今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ペンもやってます。PEN-FTの巻

2015年09月17日 20時25分26秒 | ブログ

時計と並行してPENもやってましたよ。PEN-FT #1983XXですが、町内会の方から譲られたとのことです。非常にコンディションは良いですね。リターンミラーの腐食が進んでいますが長期で保管されていたのでしょう。特に書くことも無い感じですので簡単に・・

いつものように、すべて分解洗浄をして組み立てていきます。

 

 

巻上げのフィーリングはガリガリ感が強かったですね。シャッターユニット単体では非常に滑らかに仕上がっています。

 

前板関係。リターンミラーの外周が腐食していますね。使用は可能ですが、交換をご希望ですので・・

 

リターンミラーの交換は、いっそのこと剥がれていてくれた方が作業は楽なんです。この個体の接着は非常に強固でした。

 

いつもの画像。ハーフミラーは交換しました。リターンミラーユニットと連動した後の巻上げもスムーズです。

 

19万台の個体としては、素晴らしいコンディションだと思いますね。セルフタイマーはまだ改良前のガリガリっと言うタイプですが。付属の38mmを清掃してピント調整で完成です。

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Ωオメガ・レディースCal 630 のオーバーホールの巻

2015年09月14日 14時55分33秒 | ブログ

東北地方の豪雨は大きな被害を出してしまいましたね。異常気象というよりは気候変動という気がします。うちの前の陸上自衛隊立川駐屯地から多数のヘリコプターが離陸して行きました。被災された方々にはお見舞い申し上げます。関東地方でも、ここのところ秋の長雨が続いていました。毎日雨でしたので、庭でのバイクいじりも出来ません。一昨日は雨が上がって虹が掛かりました。

昨日も全く同じ時間に、こんどは二重の虹です。週末はやっと晴れ間が出るようですが、日曜日は法事なので、土曜日しかバイクをいじれないなぁ。。

 

で、久しぶりに時計ですが、オメガの婦人用の小さなモデルです。SeamasterとDE VILLEのダブルネーム。Cal 630 17石ですが、裏蓋の無いワンピースケースです。竜頭を引っ張って抜いてから機械を取り出します。

しかし、しばらくぶりの時計でこのサイズは辛いです。紳士用の半分ですよ。各部品のサイズも比例してスモールなわけで、目がついて行かない~。機械ホルダーが一杯のところです。婦人用はやりたくないので、小さな機械ホルダーは持っていません。

小さくても一人前に部品点数はあります。この機械は一度も分解を受けていない個体で、オメガの銅色の地板はきれいですね。1960年代のモデルなのでしょうか。

 

テンプの耐震装置も小さいので、注油も神経を使います。注油のやり方は個人によって色々な流儀があるようですが、基本は受石中央に注油をして穴石を被せるのがセオリーのようです。しかし、私の場合は受石をロディコでくっつけておいて穴石に被せます。ピンセットでつまむと、飛ばしてしまう危険性が高いからです。じつは今回も・・衝立のおかげで紛失防止。予備は持っていませんので・・

この機械は三針で秒針がありますが、画像のように出車を介して中央の秒針を駆動しています。秒針カナはカナ押エバネで保持をしています。二針にCal 620という機械がありますが、それに秒針を追加した形でしようかね。小さくても流石にオメガで、精密で部品の嵌合も素晴らしいです。

早朝の5時49分、激しい揺れに慌てて目が覚めました。震源地は東京湾とのことで、周辺では地震があるのに関東のエリアだけ空白地域でしたので心配はしていました。最大震度は先日のヒコーキ事故の調布だそうで、震度5弱、こちら多摩地区でも震度4でした。震度は4を超えると全く揺れが変わります。東京に滞在中の外国人観光客はさぞびっくりされたことでしょう。しかし、豪雨と地震の自然災害が続く不安な日本です。彼の地のネット民は狂喜乱舞だそうニダ。

で、オメガですが、最後にネジの増し締め点検で、ポロッ。角穴ネジ(ゼンマイ)の頭が取れてしまいました。雄ネジと雌ねじの嵌合がラフで、しっかりと締まらないので増し締めをしたのですが、小さなユニットですので、角穴ネジも極小のため強度が無いのでした。部品屋さんに注文で価格は846円。ひぇ~、高いですね。しかし、60年代の部品が普通に手に入る。ここが国産メーカーとの違いなんですね。よって、部品到着まで作業中断。バイクいじって来ます。

 先ほど午後1時ごろに米軍横田基地に向けてオスプレイが2機飛来しました。普通の人でしたら気にも留めないのですが、私は立川っ子ですから、小さい頃からの習慣で爆音がすれば反射的に空を見上げます。横田基地には空軍用のCV-22の配備が決まっていますが、今回の飛来は19日・20日に開催される「日米友好祭」に向けたのもかもしれません。F-22ラプターも過去には飛来して撮影もしました。残念ながら最近は、周辺自治体が批判的なため、自衛隊のブルーインパルスの展示飛行などは無いのがヒコーキファンとしては残念なところ。また、アップルパイ買いに行こうかな?

でもって、角穴ネジが到着しました。封筒の中身はこれだけ。目を凝らさないとどこにあるのか分からないような極小のネジ。

 

めでたく取付け完成。頭の研磨の仕方が少し違いますけど、製造時期によってでしょうかね。しかし、オメガも国内の部品代理店は無くなっているとのことで、スイスの代理店からの供給も制限されているとの内情説明を頂きました。

 途中の画像は撮り忘れました。ワンピースケース収めました。Geneveと大きさを比較するとこの差です。どうりで組みにくい訳だよね。

 

新しいベルトとバネ棒をセットしました。Ωマーク入りの尾錠は手持ちがサイズが合わず取付け出来ませんでした。いずれ見つけて交換しましょう。cal 630ですから1960年代後半の製造でしょうか。秒針の無いユニットも多く見かけますが、やはり秒針があった方が動いていることが分かって良いですね。機械とケースの状態も素晴らしい個体で、文字盤もシンプルで好ましいデザイン。さすがオメガの気品も感じられます。

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あるところにはある箱入りPENたちの巻(3)

2015年09月05日 18時07分13秒 | ブログ

昨日に続き今日も新宿です。地下鉄大江戸線も外国人観光客の多い路線で、中華系や韓国の方が目立ちます。上野浅草方面に行くのでしょうね。いつも気になるのは、優先席を占有する光景です。かの地では、優先席というルールが無いのでしょうかね。

久しぶりに新宿のカメラ街に出て、新しいデジカメや中古カメラの相場などを見て回ります。土曜日の午前中は人出はそれほどでもないですね。ここでも、聞こえてくる会話が日本語ではないのです。中古カメラの相場は物によってはブームの頃の半値でした。ジャンクのPEN-FTが3.000円というのもありました。え~、どこが悪いのか知りませんけど、そんなになっちゃうんだぁ。ちょっとショックでした。

とは言ってもブラックのFTは値が下がりませんね。概ね30.000円以上。しかし、FTの元箱は派手ですよね。当時カメラは皆こんな感じだったのでしょうか? 江戸時代の加賀の金箔工芸を見るようです。ブラックモデルは少数なので、識別には「Black」のラベルが貼られています。

蓋を開けると取説とプライスタック。この取説は後年オリンパスSSで復刻印刷をしたものを供給されていました。発泡スチロールの中蓋くぼみにストラップがセットされています。

 

カメラ本体は革ケースに収納されて入っています。40mm付きの本体も塗膜の劣化も少なく、大変良いコンディションを保っています。巻き上げが少しゴリ感がありますけどね。O/Hをしますが、特に問題は起こらないだろうと思います。

 

ここのところ天候不順でバイクの作業が進みませんね。取りあえず、新しいシリンダーの慣らし運転とキャブレターのクリーニングをしました。作業のたびに新しい部品が必要になって行く・・

 

 PEN-FTの取扱説明書。上がSSにて復刻頒布されていたもので、本来penFTが金色だったんですねぇ。時期的には復刻の方が古いようで、F1.8付が現金正価32.000円に対して下は33.700円と値上がりをしています。月賦価格というのも懐かしい言葉で、若い方は知らないでしょうか? 日本信販とか丸井などで購入することも多かったですね。高価な買い物でしたからね。

オリンパスの金色好きはPEN-Fからのようでしたよ。金ピカの英文取説。

 

 

こんなのもありますけどね。PEN-F用38mmMACRO。この分だと、その他のアクセサリー箱も金ピカの可能性もありますね。米谷さんのセンスなのかなぁ?

 

 

外観は素晴らしいので、てっきり未分解機だと思っていましたが、分解歴がありますね。シンクロソケットの中心(ネジ)が外れないのです。しかも、スリ割りがかなり傷ついている。

やっと分離してみると、瞬間接着剤で留められています。待てよ。確か以前にも同じような個体がありましたよね。

 

露出計の基板ですが、固定抵抗の2つが半固定抵抗に置き換わっています。#3465XXと後期の生産機ですから、露出計は健在のものが殆どだと思います。あえてオリジナルを変える必要があったのか・・

 

 特に問題はありませんので簡単に・・古いモリブデングリスでベトベトだったシャッターユニットを洗浄したところ。30万台の中頃からチャージギヤは真鍮のナット留めとなっていますね。ここは緩み易いところ。

 

後期型としては、巻き上げのフィーリングは良いと思います。但し、最終的なフィーリングは前板のリターンミラーユニットとの合成になります。

 

「ブログ村」現在ランキング1位だってさ。皆さまのおかげです。ハーフミラーは最初のオリジナルから交換されていますね。劣化がありましたので新品と交換してあります。その他は問題なく良好です。

 

付属の40mmを清掃して完成です。後期型の劣化の少ない素晴らしい個体でした。元箱のシリアル№も合致していて非常に貴重な資料ですね。まだまだマニアさんの手元には、このような元箱付きが保存されているのでしょうね。

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あるところにはある箱入りPENたちの巻(2)

2015年09月03日 20時27分48秒 | ブログ

次の元箱付きは、老舗の中古屋さんで入手をされたというPEN-W #1184XXのフィート機ですから、海外から仕入れたものでしょうかね? 英文の取説、保証書とストラップが付属しています。この頃になると、元箱の作りが簡略化されてしまって残念ですね。発泡スチロールと段ボールが使われています。本体は、普通に使われた劣化があります。購入したオーナーが几帳面な人で、元箱を捨てずに保管していて、手放す時に着けてくれたのでしょう。本体と元箱のシリアル№は合っています。ソフトケースが欠品ですね。

たぶん、販売の前に一通りのメンテナンスを受けたのでしょう。シャッターとファインダーなどは分解歴があります。特に問題はありませんが、スローガバナーを分解して、小さなバネ(2個使用)を飛ばしてしまいました。カメラと言うよりは腕時計サイズのバネでして、腕時計用のピンセットを使わなかったミス。予備のバネはありますが、無くすのは気分が悪いので、床をコロコロして、執念で見つけましたよ。

洗浄したダイカスト本体。この時代の塗装は塗膜も厚めで、非常に上手ですね。本職だから当然ですが・・

 

本体の組立を終えたところ。非常に良好です。

 

 

今日は久しぶりに夏が戻って来たような暑さでした。検診で新宿の病院まで出掛けます。普段歩いていないので脚に堪えます。最寄駅は近隣で唯一残された古い駅舎で(1968-6のプレートあり)最近やっと改築工事が始まっているようです。しかし、私はローカル色のある今の駅舎が好きですね。

新宿駅も工事中が長いですね。確か1964年の東京オリンピックの前に出来た駅舎だと思いますが、老朽化が激しくなって来ました。改築のために補修をしないのか、漏水の場所が目につきます。

 

そもそも構内の写真撮っても良いのかな? ここなどは随分と古いですよ。新宿駅は外国人観光客も多く利用していますので、ちょっと日本のイメージダウンですね。もう少しスマートな養生は出来ないものでしょうか?

 

で、昨日の続き。レンズは、曇りは少ないのですが、バルサムの劣化が目立ちます。絞りのクリックは、PEN-S2.8とは構造が異なり、画像の板バネ式になっています。これですと、摩耗と接触圧力の低下により、クリック感が無くなってくるのですね。PEN-S3.5も同じ構造です。

裏蓋開閉キーの部品展開。グリスが劣化していますので、洗浄組み直しをしておきます。

 

このように裏蓋完成。

 

 

元箱と本体のシリアル№は合っていますが、GUARANTEEカードの№と一致しませんね。取説は英文なのですが、別々にイーベイなどで入手されたものでしょうかね。この個体はマニアさんの放出品とのことです。

取説もちゃんと英文。PEN-W用取説は貴重です。国内用は合本になっているものが多いです。

 

製造が1965-3月ですから東京オリンピックの直後ですね。ちょうど東海道新幹線も開通して半年余りですから、この頃のオリンパスのカタログには、新幹線の画像がよく使われていますね。

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あるところにはある箱入りPENたちの巻

2015年09月01日 14時10分58秒 | ブログ

猛暑と思っていたら秋雨前線ができて雨がちにな日が続いていますね。もう少し残暑が続くかと思いましたが、まぁ、私にとっては気温が下がるのは有り難いことです。雨でバイクもいじれませんので、レンズの清掃などをしておりました。Zuiko100mmですね。持病のヘリコイドグリスの流化で、内部はベトベトになっています。

こちらは25mm。その他に38mmパンケーキも来ていますが、このオーナーさんは非常にコンディションの良い個体ばかり所有されていますね。小さなカビがありますので清掃をしておきます。

 

で、ここから本題です。こちらのオーナーさんも前のオーナーさん同様、大変熱心にPENを収集されています。カメラブームの頃でも、これらを収集することは大変でしたよね。逆に今だから集められるということなのかしら?

PEN-FT(B) PEN PEN-Wですよ。私も仕事柄、多くのPENを所有している方だとは思いますが、あくまでも作業のためですから、このようなマニアさん好みの箱入り個体などは持つ機会がありませんね。箱だけならいつくかあると思いますけどね。

では、年代順にPENから見ていきましょう。いわゆる三光の時代ではありませんが、三光の初期型に近い金型の部品を付けた個体というところ。あまり実使用はされなかった個体のようです。#1664XXと元箱とのシリアル№も合致しています。

「この中にハンドストラップが入っています」おぉ、ちゃんと入っていますね。発泡スチロールが使われる以前の紙箱のギミックみたいなのは大好きです。三光でなくとも、革編みのストラップが付属していたという証明。

 

プラスチック製ファインダーブロックの本体リブ塗装部の接合部辺りを注視してください。まだ、隙間が空いて、完成度の高い工業製品とは言えません。元箱保存なので状態は良好です。全体のオーバーホールをしておきます。

使用頻度の少ない程度の良い個体なので、簡単にUPと思いましたが、それはそれで問題はあるものです。巻き戻し軸に塗布されていたダンパー用グリスが固着して固まっています。これほど大量に塗布する必要は無いと思いますが、軸と軸穴のクリアランスが大きく(ガタガタ)それを修正する(悪く言えばごまかす)ためでしょう。

長期に保管された個体は、モルトの劣化で塗装面とダイカストも侵してしまいます。これは軽く研磨だなぁ。シボ革があるので塗装は出来ないのです。

 

すべて分解洗浄で組み立てています。

 

 

最初のチェックで分かっていたこと。巻上げの逆転防止機構が働いていない。(固着している) 初期のPENはこれが多いです。巻き上げた時、チッチッチッって言うでしょ。音がしないのは固着しています。そもそも、2つの爪にテンションを掛けるコイルスプリングが弱く(線径も細い)2つを同軸でセットするので、どうしてもスムーズに動かないのです。この設計は???ですね。エンジンのタペットスプリングなどではありますけどね。爪も板厚が薄く、組立時に2つの爪が干渉しないように曲げられているため、経時的に作動不良となるものが多いのです。

右がこの個体の(初期)もの。左は後期のもの。爪の1つは板厚を厚くして、コイルスプリングも線径と巻き系も太くして、なお、片方のスプリングの巻きピッチを荒くすることによって、2つのスプリングの干渉を少なくしようとする努力が見られます。組立時に曲げ調整などを必要とした部分です。今回は、後期のセットを使用します。

すでにファインダーの対物レンズはガラス製となっています。但し、四隅の墨塗りはありません。

 

また、シャッターを切っても、巻上げロックのリンケージが外れず、次の巻き上げが出来ない。(少し巻上げダイヤルを戻すと解除される)通常は、駒数カニ目ネジ部の調整ワッシャーの不適が原因ですが、この個体はそれでも直らない。点検すると、リンケージのロック部が故意に曲げられていました。何のため? 意味の分からない加工をする人はいるのです。

レンズは、PENの持病、後玉のコーティングが曇っています。清掃をしますが、コーティングの劣化ですので、完全には無理です。

 

モルトの劣化を放置すると、裏蓋の背の先端部が激しく腐食します。この個体も手遅れ状態でした。ヤスリで研磨をしたところ。

 

タッチアップ塗装をしておきます。使われなかった個体ほど、状態はひどい傾向です。使わずに保存していれば良いというものでもないのです。

 

過去にトップカバーを開けた意味不明の修理?をされていた個体。しかし、劣化し易いピントリングやシャッターダイヤルの表面処理は良好で、大変良いコンディションとなりました。おわり。

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