人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京春祭「N響メンバーによる室内楽」を聴く~モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番」、ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」他 / 朝日「天声人語」が小林秀雄著『モオツァルト』を引用

2023年03月23日 06時44分35秒 | 日記

23日(木)。昨日のWBC決勝戦「日本対アメリカ」は準決勝に続いてすごい試合でしたね 村上と岡本のホームランも出て、投手陣が頑張って繋ぎ、最終回には大谷が投げ、キャッチャー中村の好リードもあってダブルプレーと三振で締め、3対2で勝ちました これで日本は世界一強いことを証明しました 「このメンバーで世界一になる」という栗山監督の強い意志が全選手に浸透し、第1戦から決勝まで全7試合負けなしという快挙を達成、全員野球でもぎり取った優勝だと思います 侍ジャパンの選手の皆さん、お疲れさまでした 素晴らしい試合を見せていただき、ありがとうございました

さて 話は変わりますが、昨日の朝日新聞1面の看板コラム「天声人語」が小林秀雄の「モオツァルト」を扱っていました 現在 「天声人語」は3人の論説委員が交替で執筆しているので誰が書いたのかは分かりませんが、昨日の岸田首相のウクライナ電撃訪問にひっかけて、驚きの象徴として紹介しています   筆者は冒頭、次のように書き出しています

「ある冬の夜のことだった。若き日の批評家、小林秀雄は大阪の道頓堀を『犬のようにうろついていた』そうだ   すると突然、あの有名なモーツァルトの交響曲第40番ト短調が 脳裏に流れたという 『街の雑踏の中を歩く 静まり返った僕の頭の中で、誰かがはっきりと演奏した様に鳴った』▼それがいかに驚愕する体験であったか。『僕は、脳味噌に手術を受けた様に驚き、感動で震えた』。難解な文章で知られる批評家は、後に名著『モオツァルト』にそう書き残している

 

     

 

小林秀雄著「モオツァルト」を読んだ方ならすぐに分かりますが、文中の「あの有名なモーツァルトの交響曲第40番ト短調が、脳裏に流れた」という音楽は、第1楽章の有名なメランコリックなメロディーではなく、第4楽章冒頭のメロディーです 新潮文庫「モオツァルト・無常という事」の13ページの冒頭にその楽譜が掲載されています 小林秀雄は、上記の文脈の後、次のように続けています

「百貨店に駆け込み、レコオドを聞いたが、もはや感動は還って来なかった 自分のこんな病的な感覚に意味があるなどと言うのではない。モオツァルトの事を書こうとして、彼に関する自分の一番痛切な経験が、自ら思い出されたに過ぎないのであるが、一体 今 自分は、ト短調シンフォニーを その頃よりよく理解しているのだろうか という考えは、無意味とは思えないのである

あの耳のいい小林秀雄にして「その頃よりよく理解しているのだろうか」と自問するのですから、われわれ”音楽素人”はなおさらです その前に、音楽を「理解する」とはどういうことなのか、と考えてしまいます

ということで、わが家に来てから今日で2991日目を迎え、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が21日、モスクワで公式の首脳会談を開き、「対話がウクライナ危機の解決のための最善の道だ」などとする共同声明を発表したが、周氏は、ウクライナや米欧に対話を求めながらも、ロシア軍のウクライナ領からの撤退や、一方的に併合を宣言した4州の取り扱いなどには触れなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国は和平のために努力してますというポーズがミエミエだ  ロシアを肯定するだけ

 

         

 

昨日の夕食は「鯖の味噌煮」「マグロの山掛け」「豚汁」「生野菜サラダ」にしました 和食は健康にいいですね

 

     

 

         

 

昨夜、東京文化会館小ホールで「東京・春・音楽祭2023」参加公演「N響メンバーによる室内楽」を聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515」、②ボッケリーニ「弦楽五重奏曲 ホ長調 G.275」、③ブラームス「弦楽六重奏曲第1番 作品18」です 演奏はヴァイオリン=白井圭、森田昌弘、ヴィオラ=中村翔太郎、村松龍、チェロ=藤森亮一、小畠幸法です

 

     

 

1曲目はモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1787年に作曲しました 楽器編成は弦楽四重奏にヴィオラを加えたものです。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭のチェロの藤森とヴァイオリンの白井の掛け合いが絶妙です 全曲を通して白井のヴァイオリンが良く歌います ヴィオラの音色が美しい チェロが終始安定しています 軽快な演奏でした

ところで、配布されたペラ1枚のこの曲の楽章紹介には第1楽章「アレグロ」、第2楽章「メヌエット:アレグレット」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アレグロ」と表記されていましたが、これは第2楽章と第3楽章が逆ではないか、と思います スメタナ四重奏団+ヨセフ・スークのCD解説でも Wikipedia でも逆になっていました    皆さん、もしこの曲のCDをお持ちなら、曲目の楽章表記を確かめてみてください 音楽祭実行委員会側が、配布資料の表記の方が正しいと言うのなら根拠を示してほしいと思います

2曲目はボッケリーニ「弦楽五重奏曲 ホ長調 G.275」です この曲はルイージ・ボッケリーニ(1743-1805)が1771年に作曲した6曲のセットの5曲目です モーツアルトの作品と違い、弦楽四重奏にチェロを加えた編成です 第1楽章「アモローソ」、第2楽章「アレグロ・コン・スピーリト」、第3楽章「メヌエット・エ・トリオ」、第4楽章「ロンド:アンダンテ」の4楽章から成ります

第1楽章は楽章表記「アモローソ」の通り、白井のヴァイオリンを中心にソフトで「優しい」演奏が展開します 第2楽章はヴァイオリンとチェロの掛け合いが楽しく、賑やかな演奏が繰り広げられます 第3楽章は「ボッケリーニのメヌエット」として知られている有名なメロディーが、チェロとヴィオラのピッツィカートに乗せて、白井のヴァイオリンで奏でられます ソフトで繊細な演奏でした 第4楽章ではチェロとヴィオラ奏者が素晴らしい演奏を展開しました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「弦楽六重奏曲第1番 作品18」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1858年から1860年にかけて作曲、1861年にハノーヴァーで初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・マ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・モルト」、第4楽章「ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭はチェロ2とヴィオラ1で開始されますが、悠然と進むこの音楽が大好きです 完成時27歳の若きブラームスの作品ですが、そうとは思えない老練な渋さを感じます 第2楽章はヴィオラによりメランコリックな旋律が奏でられます このメロディーは一度聴いたら忘れられないでしょう ルイ・マル監督「恋人たち」でも使われました 第3楽章は一転、楽し気なスケルツォです。第4楽章は第1楽章冒頭と同様にチェロ2、ヴィオラ1によって悠然とした音楽が展開します ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの全体的なバランスが見事に取れていて、素晴らしいアンサンブルが展開しました

白井氏にとって、N響コンマスの立場での仲間たちとの演奏は今回が最後になるのでしょうか。今後のご活躍を期待しています

 

     

 

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コメント (2)
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