人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小山実稚恵+アルティ弦楽四重奏団でドヴォルザーク&ブラームスの「ピアノ五重奏曲」を聴く

2016年09月26日 07時45分44秒 | 日記

26日(月).ここ1,2週間は曇り又は雨の肌寒い天気でしたが,昨日は久しぶりに暑い夏がぶり返した様相でした 衣替えしてしまったので長袖シャツの袖を折って半そでにしました ということで,わが家に来てから728日目を迎え,不審人物が倒れているので声をかけているモコタロです

 

          

          もしもし 聞こえますか? どうしましたか? 他人の家の中で・・・

 

          

             どうやら 人並みに呼吸はあるようだな どうでもいいけど3頭身だな

 

          

               どれどれ 心臓も動いているようだ 人形のくせに 生意気なヤツ

 

          

             人形相手にいつまでもバカやってらんないよ 撮影終了 撤収~!!

 

  閑話休題  

 

昨日,晴海の第一生命ホールで「室内楽の魅力  ブラームス第5回~音楽家たちとの友情Ⅱ」公演を聴きました プログラムは①ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲イ長調」,②ブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です 出演は,ピアノ独奏=小山実稚恵,アルティ弦楽四重奏団=豊嶋泰嗣(Vn),矢部達哉(同),川本嘉子(Va),上村昇(Vc)です 

アルティ弦楽四重奏団は京都府民ホール”アルティ”の開館10周年を記念して上記のメンバーにより1998年に結成されました 豊嶋泰嗣は新日本フィルの,矢部達哉は東京都交響楽団の各ソロ・コンサートマスターです 川本嘉子は都響の元・首席ヴィオラ奏者,上村昇はソリストとして室内楽などで活躍しています   ピアニストの小山実稚恵はチャイコフスキー国際コンクールとショパン国際ピアノコンクールの両方に入賞した日本人唯一のピアニストです

 

          

 

1曲目のドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲イ長調」は,ピアノ=エディット・ファルナディ+バリリ四重奏団による1953年のモノラル録音CDで予習しておきました

 

          

 

自席は1階4列15番,センターブロック左から3つ入った席です.会場はかなり埋まっています 5人の奏者が登場し配置に着きます.1曲目のドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲イ長調」は,ピアノを奧に,矢部達哉が第1ヴァイオリンを担当し,豊嶋,上村,川本の順に並びます

この曲は1887年の夏の終わりに完成されました.作曲者が46歳の時の作品です 4つの楽章から成りますが,いずれもドヴォルザークらしい旋律に溢れています 例えば,第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」はピアノに導かれてチェロが美しいメロディーを奏でますが,メロディーメーカー,ドヴォルザークの面目躍如といったところです

私などは,ドヴォルザークと言うと,交響曲はともかく,室内楽では弦楽四重奏曲「アメリカ」くらいしか頭に浮かんできませんが,このピアノ五重奏曲はなかなかの傑作だと思いました それは,この日のような各自がソリストとしての実力を持つメンバーによって演奏されたからこそです 私にとってはドヴォルザーク再発見といったところです

 

          

 

2曲目のブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」は,ピアノ=ウェルナー・ハースとベルリン・フィル八重奏団によるCDで予習しておきました ヴィオラを弾いているのは当時ベルリン・フィル団員だった土屋邦雄氏です

 

          

 

今度は第1ヴァイオリンを豊嶋泰嗣が務めます.この曲は最初 弦楽五重奏曲として作曲され,次いで2台のためのピアノ・ソナタに編曲され,最後にピアノ五重奏曲として完成したという曰くつきの曲です ブラームスが迷いに迷って最終形として完成しただけのことはあり,彼の数ある室内楽の中でも最高レベルの傑作です この曲は4つの楽章から成りますが,第2楽章「アンダンテ」における豊嶋泰嗣の演奏は”渋さの極致”で「これぞブラームス」と絶賛したくなる入魂の演奏でした.そして第3楽章「スケルツォ」における5人の演奏は,ピアノと弦楽四重奏,あるいは弦楽器同士の疾走感溢れる丁々発止のやり取りが素晴らしく,やはり「これぞブラームス」と叫びたくなるような白熱の演奏でした 小山のピアノは主張すべきは主張しているのですが,決して弦楽四重奏の演奏を邪魔しない節度が保たれていて好感が持てました そして,第4楽章「フィナーレ」になだれ込み渾身の演奏で締めくくりました

会場割れんばかりの拍手とブラボーがソリストたちに押し寄せました 5回ほどカーテンコールがありましたが,これだけの熱演です.アンコールは望むべきもありません.5人とも もうクタクタでしょう

 

          

 

ところで,プログラム・ノートを昭和音楽大学の有田栄教授が書かれていますが,ブラームスとドヴォルザークの共通点として私の知らない事実が挙げられていました ブラームスはドヴォルザークを世に送り出すキッカケを作り,その後も積極的に応援していたことは良く知られています 1874年,当時33歳だったドヴォルザークが,若い芸術家の経済的支援を目的に新設されたオーストリア国家の奨学金に応募した際,審査員の一人だったブラームスは,提出された作品を見てドヴォルザークを強く推薦し,その後もドイツの大手出版社に働きかけてドヴォルザークと契約させたりしました そんな二人の共通点は言うまでもなく「民謡」でした 二人とも「民謡こそが自分の音楽の原点」と考えていたのです.ブラームスはハンガリー舞曲を,ドヴォルザークはスラブ舞曲を作曲したことからも分かります 私が驚いたのは,二人のもう一つの共通点が 何と「ワーグナー」だったということです

ブラームスは,ワーグナーに批判的な友人ハンスリックには内緒で,ワーグナーと手紙をやり取りし,どこから手に入れたのか「タンホイザー」のオリジナルスコアを手元に置いていたといいます 一方,ドヴォルザークは,若い時にプラハ劇場オーケストラでヴィオラ奏者を務めていたことがあり,ワーグナー自身の指揮で「タンホイザー」「ワルキューレ」「トリスタンとイゾルデ」を演奏した経験があるというのです.こんな話初めて聞き,いや,見ました プログラムノートはこういう知られざる(私にとって,ですが)真実を書いてこそ価値があると思います

ところで,入口で配布されたチラシの中に,去る6月30日の東京藝大モーニングコンサートでハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲を見事に弾いた岡本誠司のコンサートのチラシが入っていました 11月2日(水)午前11時から第一生命ホールで開かれる「雄大と行く 昼の音楽さんぽ~岡本誠司 ヴァイオリンが歌うロマンス」公演です.岡本誠司はJ.S.バッハ国際コンクールの優勝者です プログラムはクライスラー「愛の喜び」「愛の悲しみ」,エルガー「愛のあいさつ」他で,ピアノは上田晴子です 休憩時間にロビーのデスクで座席を指定して予約し,コンサート後にチケットを引き取ってきました 楽しみが一つ増えました

 

          

コメント
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