今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

電池液漏れローライ35の巻

2023年07月14日 21時00分00秒 | ブログ

すみません。当初はお見積り案件でしたので画像を撮っていませんでした。ローライ35 #3111XXX ドイツですがft機なので北米からの仕入でしょうか? 全体に汚れ放題と言う個体でしたが、問題は電池室から電解液が漏れていて、基板とCdsも侵されており、そこまでで止まってくれたらラッキーでしたが残念ながいくらゴッセンのメーターでもダウンです。メーターに電流を流すとコイルは磁石の性質を帯びて回転トルクが発生し電流の強さに比例して針が振れる。のですが、このメーターは全く振れません。経験的に電池を入れっぱなしにして電解液が漏れた個体はメーターも不動となるものが多いと思います。気化ガスによってコイルが腐食をして断線しているのか目視では分かりません。

カメラ店様ではメーター不動で販売されるそうです。できれば何とかしたいですが最近メーター不良が多いので私のところにもストックがありません。ドイツ製でもギヤが樹脂になっている頃です。

 

ファインダーのプリズムは、偶に見るプラケース入り仕様。多くは黒のガムテープを巻いたような仕様なので短期間製造された仕様なのでしょうか。

 

レンズがね。かなり汚れています。

 

 

沈胴チューブも含めてシャッターとレンズをメンテナンスします。

 

 

裏蓋の作動が渋くのように塗装が削られている。他の個体の裏蓋か? イヤ、のカバーはアルミのため、強く押されると内側に変形して裏蓋と接触してしまうのです。矯正をしておきます。

 

電解液はトップカバー内面の黒塗装まで侵していて、洗浄後に時間をおくとまた剥がれて来ます。のレバーアテは製作してすでに熱カシメをしてあります。

 

完成したシャッターユニットをシムを入れて組み立てます。

 

 

底部のメンテナンスとグリス塗布をしておきます。

 

 

電解液によりリンクル塗装が侵されているのが分かります。

 

 

オーナーが電池を入れ忘れなければ問題のない良い個体でした。メーターが見つかれば良いです。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 


汚れ放題PEN-Sの巻

2023年07月11日 19時00分00秒 | ブログ

梅雨も明けていないのに今日は「熱中症警戒アラート」が発表されましたのでやっとクーラーを使用して作業をしていました。皆さまも熱中症には充分ご注意ください。

まずはコンタックスⅢAの裏蓋変形を修正せよ。とのご指示。どこ? あぁ、これか・・変に盛り上がって本体からの脱着がスムーズではないですね。

こういう細かな作業依頼もありますね。素材のスチールが陥没変形している部分は直りませんが、タッチアップ塗装をして本体に取付けましたがスムーズに嵌ります。

 

これで完了です。

 

 

本題です。しかし、どことなく薄汚れたカメラですね。PEN-S #3145XX は、シャッター完成(コパル)昭和37年11月。カメラ完成は同じ1962年11月です。長く生産されたPEN-Sとしては前期(発売は1960年6月)の個体ですから古いです。

鏡胴回りも汚れていますね。しかし、メッキの腐食は無いので湿気の少ないところに保存されていたようです。

 

駒数ガラスも汚れて見にくいです。

 

 

トップカバーを分離して見ると・・駒数盤まで汚れているのは珍しい。これは洗浄に時間がかかりそうです。

 

スプールナットに分解傷がありますね。シャッターは未分解のようですので何をしたのでしょう?

 

全て分解の上、まずはボディーを洗浄しておきました。

 

 

シャッター未分解でしたがシャッター羽根が張り付いていますね。シャッターも初期型ですので部分的に仕様が異なるところがあります。小さなバネ1本で作動するシャッターですので、製造が古いのはバネのテンションが下がり気味のため安定して作動させることが難しいです。細かなフリクションを低減することが肝要かと・・

シンクロのターミナルは必ずと言って良いほど半田付けが外れますので再半田をして組みます。この後、ストロボ発光のテストをしてからシボ革を貼ります。

 

ファインダーの接眼レンズが中々外れずカッターで指を切りました。夜遅くまでやっても良いことはありません。レンズの接着は作業者によって完全さが異なり、残念ながら?この個体の作業者は非常に真面目で几帳面な作業のため慣れた私でも分離に手こずりました。元々、メーカーでは使用過程でレンズを外して清掃をするという発想はありません。

駒数盤とガラスもきれいに磨き上げてあります。トップカバーを本体に取り付けます。

 

 

初期型のレンズは意外に後玉のコーティング白化を起こしているものが少ないような気がします。この個体は前群2枚の中間が曇っているので、分解して清掃をしてクリアーになっています。中々良いレンズ。

 

裏蓋は洗浄した圧板の取付とモルト貼りをしてあります。内部は洗浄組立できれいです。スプロケットが黒アルマイト仕様となりスプールはグレーです。

 

きれいになったでしょ。調子は安定していて非常によろしいです。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


いろいろ難題が・・ローライ35SEの巻

2023年07月10日 20時00分00秒 | ブログ

ローライ35系の中でも35SE(TE)は露出表示をファインダー内のLED表示としたモデルですが、電子基板も入っており、作業の振動によっても不具合が出る可能性があるのであまり気が進まない機種です。いろいろ問題が出て来ますが、すでにこの画像中でもの部分に問題が出て来ます。

電池は電池アダプターにボタン電池を4個入れて使います。

 

 

ファインダー内のLED表示は一応点灯はしていますが、点灯しない場合もあったりで非常に不安定です。精度についても不明。

 

ファインダーブロック内にLED基板があって、配線が左(見えない)にある基板と繋がっているため分離出来ませんので接眼側から分解して清掃をします。

 

電池の液漏れもあったようです。余計に基板への影響が心配です。

 

 

シャッターの分離と沈胴の作動が気になるので沈胴チューブも分離しました。この後問題が起こりますがこの時点では気が付いていません。

 

巻き戻しダイヤルの回転も重く、樹脂も白化していますので研磨します。

 

 

シャッターは過去に分解されていました。その後の保管が悪かったと見えてレンズの各面にカビが盛大にあります。

 

シャッター羽根に突起があります。これは過去の分解組立時にピンの位置を正確に合わせずに後玉を締めたからです。この問題は未分解機でも経験していますので、あるいは工場でのしわざかも知れません。

 

完成したシャッターユニット。ユニット単体のこの時点ではヘリコイドの回転に問題はありませんでした。

 

沈胴チューブに取付けると回転が重く渋い。原因を探って行くと、あっこれだ。ヘリコイドのストッパー先端部がチューブのスリ割りと合っていない(ストッパー側が幅が広い)のを無理に締め込んだため、チューブの先端が内側に曲がってアウター側のヘリコイドねじと接触をしていたものです。

ストッパーの幅をヤスリで狭く修正して、チューブの変形を直したところ。しかし、すでにヘリコイド側にダメージがあって、通常使用するグリスの粘度では回転が重く、かなり軽いグリスを入れて妥協した。このように、35Sは35のような単純な前玉繰り出し式ではなく、アウターとインナーの2条のネジがある直進ヘリコイドのため、ヘリコイドの状態については非常のデリケートです。前回分解された方は沈胴チューブは分離していないのでストッパーを外す必要はなく、これは完全に工場での組立ミスだと思われます。シンガポールだからと言って組立品質が落ちるとは思っていませんが・・

で、この後期の時代になるとシボ革の品質も落ちて、表層が蝋のように粘って溶けて来ます。そこで、アキアサヒさんのシボ革と交換ご希望です。そこで問題は従来使用していた純正のシボに近い4040がストック切れになり、代替は本革になるとのことでした。私のところには,メーカーさんが在庫処分の時に購入した分の4040はあるのですが、抜型が無いので・・シボ革貼り替えの場合、問題になるのは、純正はシボ革を貼ってからストラップ金具をカシメているのですが、貼り替えの場合は金具は残しての交換になるので金具部分の処理が問題になります。

じつは、今週の水曜日に普通郵便で発送して頂いていたのですが、現在は郵便の配達サービスが低下していて到着に日数が掛かるのです。以前なら金曜日に届いていたのですが、金曜日に届かず、土曜日は配達休止とのことで翌週の月曜日到着となってしまいます。ちょっとリードタイムを読み違いました。

微妙に抜型の形状も簡略化していてカットが難しいです。特に抜け止めのバネ下にカッターの刃が入りません。(画像は練習用のシボ革)

 

次に問題は、下地のリンクル塗装が劣化していて、アルコール綿棒で塗料が落ちてしまいます。かといって弱い塗装の上にそのまま貼るわけにも行きません。これは、途中の保存も関係して来るとは思いますが、元の塗装もあまり良いとは言えないかと思います。

やっとシボ革が到着しました。ローライ35用のシボ革を35SEに流用する場合は2か所の加工をしなければなりません。まずは沈胴ボタン用の孔開け。

 

次はローライ35の「絞り目盛ロック爪」は35SEは無いのでカットされている部分のシボ革を同梱されている「練習用」から切り出して取り付けます。

 

裏蓋は吊環部を取付け位置決めしてからアンダーカバーに隙間が空かないように注意をして貼って行きます。

 

シボ革のパターンは4040より大き目でむしろ純正に近く、手のホールド感も非常に良いと思います。これは本革ならではの感触です。ただし、純正のシボ革は本体の側面部分は厚みが薄く加工されていて本体の段付きに合うようになっているので、従来の合皮製の場合には先端部を薄く削ってから貼っていましたが、すでに本革に貼られている両面テープはきれいに剥離することが困難(ほぼ出来ない)のため今回は厚みの加工は省略して接着剤併用で貼ってあります。いずれにしてもこれだけの品質のシボ革を送料込みで1,500円という価格で供給して下さるアキアサヒさんには感謝です。

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


時間が空いたのでローライ35の巻

2023年07月08日 20時59分59秒 | ブログ

シボ革の到着が遅れましたので別の作業をしておりますが、UP予定は無かったので画像は撮っていません。ドイツ製#3043XXXですが、「きれいにして」とのことでしたが、すでに真鍮層にまで腐食が進行していますので無理です。

 

腐食を磨くとこのようになりました。

 

 

露出計不動でしたが、原因は電池室にクラックが入って上方に盛り上がっているため接片が電池と接触していないためでした。少し前に同じドイツ製の個体でありましたね。どうも、古いドイツ製の個体から電池室の破壊が始まっているようです。対策としては、撮影していない時は電池を抜いて樹脂の電池室に負荷を掛けないことでしょうか?

本体側のファインダーなどの清掃が終わりシャッターユニット(レンズ)と沈胴の調整をして行きます。

 

レンズホコリの混入がありましたが、傷やカビ痕は無く良好になりました。

 

 

沈胴チューブとシャッターユニットを組み込んで、後は前玉を取付けて裏蓋のメンテナンスをします。

 

前玉を取付けて無限調整をしました。ピントリングのネジ孔1か所の孔が拡大しています。どんだけ締めたのか?

 

裏蓋は巻き戻しダイヤルの回転が渋いので分解清掃をしてあります。ドイツの初期型ですので、フィルムカウンターの動きをチェックしておきます。

 

露出計も作動しています。

 

 

何が原因でしょうかね? トップカバーの腐食が無ければ良いコンデションの個体です。実用派の方に良いでしょう。

 

(業務連絡)

埼玉県の〇田さん。メールでご返信を2回させて頂いていますが、2回ともリターンメールになってしまいます。何か設定を変更されましたか?

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


外観ピカピカPEN-Wの巻

2023年07月05日 09時00分00秒 | ブログ

これ以上の個体も見ていますが、この個体もかなり塗装がきれいです。PEN-W #1075XX は1964年11月(東京オリンピック開催の翌月)の製造。

 

カメラ店様経由のご依頼ですが、珍しくシャッターは作動しますし、ファインダーが曇りが出ているくらいで、このまま使用されても全く問題のない状態です。分解歴も無いようにも見えますが・・あっ、ピントリングのイモネジが痛んでいます。ピント調整だけされたのかなぁ?

トップカバーを開けてみます。あれ、バネの係り位置が違います。正しくは右の孔です。D系なら正しいのですけどね。

 

これも間違いです。調整シムはのギヤの下に入ります。

 

 

シャッターユニットを取り出してみると・・やっぱりシャッターは分解されていました。道理で動いているはずです。

 

では、部品を洗浄したシャッターユニットを組み立てて行きます。外観相当で全く摩耗がありません。シャッター羽根の赤錆も殆んどなく、保管の良さが分かります。

 

洗浄したダイカスト本体にスプロケット軸から組み立てて行きます。

 

 

の方で組み間違いのシムはギヤの下に入ります。(隙間に注意)

 

 

レンズを除いて本体完成。

 

 

ファインダーですが、前面から水滴のように見えたのは対物レンズの「はまぐり」(ガラスの剥離状カケ)でした。これは、慣れない方が強引に分解するとこうなります。恐らくこのレンズは2枚レンズの後側に入っていたはずです。今回も後ろ側にセットしてはまぐりが見えないようにします。

すでに接着しましたが、調整ワッシャーは継続してブログをご覧頂いている方はお分かりですが、この個体は駒数盤(スプール軸)の上に入っていました。たぶん無意識に分解して「さて、どこに入っていたのか」と迷ったのでしょう。

レンズの状態は国内にあったものとしては非常に良いです。やはり外観の状態に比例をしますね。

 

と言うことで、国内物でまだきれいな個体はあるという見本でした。しかし、疑問は、状態も悪くないのに、どうしてオーバーホールに出したのでしょうね。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)