人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クアルテット・エクセルシオの「弦楽四重奏の旅」を聴く~ハイドン、モーツアルト、シューベルト

2015年02月02日 07時01分13秒 | 日記

2日(月)。わが家に来てから128日目を迎え、箱入り息子を気取るモコタロです 

 

          

              箱に入ったと思ったら 反対側から出ちゃったよ

 

  閑話休題  

 

昨日、津田ホールでクアルテット・エクセルシオのコンサートを聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第77番ハ長調”皇帝”」、②モーツアルト「同第19番ハ長調K.465”不協和音”」、③シューベルト「同第14番ニ短調”死と乙女”」です

 

          

 

午後2時からの開演ということで、ちょっと早めの1時20分頃会場に着くと、すでに十数メートルの列が出来ていました 何で並んでいるんだろうと思ってあらためてチケットを見ると「自由席」となっていました。早く並んだのが幸いしてG7、前から7列目のセンターブロック左通路側席が押さえられました 会場は8割方埋まっている感じです。日本の弦楽四重奏団でこれだけの聴衆を集めることが出来るのはエクセルシオだけでしょう

エクセルシオのメンバーが黒と白を基調とする衣装で登場します 1曲目はハイドンの弦楽四重奏曲第77番「皇帝」です。第2楽章はオーストリア国家として知られる有名なメロディーです ハイドンはエステルハージ公爵家に30年近く仕えた訳ですが、その間に「弦楽四重奏曲」というジャンルを確立したのですね。もちろん、交響曲というジャンルも彼が確立しました

クァルテット・エクセルシオは第1ヴァイオリン=西野ゆか、第2ヴァイオリン=山田百子、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇の4人のメンバーから成ります。今年が結成20周年を迎えます

 

          

 

西野ゆかを中心に演奏を展開する訳ですが、いつ聴いても素晴らしいアンサンブルです 隣の吉田有紀子が西野ゆかに寄り添うように演奏しているのが印象的です

2曲目のモーツアルト「弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465」は”不協和音”という愛称が付いています。これは第1楽章冒頭のアダージョが不安定な曲想であることから付けられたものです 当時の作曲理論から見て”常識はずれ”の和声法を使って聴く者を挑発しています。しかし、アレグロに移ると、まるで深い霧が晴れわたるような明るい世界が切り開かれます エクの演奏はこの切り替えが見事です。この曲を聴きながら、生きてモーツアルトの弦楽四重奏曲を聴ける幸せを感じていました。素晴らしい演奏でした

最後はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」です。この曲はシューベルトが27歳になった翌1824年に作曲しました 第1楽章冒頭の激しいテーマは歌曲「死と乙女」の動機から取られたものですが、まさに死神との対話を聞いているようです エクは究極の集中力でシューベルトの世界に切り込みます。第2楽章では大友の素晴らしい独奏が聴かれます

この日のコンサートはハイドン、モーツアルト、シューベルトの代表的な曲を取り上げた「名曲コンサート」でしたが、3曲とも素晴らしい演奏で、この3月で閉館する、エクにとっても思い出深い「津田ホール」に別れを告げるコンサートとして相応しい公演でした

 

          

 

 

ところで、この日配られたプログラムが充実しています 結成20周年記念コンサートシリーズ共通のプログラムということで、東京、札幌、京都の各公演の演奏曲目の解説のほか、エクセルシオの20年の歩みも収録されています そう言えば、いま都響の第2ヴァイオリン首席を弾いているエンカナ(遠藤香奈子)さんは、山田百子さんの前のメンバーだったんだよな、とあらためて思い出しました

プログラムの中で一つだけ気になることがあります。「20周年へのメッセージ」と題してチェリストでサントリーホール館長の堤剛氏があいさつ文を書いていますが、その中に「クァルテット・エクセルシオは我が国唯一の常設弦楽四重奏団です」という記述があります

これは果たして正しい表現なのか?古典四重奏団も常設の弦楽四重奏団のはず もちろん、古典四重奏団の場合は、ヴァイオリンの川原千真とチェロの田崎瑞穂が「音楽三昧」のメンバーを、花崎淳生が「エルディーティ弦楽四重奏団」のメンバーを兼務しているので、純粋に1つのグループに所属する4人の集まりということで言えば、クァルテット・エクセルシオだけが常設の弦楽四重奏団と言えるでしょう そうしたことを踏まえても、堤氏のように断言するのはどうでしょうか

堤剛氏は言わずと知れた桐朋学園の出身で桐朋学園大学の学長も務めた人。そしてクァルテット・エクセルシオのメンバーも全員桐朋学園大学出身者。一方、古典四重奏団は全員が東京藝術大学出身者。堤氏が同じ出身大学の後輩たちを贔屓目に見るのは無理ないことでしょうか?考えすぎかも知れませんが、クラシックの世界はどうも桐朋学園卒対東京藝大卒の構図があるのではないか、と思ってしまいます もちろん他の音楽大学も無視するものではありませんが。私はクァルテット・エクセルシオも古典四重奏団も大好きです。したがってどちらかに組するつもりはありません。素晴らしい演奏をしてくれればそれで良いのですから

 

  閑話休題  

 

エクセルシオのチェリスト・大友肇氏が齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞したことを記念してコンサートが開かれます 「東京・春・音楽祭」の一環として4月1日(水)午後7時から上野学園石橋メモリアルホールで開かれます プログラムは①ベートーヴェン「ヘンデル”ユダ・マカベウス”の主題による12の変奏曲」、②バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」、③ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」、④シューベルト「弦楽四重奏曲第14番”死と乙女”」です。もちろんエクセルシオのメンバーも出演します

入場料金はS席=3,600円、A席=2,600円、U25=1,500円です。私は当日、新日本フィルの室内楽シリーズを聴きに行く予定があるので残念ながら行けません 超お薦め公演です。是非お出かけください

 

           

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