻き上げレバーユニット。巻き上げレバーのガタが大きいので点検すると、地板の留めネジが緩んでいました。普通はねじロックが塗布されていて簡単には緩まない部分です。殆ど使われていないカメラですしね。シャッターユニットと巻上げレバーユニットは別々に製造された部品ですが、二つの不具合が重なった不運な個体です。疲労が溜まった明日がお休みの土曜日に製造されたんですかね?。

TTLナンバーの表示の光路を清掃してから遮光カバーを接着します。

 

 

メカ部分の組立完成。

 

 

リペイントをした時のように気を使いますね。しかし、底蓋の角(前面にも)には塗装ブツがあります。この程度は良品ということです。電池蓋も塗装はげがなく良い状態です。電池はたぶん1回しか装填されていないのでしょう。で、電池。SONY MR-9 消耗した古い電池かと電圧を測定してみると・・1.35Vぴったりです。こんなの売っているのですか? 露出計も補正なしでばっちりです。

使用開始の初期に故障をしたことが今となっては幸いをした個体ではないかと思いますね。さすが、ベテランのペンマニアさん。良い個体をGETされました。付属の38mmもマウント部にはすり傷がありませんので、最初にセットしたままではないかと思います。絞り羽根に油が回っていますので清掃をします。

 いけね、今日の更新忘れてた。と言っても僅かですが。付属の38mmもマウントはすり傷なしの新品状態。シリアル№も近いですからセット販売ですね。絞り羽根の油付着は仕方ないですから、全て分解洗浄をします。

レンズを装着して完成。きれいな革ケースは付属していましたが、これで取説や保証書、元箱があったら完璧なんですけどね。明日、病院の定期検査のために新宿へ行くので、帰りに中古屋さんを覗いてみましょうか。

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とくにタイトルが思いつかないPEN-FT

2015年03月06日 20時40分52秒 | ブログ

また、PEN-FTに戻ります。#3581XXと後期型の良い頃の個体ですね。1970-7月製になります。70年代って聞くと、僕らの年代では、つい昨日のことに感じますけどね。バイクのマッハⅢに乗り始めた頃です。あの三気筒の変則的な排気音が好きでした。すっ飛んで行った後には、煙がたなびいているだけってやつ。お話が逸れちゃいました。F系が続くなぁ。この個体は、シャッタースピードが遅れるとのお訴えでしたが、テスターで継続して測定しても、安定していて症状がありません。巻上げは30万台としては重い感じでファインダーも暗い。では、オーバーホールということにします。底蓋に打痕がありますので、軽く修正してから作業に掛かります。

そもそも、過去に分解歴あり機で、セルフボタンの分解キズ、マウントネジのスリ割も笑っています。

 

ターミナルの半田付けがやり直してあって、遮光用のテープが取り去られたままになっていますね。とくには問題は無い個体だと思います。

 

 では、すべて洗浄をしてから組み立てていきます。この時は何も書くことのない平和な個体と思ったのでした。スプロケット上ギヤを取り付けます。ネジのスリ割りが大きいですから、適合したドライバーを使ってスリ割りを痛めないようにします。

シャッターユニットは35万台ですから最終の仕様です。ギヤと軸の摩耗は少ない方です。チャージギヤは薄ナットで組み立てるタイプ(最終)です。特に問題は無し・・と。

 

と思ったらありました。テンションシャフトギヤがおかしいのでルーペで拡大をしてみます。あら~、ギヤの歯数枚が潰れていますね。

 

裏側から。12時から2時あたり。このようなケースは経験がありません。使用過程での摩耗変形ではありませんね。観察すると、軸にギヤをカシメる工程でミスをして歯の部分を潰してしまったようです。部品の受入検査では抜取検査のため、試料中で見つからないと良品として採用されてしまいます。普通は組立工程で除外されるのですが、今回はそのまま組まれてしまったというケースでしょう。幸いシャッタースピードは正常ですので完成検査でも発見されなかったようです。

35万台と比較的新しい個体ですが、シャッターダイヤルのホールド部のみが不釣り合いに腐食しています。マウント裏も腐食の粉が吹いていますので、水の侵入が多かったのでしょう。

 

出来るだけ研磨をして取付け。(交換した方が良かったな?)ハーフミラーも湿気が多く劣化が進んでいましたので交換しています。気になったリード線の半田付けをやり直して今日はここまでです。

その個体が置かれていた環境を推測するのに、私は表面処理のない真鍮の部品の劣化具合を見ることにしています。この個体は、シャッターダイヤル、セルフタイマー(ユニットも)などに酸化が進んでおり、画像の駒数板留めネジも真黒に酸化しています。(ネジ部と比較)また、湿気の多い環境に置かれた露出計(Cds)は劣化が進んでいると感じます。35万台でしたら8割の個体で露出計は正常に動いているはずですが、この個体の露出計は約3段ほどマイナス傾向です。

ということで、何も問題のない平和な個体と思いましたが、いろいろあるものですね。

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どうなっちゃったのよPEN-Fの巻

2015年03月03日 19時01分04秒 | ブログ

セイコー・クラウンは実用テスト中ですが、調子は良いですよ。古い腕時計が欲しい方はご相談ください。で、カメラに戻ります。PEN-F #2733XXは1963-3月製とスプロケットが樹脂製となった後期型ですが、過去に部品を購入いただいているオーナーさんから送られて来ました。Fは久しぶりだね。どこへ行ってしまったのでしょう? 付属のレンズは38mm f2.8と渋いのが付いていますねぇ。完全にフリーズ状態で、シャッター羽根の止まり方が嫌だなぁ・・

裏側から。あちぁ~という感じ。最悪の場合、メインスプリングが折れていることも考えられましたが、テンションはあるようですから折れてはいないようです。

 

シャッターダイヤルが天地逆に取り付けられているとのお訴え。どちらにも付いてしまいますからね。

 

駒数板の一部が曲がっていますね。取り外さないまま、トップを裏側に置いて作業をすると「あっ」となったのです。軸との回転も非常に重い(軸先端の圧縮による太り)です。

 

応急でセットをしてみましたが、とにかく、各部の作動が非常に重い。シャッター羽根が正規の位置に戻らないのも、フリーズ(誤作動)の原因です。

 

原因はブレーキのOリング固着です。まったく動きませんのでブレーキも利かず、作動も完了しないのです。これは交換となります。

 

FはFTに比べて古いですから汚いのが多いのですが、レンズマウント部の腐食をそのままにしてマウントをセットしてあるので、フランジバックが不正確になっています。

 

私は性格的に汚いのは嫌いなので、修理前にはとにかく清掃を心がけます。

 

 

以上の部分を組み直せば、間違いなく作動しますので、ここで終わっても良いぐらいです。と言うわけにもいかないので、全て洗浄をした本体と部品で組み立てていきます。ピンセット先の小歯車が全く固着して回転しません。これでカウンター回ってましたか?

シャッターユニットを分解洗浄したところ。ブレーキのOリングが嵌るホルダーはOリングが悪さをしてか、激しく錆びているものがありますが、この個体も同様でした。錆を研磨すると寸法が変わってしまうので、Oリング側で寸法の調整をして行くことになります。ポン付けでは適正なブレーキ力をコントロールできません。

テンション軸ですが、ここは無給油で回転していますので、かなり線状痕が出来ています。これも巻上げの感触に影響します。オイルレスメタルというわけでもないと思います。

 

劣化して交換したOリング。すでにブレーキリング間にセットしてあります。あとはハンマーを取り付ければ作動します。

 

前板のリターンミラー関係とプリズムの状態は悪くはありません。後期型ですからプリズムの腐食もなく良好です。

 

 

全反射ミラーはすり傷はありますが、再使用としてあります。少しでもファインダーを明るくしたい場合は、反射率は低下していますので交換した方が良いですけどね。駒数計はスプール軸の変形を修正してスムーズに駒数板が回転するようにしてあります。あっ、曲がった駒数板も修正をしてありますが、アルミですから一度曲がったものは完全には戻りません。ネジには、灰色の緩み止めが塗布されていますが、美しくないので、私は全て溶剤で洗浄してから使用します。最後にシンクロターミナルのリード線が横方向に着けられていましたので、気分が悪いのでまっすくに着けなおしてあります。前回のシボ革の接着も下手ですね。あ~気分が悪いんだ。

今回は手を着けませんが、付属のレンズに珍しい38mm f2.8が付いていますね。安価なセット販売用でしょうか。

 

後玉の口径も小さいですね。私のところにも過去数個の個体が来たのみです。

 

 

FTと違って、お顔が完成されていませんね。しかし、初期型は、この部分の地板の形状が異なり、ギヤが露出しているタイプですから「顔」にならないのです。レリーズのリンケージも初期とは変更になっています。

 

一時はどうなっちゃったの状態の個体でしたが、仕上げてみると巻き上げも軽くスムーズで、シャッターもトルクがあって安定しています。Fは古いですから、放置をされるとこんなのが多いのだろうなぁと推測します。しっかりメンテナンスをして、本当のPEN-Fを実感して欲しいものと思います。

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