昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

にあんちゃん ~介護施設で働き出した~ 

2016-02-18 08:55:24 | 小説
 缶コーヒーで喉を潤しながら、奥村の話が続いた。 「そのことはね、坂本さん自身も覚悟はされていたの。 でもね、面と向かって言われるとね、さすがに腹が立つわよね。 お義理だけでも、『一緒に暮らさないか』って、言って欲しかったのじゃないかしら」  大きくため息を吐いて、奥村がまた話し始めた。 「元々、親子関係は良くなかったみたい。 退職後に奥さんと離婚されてね、息子さんは奥さんの味方をされたみた . . . 本文を読む

にあんちゃん ~介護施設で働き出した~ (二十)

2016-02-16 08:45:27 | 小説
 施設の事務室でのことだ。  「怖い思いをさせたわね。しばらくお休みしなさい。 特別休暇をあげるから、自宅に戻りなさい。 これからのことも含めて、じっくり考えなさい」  主任介護士に声をかけられるほのかだが、恐怖心が消えぬ今、道子に会いたかった。 道子の胸で泣きたかった。 「お兄さんね、お母さんに言われて様子を見に来たんだって。 大丈夫よ、事件にはならないから。今、施設長が警察でお願いしてい . . . 本文を読む

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