昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港] (七十三)空瓶

2016-07-11 09:16:40 | 小説
ミドリには、そんな男の気持ちが痛いほどに伝わった。 「これでいいのよ」と何度繰り返したことか。 男を責める気にはなれなかった。 かつての、愛されたいという気持ちは消えていた。 支えてあげなければ、という思いだけがミドリを頑張らせていた。 母の元に帰ろうかと思わないでもなかった。 夜遅く、疲れた体を引きずって帰るアパートで、ウィスキーの空瓶が散乱している部屋を見ると、情けなくなることもあった。 . . . 本文を読む

NTTコム リサーチ

NTTコム リサーチモニターに登録!