20日(土)。誉田哲也著「黒い羽」(光文社文庫)を読み終わりました 誉田哲也の作品は当ブログでも何冊かご紹介してきました
君島典子は幼いころから右肩にあるキズに苦しんできた。激しい痛みとかゆみが伴うもので、皮膚科でのあらゆる治療もうまくいかず、悪化する一方だった ついに主治医の野本から「遺伝子治療」という方法があるのでそれを受けてみないか、と誘われる
典子は主治医と他の患者とともに軽井沢の山奥にある研究施設に車で向かう。しかし、途中で雪のためにスリップして車が大破し、徒歩で研究施設に出向く。ところが、内部に入ると何体もの惨殺死体が転がっていた
誰かがいる、何かがいる、しかしなかなか正体を現さない
やっと目の前に現れたのはもはや人間とは言えないような生物だった
潜んでいる何かが現れない。すると一人殺され、二人殺され・・・・と殺人が繰り返される その怖さが迫ってきます。黒い羽というのは背中にできた黒く変色した、まるで鳥の羽がもげた跡のようなキズを指していますが、この作品では、それは”異常体質”ではなく”人類の進化の証し”だということになっています
何人もの研究者らを殺したのはその進化した生物だったという設定です。”進化”と離れて考えてみて、カフカの「変身」を思い出しました。主人公の典子は”進化”しているわけですが、果たしてそれが良いことなのかといえば、決してそうではない。そこが怖いところです。イッキ読みしました