22日(日)。わが家に来てから147日目を迎え、怪獣を倒して気勢を上げるモコタロです
ウルトラマンが来る前に怪獣モコタロザウルスを倒したぞ!
閑話休題
昨日、東京文化会館小ホールで仲道郁代ワークショップ「実験&実演でわかる!ピアノのしくみ、ホールの秘密」を聞きました これは東京都の推進する「東京文化発信プロジェクト」の一環として開かれたものです
自由席のため開場40分前には小ホールに続く坂にすでに長蛇の列が出来ていました それでもセンターブロック右通路側席を確保できました。会場は9割方埋まっている感じです。親子連れが目立ちます
ステージ中央にはグランド・ピアノが構えています。ワークショップは、
1.ホールの響きとは~再現!ピアニストがリハーサルで注文すること
2.ピアノのしくみにせまる!~ピアノを解体してみよう
3.演奏への工夫~ピアニストは何を求めて舞台に立つのか?
の3部構成で進められました
拍手の中、仲道郁代が登場し会の趣旨を説明し、1.ホールの響きとは~の実験に入ります
最初に、小さなオルゴールのねじを巻いて鳴らしますが、ほとんど聴こえません ところがピアノ本体の中にそれを入れると、「エリーゼのために」がはっきりと聴こえてきました
ワークショップでこのピアノの秘密に迫ろうというわけです
「コンサートではピアノをどの場所に置くかで響き方が違ってくるので、ピアニストはリハーサルで、ピアノの位置を決めるため調律師と念密な打ち合わせと試行錯誤を繰り返します」
調律師とホールの係員の力を借りてピアノを右側に、左側に、前方に、後方に移動させて、ベートーヴェンの「ワルトシュタイン・ソナタ」の冒頭部分を弾いて、音の響き方の違いを示します 左に寄せると直接音が多くなり迫力のある音になり、逆に右に寄せると壁に音が当たり間接音が多くなり豊かな音になる。また奥に引っ込めると低音が不明瞭になることがはっきり分かります
びっくりしたのは、小ホールのステージがコンピューター制御で客席と同じ高さまで下りてくることです サントリーホール等ではステージの左右後方部分だけが上下しますが、ステージ全体が客席の位置まで下りるのを見たのは今回が初めてでした
もちろんこの位置でピアノを弾いても音の響きは違います
「ピアノの音が飛び出す方向は、向かって右斜めの方向(会場の右サイド)なので、そちらの方が直接音を聴くことが出来ます コンサートでは、ピアニストの指使いを見たいとして左サイドの席を取る方が多いと思いますが、純粋に音を聴くには逆の右サイドの方が良いのです
」
納得です。また、ピアノの脚に付いているキャスターの向きによって音が違ってくるそうです 20トンの負荷(テンション)がかかっているピアノの3本の脚には当然、相当な負荷がかかっており、キャスターを外に向けるか内に向けるかで音に影響が出てくる(外に向けた方が負荷が大きくかかる)とのこと
次に、2.ピアノのしくみにせまる~に移ります
調律師に頼んでいつものよう本体からアクション(鍵盤部分)を取り外して、ピアノの仕組みがどうなっているか、ハンディ・カメラで映像を映し出します ピアノは大きな箱に張られた弦をフェルト(羊毛)で作られたハンマーで叩いて音を出す機械ですが、鍵盤は白黒合わせて88鍵、弦の数は最低音1オクターブ以外は1音につき3本(ないし2本)、合計243本張られているそうです。これには驚きました
調律師がいかに大変な作業をやっているのか、よく分かりました
また、「鍵盤は上下1センチしか動かないのに、アクションを通じてハンマーに伝わった時点では5倍の動きに拡大される」とのこと ピアニストがミリ単位で調律を求めるのはそういう理由だったのが良く分かりました
仲道の「ピアノはマシーンです」という言葉に思わず頷きました
ペダルの話。「右ペダルは、踏むとダンパーフェルトが弦から一斉に離れ、全ての弦が共鳴できる状態になります。左ペダルは、踏むと鍵盤アクションが右にわずかにスライドし3つのうち2つの弦だけ打つようになり、1本の弦は共鳴弦となり全体に柔らかな響きになります」
次に3.演奏への工夫~の話に移ります。照明係の協力を得て、ステージ上のソリストに当てる照明を調節して、鍵盤に影が出ないように工夫していることが分かりました
コンサートで会場の係員に事前に確認するのは何人位の聴衆が集まるのか、ということだそうです。多い時と少ない時とでは弾き方が違うし、夏か冬かでも違う、つまり冬は厚着をしてくる人が多いので音が吸収され易い、ということです
最後に東京文化会館の関係者が出てきて、小ホールについて解説してくれました このホールはもともと国際会議場としても使用できるように作られたそうで、同時通訳ブースなども設置されています(そこは今では倉庫になっているそうですが)
ステージ裏の”楽屋”もハンディ・カメラで映し出されましたが、「控室」というよりは「倉庫」といった感じで、すごく狭い状況がよく分かりました。これはこのホールの”菱形”状の造りに原因があるようです
「予定の時間をすでに10分オーバーですが・・・」と言って、仲道はドビュッシーの「月の光」を演奏し、拍手の中ワークショップを終えました。正味1時間20分位でしたが、私のような素人には大変楽しく参考になるワークショップでした。こうした試みは是非今後も続けてほしいと思います