23日(月)。わが家に来てから148日目を迎え、爪切りを怖がるモコタロです
爪が伸びたから切ると言われた お代官様ごかんべんを!
閑話休題
昨日、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第111回定期演奏会を聴きました。プログラムは①J.S.バッハ「プレリュードとフーガ BWV534」、②同「オルガン・コラール”我ら苦難の極みにある時” BWV641」、③同「オルガン・コラール”我はあなたに叫び求めん、主イエス・キリストよ” BWV639」(以上:オルガン=鈴木優人)、④J.S.バッハ「追悼行事 カンタータ第106番”神の時こそ こよなき時” BWV106」、⑤ヨーハン・クーナウ「義しき者は滅ぶとも BWV deest」、⑥ゲオルク・メルヒオル・ホフマン「打ちて告げよ、待ち焦がれし時を BWV53」、⑦J.S.バッハ「候妃よ、いま一条の光を BWV198」です
出演は、ソプラノ=ジョアン・ラン、カウンターテナー=ロビン・ブレイズ、テノール=ゲルト・テュルク、バス=ドミニク・ヴェルナー、合唱・管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)、指揮=鈴木雅明です
最初に鈴木優人の独奏でオルガン曲が3曲演奏されました。このうち3曲目のオルガン・コラール「我はあなたに叫び求めん、主イエス・キリストよBWV639」は、曲を聴けば「ああ、あの曲ね」と分かるほど馴染みのある曲です。鈴木優人はゆったりしたテンポで噛みしめるように演奏します
次いで、いつも通りバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが総動員で・・・・と思ったら、ステージに出てきたのはリコーダー2名、オルガン1名、ヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロの前身)2名、ヴィオローネ(コントラバスの前身)1名の計6人だけでした ヴィオラ・ダ・ガンバのうち1人は新日本フィルの首席チェロ奏者・武澤秀平、ヴィオローネは読響の首席コントラバス奏者・西澤誠治です
「追悼行事 カンタータ第106番”神の時こそこよなき時 BWV106」は、1707~08年頃に作曲されたと考えられています。「追悼行事」というのは「お葬式」のことですが、バッハが誰を悼んでこのカンタータを作曲したのかは不明だそうです
通奏低音をバックにリコーダーが静かに美しいメロディーを奏でます。次いで合唱が「生きるも死ぬも神の定めた時が最良の時」という内容の歌を歌い、テノール、バス、アルト(カウンターテナー)が引き継いで歌い、最後はコラールで神を称えて曲を閉じます。独唱陣はいつもの通り絶好調です
20分の休憩後、後半のプログラムを再開するに当たり、指揮の鈴木雅明がマイクを持って登場します
「皆さま、今日はようこそお出でくださいました。2015年に入って最初のコンサートですが、本日取り上げるのは”お葬式”の音楽です 新年の最初に”お葬式”はないだろうとお思いでしょうが、阪神淡路大地震から20年目、3.11の東北地方大震災から4年が過ぎ、さらに終戦後70年という重要な年に、バッハ・コレギウム・ジャパンは25周年迎えることになりました。そこで、多くの亡くなった方への追悼の思いを込めて今回のプログラムを組みました
」
なぜ彼が阪神淡路大震災の話から入ったかと言えば、もともとバッハ・コレギウム・ジャパンは神戸で活動を開始したからです。今でも定期演奏会は神戸松陰女子学院大学チャペル(今回が第233回定期公演)と東京オペラシティコンサートホール(今回が第111回定期公演)で続けているのです
そして後半の3曲について解説、「義しき者は滅ぶとも」はバッハではなく、クーナウという人の作品らしいこと、「打ちて告げよ、待ち焦がれし時を」は20世紀の半ばまではバッハの作品と見なされていたが、研究の結果、ホフマン(1679ー1715)の作品であることが有力視されるようになったことを説明しました
バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが、今度はフルメンバーで登場です 向かって左サイドにヴァイオリン、ヴィオラ、その前方にヴィオラ・ダ・ガンバ(2)の弦楽器セクションが、中央に鈴木優人のオルガンが、右サイドにリュート(2)、フラウト・トラヴェルソ(フルートの前身)2、オーボエ(2)、ファゴット(1)、チェロ(1)、ヴィオローネ(1)、そして右奥に鐘(2)がスタンバイします
クーナウの曲は短い曲で、すぐに次の「打ちて告げよ、待ち焦がれし時を」が演奏されます。プロ集団BCJのバックに支えられてアルト(カウンターテナー)のロビン・ブレイズが「天の御国への旅立ちの時を待ち望む」という内容の歌を穏やかに歌い上げます 2つの鐘の音がいいアクセントになって彼の美声に彩りを添えます
男性が女性のような声で歌うカウンターテナーで、この人より右に出る人は限られるでしょう。本当にほれぼれするような美しい声です
最後は「候妃よ、いま一条の光をBWV198」です。この曲は、ザクセン選帝侯アウグスト強王の妃、クリスティアーネ・エーバーハルディーネが逝去した際に、作曲されたものです この王妃は、夫がポーランドの王位を得る為にカトリックに改宗した時、毅然とした態度でプロテスタントに残り、ライプチッヒの人々に敬慕されていたそうです。ラン、ブレイズ、テュルク、ヴェルナーの独唱陣はフラウト・トラヴェルソの管きよみ、オーボエの三宮正満を始めとするプロ集団に支えられ、完璧な合唱団の歌声とも相まって、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました
バッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートを聴き終わると、いつも感動が残っています 私は無神論者ですが、このコンサートがある日だけは俄かクリスチャンになって敬虔な気持ちになります
そういう気持ちにさせるのは大バッハの力であり、その音楽を忠実に再現させる鈴木雅明+バッハ・コレギウム・ジャパンの力だと思います
閑話休題
昨日聴いたCDは、アマデウス弦楽四重奏団によるモーツアルトの「弦楽四重奏曲第16番変ホ長調K.428」と「同・第17番変ロ長調”狩”K.458」です 明日K.458を古典四重奏団の演奏で聴くのでその予習です。ウォルフガング・アマデウス・モーツアルトのミドル・ネームを採ったアマデウス弦楽四重奏団は、その名の通りモーツアルトを得意としていたクァルテットですが、日本のヴァイオリン演奏家にも多大な影響を及ぼしました。このはCD1951年の録音ですが、録音の古さを通り越してモーツアルトの魅力が伝わってきます