人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

エルマンノ・オルミ監督「木靴の樹」を観る~バッハが良く似合う映画

2016年09月03日 08時13分17秒 | 日記

3日(土).わが家に来てから706日目を迎え,何の書類か匂いを嗅いで調べているモコタロです

 

          

             いったいこれは何の書類だろう? 栗肉じゃないし・・・

 

          

                               ご主人さまの人間ドックの結果通知だってさ シリません!

 

  閑話休題   

 

いつも夕食ばかりアップしているので,今日は最近の朝食をご紹介します 「トースト」はピザソース+とろけるチーズ+ハムの上に目玉焼きを載せています 「デザート」はキウイ半分+デラウエア20粒にヨーグルトをかけています 「コーヒー」はモカです 「トースト」はスプーンで黄身を崩しながら食べますが,とても美味です

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,池袋の新文芸坐で「木靴の樹」を観ました これは,エルマンノ・オルミ監督による1978年イタリア映画(187分)です 19世紀のイタリア,ベルガモの農村を舞台に,大地主の厳しい搾取の下で貧しい生活を強いられながらも,力強く生きる農夫たち4家族の生活が描かれています ベルガモ地方出身のオルミ監督が,幼少期に祖母から聞いた昔話をもとにした物語で,出演者はすべてベルガモの農民たちを起用しています

小作人として農場に暮らすバティスティ一家をはじめ,6人の子を養うルンク未亡人,美しい娘マッダレーナのいるブルナー家,ケチで知られるフィナール一家の4家族は,土地や住居,農具などのすべてを地主から借りて生計を立てていた ある日,バティスティー家の息子ミネクの木靴が壊れてしまい,村から遠い学校に通う息子のため,父親は川沿いのポプラの樹を切って新しい木靴を作ったが,その樹は地主の所有物だった それが地主に知られ,生活の糧である牛(これも地主から借りている)を取り上げられてしまう バティスティ一家は赤ん坊が生まれたばかりだった.生きる手段を失った彼らは荷造りをして馬車で村を去って行く

 

          

 

この映画は,普通の農民の4家族の日常生活を淡々と描いていますが,稼ぎの3分の2を大地主に搾取され,貧しい生活を余儀なくされながらも それぞれが真面目に生きていこうとする姿勢が見られるのは,キリスト教を信じているからではないか,と思わせます 彼らは窮地に陥った時,それが自分の家族であれ他人の家族であれ必ず神に祈りを捧げます

子だくさんの未亡人の牛が病気になってしまい,獣医に診せると「病気だから,今のうちに殺して肉として売った方が お金になる」と言われてしまいます 彼女は「牛がいなければ生活ができない」として,教会に行き祈りを捧げ,近くの川の水を汲んでそれを“聖水”に見立てて牛に飲ませます.すると牛は回復し元気になります 彼女は”奇跡”を起こした神への感謝の祈りを捧げます

しかし,息子のミネクのために父親が木靴を作ったバティスティー家は何もかも失って村を去らざるを得なかった この一家には奇跡が訪れることなくこの映画は終わります.そこが何ともやるせないところです

さて,この映画ではクラシック音楽が何曲か使われています まず全体を通して通奏低音のように流れるのはJ.S.バッハのコラール『主イエス・キリストよ,われ汝に呼ばわる』BWV639です パイプオルガンによる演奏ですが,その場その場で心に染み入ります また,新婚さんが船で河を下るシーンでは同じバッハの無伴奏チェロの曲が流れていました キリスト教を信じる農民たちの心情を思うと,バッハの音楽はこの映画に良く似合います 

一方,地主が手回し蓄音機でSPレコードを聴くシーンがありますが,流れて来たのはモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の主人公のアリアでした 蓄音機は農民たちにとって大地主の富の象徴です また,こじんまりとした部屋でピアノ演奏会が開かれるシーンがありますが,男性ピアニストが弾いていたのはモーツアルトの「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付き”」の第3楽章「アラ・トゥルカ」でした しかし,この映画における演奏はヘンでした この音楽はロンド形式なのですが,冒頭部分のメロディーの繰り返しに終始していました モーツアルト作曲オルミ編曲によるトルコ行進曲でした オルミ監督はバッハとともに神に近いモーツアルトの音楽も愛していたようです

この映画は3時間ちょっとかかりますが,まったく弛緩するところがなく,最後まで飽きずに観ることができます 1978年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しましたが,文句なく「良い映画」です

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