10日(土).わが家に来てから713日目を迎え,昨日の夕刊の「北朝鮮,5度目核実験」の大見出しに憤るモコタロです
えっ 何だって? また北朝鮮が核実験やったって!
もう あの国の指導者 キムチ常温を直視できないよ!
そうは言うものの やっぱり気になるなぁ 現代のヒトラーは
いけね! よそ見してたら顔を踏んづけちゃった・・・めんご!
閑話休題
本日の夕刻,内幸町のNPCビル10階のレストランAで,元の職場NPCのK君と,同じビル地下1階のW調剤薬局に在籍のHさんの結婚披露パーティーがあり,出席します K君からパーティーのBGMの選曲を依頼されたため,今週かなりの時間をかけて,所有する約4,000枚のCDの中から,変更に次ぐ変更を重ね,最終的に5枚+予備1枚を選びました 昨日,K君といっしょにレストランAに行って,パーティー担当のSさんにCDを手渡してBGMの打ち合わせをしました Sさんは流石にパーティ―運営のプロで,曲の出だしのタイミングなどにつき細かいアドヴァイスがありました
本日のパーティーで流す場面と音楽は次の通りです
1.入場のBGM モーツアルト「フルートとハープのための協奏曲」から第1楽章
2.乾杯の音頭~歓談のBGM ヴェルディ「歌劇”椿姫”」から「乾杯の歌」~ヴァイオリンとチェロによる歌劇の二重奏曲
3.デザート(シェフのパフォーマンス)のBGM レハール「ワルツ”金と銀”」ほかウィンナワルツ
4.退場のBGM モーツアルト「ポストホルン・セレナーデ」から第6楽章「メヌエットとトリオ」
5.終了~お見送りのBGM サラ・ブライトマン「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」
6.予備のCD(開演前などのBGM) パッヘルベル「カノン」他
ご出席の皆さんに喜んでいただけると嬉しいです また,結婚披露パーティーなどのお目出度いセレモニーでどういうBGMを流せばよいか,多少の参考になればと思います
も一度,閑話休題
米原万里著「ガセネッタ&シモネッタ」(文春文庫)を読み終りました このブログでは米原万里の作品をイヤというほどご紹介してきましたが,念のためプロフィールを簡単にご紹介します 1950年生まれ.1959~64年に在プラハ・ソビエト学校に学ぶ.東京外国語大学,東京大学でロシア語・ロシア文学を学び,ロシア語同時通訳者として活躍.その後,多くのエッセイを著す.2006年5月死去.今年が没後10年に当たる
この本のタイトル「ガセネッタ&シモネッタ」の所以について,米原さんは次のように書いています
「わが敬愛してやまない師匠の徳永晴美さんなど,不可能なはずの駄洒落の同時通訳までやってのける人である 『万里ちゃん,お客さんに”ああ,ドージ通訳の米原さんですね”なんて初対面で言われたら,なるべく”ド”と”ジ”のあいだを詰めて,”はい,ドジ通訳の米原です”と聞こえるように受けごたえした方がいいよ なにしろ,同時通訳に失敗はつきものだからね.とくに米原さんはね”』なんていう貴重な処世訓を駄洒落に託して垂れてくださったのも師匠.実を言うと,わたしに『シモネッタ・ドッジ』なる命名をしたのは,ほかならぬ師匠なのである」
(注)これについては,下ネタについては田丸公美子さんに敵わないので,「シモネッタ・ドッジ」は田丸さんに献上したいと書いています
「イタリア語通訳者・田丸公美子さんは,下ネタはどれも駄洒落がらみになっていて,これに絶妙な駄洒落の茶々を入れるのを得意としているのが,スペイン語通訳の大御所・横田佐和子さんである これはもう比類なき閃きの持ち主で,アッと唸らせられることたびたび 冴えた駄洒落を吐くためには,真実や事実を誇張したり,無視したり,歪めたりするのも辞さない天晴れな求道者なのである わたしの頭に『ガセネッタ・ダジャーレ』なる芸名が浮かんだのは,ごく自然な成り行きであった」
つまり,この本はガセネッタ・ダジャーレである横田佐和子さん,シモネッタ・ドジである米原万里さん,そして先輩格の通訳者である田丸公美子さん(イタリア語),徳永晴美さん(ロシア語)を中心に,通訳稼業の舞台裏を抱腹絶倒の口調で暴いたエッセイ集なのです
横田さんと田丸さんにまつわるエピソードのうち,二人がさる自治体に通訳を依頼された時の話が痛快です
「そこの担当職員の服装がド派手なのにぶったまげて,つい『まあ,公僕には見えないお方』と口走ってしまったまではいい 相手は,褒め言葉と受け取り『えっ,それで何に見えます?』と身を乗り出して嬉しそう ここで,デザイナーとか建築家とでも言っておけば,次にまた仕事依頼のお声がかかろうというものを,病気が出た.まずシモネッタが叫んだ.『唐変木』.間髪入れずにガセネッタがトドメを刺した.『ウドの大木』」
このような面白いエピソードがたくさん紹介されているのですが,私が関心があるのは音楽に関係のあるテーマです 「メゾフォルテが一番簡単」と題するエッセイは次のように書かれています
「世界的チェロ奏者で指揮者のロストロポーヴィッチさんは,来日の折にヤマハ音楽教室に立ち寄り,子供たちの演奏を診断している.ある時子供たちの演奏を一通り聴き終えると,彼は壇上に上がった
『リヒテル君といっしょにショスタコーヴィチ先生の指導のもと,先生の作品の演奏を練習をしていたときのことだ.ぼくたちの演奏を聴き終わると先生はこうしたんだ』
ロストロポービッチさんはグランドピアノに向かうと,耳が張り裂けんばかりの大音響を響かせ,次に聞こえるか聞こえないかスレスレの音を響かせた
『演奏家は,この二つの両極端のあいだのすべての音階を弾き分けられなくてはいけないよ』
そう,ショスタコーヴィチ先生は諭したそうだ.
『ディミヌエンドもクレッシェンドも この幅があってこそ生きてくるんだ.ところが,君たちの演奏は,ぼくの若い頃ソックリだ 大きい音を出せば効果的と思い込んでいる.せいぜいフォルテとメゾフォルテとフォルティッシモしか弾けないのだね』
さらに,ショスタコーヴィチ先生は,こうも言ったそうだ.
『世の中にはピアニストを名乗る輩が掃いて捨てるほどいるが,そのうちの大多数は,ピアノ(小さな音)が弾けたためしがない 世の中にはびこる自称ピアニストたちは,ぼくに言わせりゃ,メゾフォルティストだね.メゾフォルティストになるのが,一番簡単だってことだ』」
プロの演奏家の中には,耳が痛い人も少なくないのではないかと思います とにかく読み始めたら止まらない面白さです.音楽好きに限らず広くお薦めします