19日(水).昨日は東京藝大シンフォニーオーケストラの「プロムナード コンサート」を聴く予定でしたが,体調が思わしくないので家で身体を休めることにしました
ということで,わが家に来てから今日で751日目を迎え,2020年東京オリンピック・パラリンピックのボート・カヌー会場に関して迷走する事態の打開策を述べるモコタロです
IOCのバッハ会長を説得できるのはベートーヴェンしかいないよ
閑話休題
昨日,夕食に「豚バラこんにゃく」と「生野菜サラダ」を作りました 「豚バラ~」は初挑戦ですが,子供たちにも好評でした
も一度,閑話休題
昨日の日経夕刊第1面のコラム「あすへの話題」に,元警察庁長官・漆間巌氏が「予期せぬ出来事」という題でエッセイを寄せています 超訳すると
「1980年代,ソ連内政担当の大使館員として赴任していたが,1982年11月18日にモスクワ音楽院大ホールで開かれたコンサートが忘れられない 当時79歳のムラヴィンスキーがレニングラード・フィル(現サンクト・ペテルブルク・フィル)を指揮してショスタコーヴィチの交響曲第5番を演奏した 演奏が始まって暫くすると,ステージ上で火花が飛び散ると同時に照明が全部消えてしまった 5分以上続いたと思うが,彼は,何事もなかったかのように指揮を続け,楽団員も平然と演奏を行った.演奏後は大拍手であったが,彼はニコリともしなかった.単なる事故か,それとも嫌がらせか,未だに判然としない」
いかにもムラヴィンスキーらしいエピソードだと思いました エフゲニー・ムラヴィンスキーは1903年6月4日レニングラードで生まれました(1988年1月19日に死去).1938年に35歳の若さでレニングラード・フィルの常任指揮者に就任して以来,音楽に対する厳しく真摯な姿勢により同オーケストラを世界屈指のオーケストラに育て上げました
ショスタコービチ「交響曲第5番」はムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー・アカデミー管弦楽団によって1937年に初演されました
下の写真は1978年6月12日にウィーンのムジークフェライン・ザールで演奏されたムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによるショスタコーヴィチ「交響曲第5番」のライブ録音CDです 漆間氏がレニングラードで聴いた公演の4年前の演奏です.厳しい音楽が聴こえます
またまた,閑話休題
文京シビックホール事務局から「響きの森クラシック・シリーズ」2017-2018シーズン・セット券の継続案内が届きました このシリーズは年4回,東京フィルが演奏しています.次シーズンはシリーズ15周年ということで,内容が一段と充実しています
このシリーズは4回とも毎回土曜日午後3時開演で,会場は文京シビックホール(地下鉄「後楽園駅」「春日駅」)です
①5月20日:チャイコフスキー「イタリア奇想曲」,同「ピアノ協奏曲第1番」,同「交響曲第5番」 指揮=アンドレア・バッティストーニ,ピアノ=外山啓介
②9月16日:ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」ほか.指揮:チョン・ミョンフン
③1月13日:J.シュトラウス「美しく青きドナウ」,プッチーニ「ラ・ボエーム」より二重唱,サン=サーンス「序曲とロンド・カプリチオーソ」,④ラヴェル「ボレロ」 指揮=小林研一郎,ヴァイオリン=木嶋真優,ソプラノ=森麻季,テノール=宮里直樹
④2月3日:スメタナ「わが祖国」全曲 指揮=小林研一郎
今回の最大の呼びものは東響フィルの名誉音楽監督チョン・ミョンフンの登場です ベートーヴェンの英雄交響曲の他,誰かの協奏曲を取り上げるようです この公演を1回券で買うとS席が9,500円です.やっぱりセット券でしょう
4回セット券はS席:21,000円,A席:18,000円,B席:16,000円とかなり格安になっています.これは継続以外考えられません.さっそく同一席を継続する旨のハガキを出しておきました
なお,前売りは現在会員の継続手続きが10月25日締め切り,その後,文京区民先行予約が11月27日(1日だけ)となっているので,一般向けのセット券発売はその後になるようです
最後の,閑話休題
萩原浩著「家族写真」(講談社文庫)を読み終りました 萩原浩は1956年 埼玉県生まれ.成城大学卒業後 コピーライターを経て,1997年『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞,その後数々の文学賞を受賞しましたが,今年『海の見える理髪店』で第155回直木賞を受賞しました
この本は,「結婚しようよ」「磯野波平を探して」「肉村さん一家176Kg」「住宅見学会」「プラスチック・ファミリー」「しりとりの,り」「家族写真」という7つの短編が収められています
男手一つで育てた娘を嫁がせることになった男の悲哀を描いた「結婚しようよ」,さざえさんのお父さん・磯野波平と同年代の54歳と知って愕然とする男の話「磯野波平を探して」,肥満解消のために家族そろってダイエットに励む「肉村さん176Kg」,すでに住んでいるモデル住宅を見学に行き,理想的な家族像を見たと思ったら実情を知って,本当の幸せは何かを考える「住宅見学会」,マネキン人形を拾ってきて一緒に住む男の話「プラスチック・ファミリー」,家族でしりとりをやっているうちに,ついそれぞれの本音が出てくる「しりとりの,り」,写真館を継がせたい父親に対してプロのカメラマンを目指す息子の意識の違いを描いた「家族写真」です
萩原浩はさすがは短編の名手です 思わず笑ってしまうのですが,次の瞬間にはほろりと泣けてくる話ばかりです 私が一番印象に残っているのは「住宅見学会」です.すでに住んでいる住宅を見学するのですが,薔薇の花に囲まれた新築住宅は素晴らしく,そこに居る家族は理想的に見えたものの,普段は見せないもの(人)が隠されていたのです 傍から見れば幸せそうに見える家族も,外からは見えない問題を抱えているのだということをあらためて考えさせられます
直木賞受賞作「海の見える理髪店」は文庫化したら是非読みたいと思います