人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「ピアノ五重奏曲K.452」他を聴く~藝大ピアノ・シリーズ「ハイドンとモーツアルト第2回」

2016年10月17日 07時54分08秒 | 日記

17日(月).ちょっと疲れが出ていて 風邪気味のようです 今日を含めて今週は7回のコンサートを控えているので,慎重にいきたいと思います ということで,わが家に来てから今日で749日目を迎え,空中に浮く白ウサちゃんを羨ましがっているモコタロです

 

          

            浮き浮きしてると思ったら キミは空中浮遊できるのか!?
 

 

  閑話休題  

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で「東京藝大ピアノ・シリーズ ハイドンとモーツアルト第2回」公演を聴きました プログラムは①ハイドン「ピアノ・ソナタ第52番」,②モーツアルト「2台のピアノのためのソナタK.448」,③ハイドン「6つのカンツォネッタ」から第25番「人魚の歌」,第112番「グリーン・スリーヴズ(緑の袖)」,第218番「遠い日々(蛍の光),④モーツアルト「ピアノ,オーボエ,クラリネット,ホルン,ファゴットのための五重奏曲K.452」です

 

          

 

早めに会場に着いたので,1階15列13番,センターブロック左通路側を押さえることが出来ました 午後3時の開演に先立って2時25分から藝大大学院生・井上果歩さんによるプレトークがありました ハイドンとモーツアルトの関係を手短かに解説しましたが,台本をゆっくり読んでいるようなスローペースで,ある意味 非常に分かり易かったです この日に演奏されるハイドンの「遠い日々に(蛍の光)」の解説で,「四七抜き音階(主音のドから数えて4つ目のファと7つ目のシの音を抜いた音階)の例として「蛍の光」の他に「ぞうさん」などのお馴染みの歌も数多くあるが,著作権の関係でここで演奏することが出来ない,という説明があり「ああそうなのか」と聴衆一同が納得していたのが印象的でした

さて本番です 1曲目のハイドン「ピアノ・ソナタ第52番」は,ハイドンが2回目のロンドン滞在中の1794年~95年にかけて作曲された第50番~第52番のピアノ・ソナタの中の1曲です モーツアルトの死が1791年なので,彼の死後に書かれたことになります 演奏は藝大教授の植田克己です.私の偏見かもしれませんが,音符の多い割にはモーツアルトのピアノ・ソナタほどの閃きが少ないように思います

2曲目はモーツアルト「2台のピアノのためのソナタK.448」です この曲は彼のピアノの生徒ヨゼ―ファ・バルバラ・アウエルンハンマー嬢と自分自身が弾くために作曲されました モーツアルトが父レオポルトにあてた手紙によると,ヨゼーファ嬢は相当のブスだったようですが,演奏技術は優れていたようです

向かい合わせに並べられた2台のグランドピアノに 向かって左側に准教授の青柳晋が,右側に教授の伊藤恵がスタンバイします 第1楽章「アレグロ」が軽快なテンポで開始されます.この曲は,「頭の良くなるモーツアルト」の代表曲として本やらCDやらで一時期騒がれた曲です この曲を聴いているだけで頭が良くなるのなら日本中の受験生が朝から晩までこの曲を聴いたことになりますが,実際にはそんなことはありませんでした いつの世も,モーツアルトを商売のタネにして荒稼ぎをしようとする不届き者がいるようです もちろん,「日本酒の醸造時にモーツアルトを聴かせるとまろやかな味になる」というような ある程度「モーツアルト効果」があることは否定しませんが, 行き過ぎは困ったものだと思います

ただ,率直に言って,この曲を聴いていると本当に幸せな気持ちになることは確かです 特に第2楽章「アンダンテ」は気持ちが穏やかになり,この曲が聴けて生きていて良かったと思います 二人の演奏は軽快そのもので,テンポ感が抜群でした

 

          

 

休憩後の最初の曲,ハイドン「6つのカンツォネッタ」~第25番『人魚の歌』は,ソプラノ=藝大教授・野々下由香里,ピアノ=准教授・江口玲によって演奏されます 続いて「スコットランド民謡集」から第112番『グリーンスリーヴズ(緑の袖の君)』と第218番『遠い日々に(蛍の光)』が,ヴァイオリン=藝大准教授・玉井菜採が加わって演奏されます 野々下由香里さんはかつてバッハ・コレギウム・ジャパンのソリストとして大活躍していたソプラノですが,ノン・ビブラートの声が美しく,透明感があります 最近はその歌う姿が一層美しく,貫禄も出て来たように思います それにしても,ハイドンは交響曲や弦楽四重奏曲だけでなく,歌曲も数多く作曲したのだな とあらためて感心しました

最後の曲はモーツアルト「ピアノ五重奏曲K.452」です この曲はモーツアルトがウィーンに移住して間もなくの1784年の演奏会(当時28歳)のために作曲されました この年の3月に作曲された「ピアノ協奏曲第15番K.450」と「同・第16番K.451」とともに,4月1日にブルク劇場でモーツアルト自身のピアノで初演されました

ピアノ=東誠三が奥にスタンバイし,前に左からオーボエ=小畑善昭,ホルン=日高剛,ファゴット=岡本正之,クラリネット=山本正治という編成をとります このうち小畑善昭,山本正治はかつて新日本フィルで首席を務めたことがあり,日高剛は日本フィル,読響,N響で活躍した人です.岡本正之は現在 都響の首席奏者です いわば精鋭のメンバーと言えるでしょう

第1楽章「ラルゴ~アレグロ・モデラート」,第2楽章「ラルゲット」,第3楽章「アレグレット」の3つの楽章から成ります オーボエの小畑善昭のリードで軽快な音楽が奏でられます 個々人の演奏技術が優れているので安心して音楽を楽しむことが出来ます.これは大事なことです 私はモーツアルトであればジャンルを問わずどんな曲でも好きですが,とりわけ秋に聴くには室内楽はピッタリだと思います その意味ではブラームスもそうですね

最後の音が鳴り終わると,ほぼ満席の会場から大きな拍手が湧き起こりました 十分楽しむことが出来ました.これだけのコンサートが3,000円というのは良心的だと思います

 

          

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