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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

下野竜也+読売日響でブルックナー「第9番」とハイドン「第9番」を聴く

2014年09月10日 07時01分05秒 | 日記

10日(水)。昨夕、サントリーホールで読売日本交響楽団の第540回定期演奏会を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第9番ハ長調」、②ブルックナー「交響曲第9番ニ短調」の2曲。指揮は読響首席客員指揮者・下野竜也です

まず最初に、この日のプログラミングについて触れなければなりません 「9月9日に第9番と第9番を演奏する」というプログラムを誰が仕組んだのか、ダジャレの範疇を超えないのではないか・・・・と思ってプログラムを見て考え直しました

一般的に交響曲は「急ー緩ー急」の3楽章形式か、メヌエットを含む4楽章形式かが普通なのですが(もっとも4楽章形式を確立したのはハイドンと言われていますが)、ハイドンの第9番は「アレグローアンダンテーメヌエット」の3楽章形式になっています。一方、ブルックナーの第9番は作曲途中で本人が死去したため「荘重に、神秘的にースケルツォーアダージョ」の3楽章からなっており、ともに、あるべき第4楽章(多くの場合アレグロ)がありません

このことから、この日のプログラミングは、単にシャレで9月9日に2つの第9番を並べただけではなく、深い思慮のもとに仕組まれたものであることが伺えます。恐るべし読響 いずれにしても、ブルックナーを軸に誰の第9番をカップリングするか、選曲に四9八9したに違いありません 

余談ですが、わが家の電話番号は03-〇9〇9-9〇9〇で、9・4くも9が4つ付き、しかも〇に入る番号は1,2,3,4や5,6,7,8といったような並びになっています

さて、席は公演間近にチケットを買ったため良い席が取れず、舞台左サイド真上の2階LA4列9番です ステージを見下ろすと中央にチェンバロが置かれています。ハイドンを演奏するに当たって、オケは総勢27名の小編成で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。自席からはオケでは第2ヴァイオリンの顔しか判別できませんが、指揮者の顔の表情や指揮ぶりは良く見ることが出来ます

 

          

 

コンマスの小森谷巧の合図でチューニングが行われ、下野竜也を迎えます ハイドンの交響曲第9番は、作曲者が30歳の1762年に作曲されました

第1楽章が軽快に始まると、「あれ、これモーツアルトじゃん」と言いたくなりました。「この曲は初期のモーツアルトの作品です」と言われても気が付かないほど曲想が似通っています この曲を聴いただけでも、いかにモーツアルトがハイドンの影響を受けたかが伺い知れます 第1楽章が終わると、中央に陣取っていたオーボエ奏者2人が脇にどき、代わりにフルート奏者の2人が中央に移ります もちろん、第2楽章ではフルートが活躍します。そして、第3楽章に移るときには再びオーボエが中央に戻ります この楽章ではフルートの出番はありません。たったの15分足らずの曲ですが、下野竜也はかなり細かな配慮をする人だな、と思いました

休憩後は、オケが大幅に拡大してブルックナーの交響曲第9番です よく見ると、オケの配置がハイドンの時と異なっています 第2ヴァイオリンとヴィオラの位置が入れ替わり、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラという配置になっています。なぜ分かったかと言えば、ヴィオラの首席・柳瀬省太の輝く頭の位置が変わっていたからです それにしても、読響は”男社会”のオケです。弦楽器を見ると、チェロとコントラバスは女性が各1名しかいません。管楽器もほとんどが男性奏者です

下野のタクトでブルックナーの第1楽章が荘重に開始されます 読響は弦楽器を中心に渾身の演奏を展開します。第2楽章はブルックナー特有のリズム・パターンによるスケルツォです。中間部で突然、まったく違う曲想の軽快なメロディーが表れるのもブルックナーらしいところです

第3楽章は第1ヴァイオリンの穏やかなメロディーから入りますが、この楽章は全曲の集大成です 弦楽器だけの演奏部分は、まるでパイプオルガンの音を聴いているような錯覚に陥ります オルガ二ストでもあったブルックナーはこの曲に”オルガン効果”を求めたのだと思います 下野はスケールの大きな音楽作りで聴衆を圧倒します。小柄ながら指揮ぶりはダイナミックで、見事なタクトさばきを見せています

第3楽章の最後の音が消え、タクトが下ろされて初めて拍手が起こり、それが徐々に拡大していきました この曲は、未完の第4楽章があり、後世の研究家が補筆したりしていますが、この日の下野竜也+読響の演奏を聴く限り、この曲は第4楽章は不要であると考えるのが正しいと思います。そう思わせるほど渾身の素晴らしい演奏でした

今回はいつもと違い、1階センターの席でなく舞台の真横の2階席で聴きましたが、センターで聴くのとそん色のない音響効果で楽しめました サントリーホールの良い点は、どの席で聴いてもそれなりにバランスのとれた良い音で聴くことが出来るところです 必ずしもS席で聴く必要はないと思います。ワインヤード方式(舞台を客席で囲む方式)は音響効果の点で優れているのだと、あらためて思いました

 

          

 

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