人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023 :ベートーヴェン」第2日目公演を聴く ~ 萩原麻未 ✕ 神尾真由子 ✕ 横坂源の「大公トリオ」、福間洸太朗の「月光ソナタ」他、井上道義の「運命」

2023年05月06日 01時16分29秒 | 日記

6日(土)。わが家に来てから今日で3035日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創立者プリゴジン氏は5日、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトから10日に撤退するとSNSで発表したが、最近、ロシア国防省が弾薬不足を解消しないと批判したうえで、「撤退せざるを得ない」と警告していた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     仲間割れ大歓迎! これ以上無知な若者を無駄死にさせないために 早期撤退すべき

 

         

 

昨日は、娘が夕食にバターチキンカレーを作るというので、朝食は息子が作ってくれました コーヒーも軽井沢の丸山珈琲を豆から挽いてくれました とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023:ベートーヴェン」第2日目公演のうち次の3公演を聴きました

①公演番号223「巨きさと気品と。ベートーヴェンが恩人に捧げた偉大なる名曲」

②公演番号224「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール ~ ハート直撃コンサート」

③公演番号215「ミチヨシはかくベートーヴェンの運命の扉を叩く」

 

     

 

最初に15時30分からホールCで「巨きさと気品と。ベートーヴェンが恩人に捧げた偉大なる名曲」を聴きました プログラムは「ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 作品97 ”大公”」です 演奏はピアノ=萩原麻未、ヴァイオリン=神尾真由子、チェロ=横坂源です

萩原麻未は2010年に第65回ジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で日本人として初めて優勝、神尾真由子は2007年に第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝、横坂源は2010年にミュンヘン国際音楽コンクールで第2位入賞を果たしています

自席は先行抽選販売による3階3列45番、右ブロック右から4つ目です ステージからは遠いですが、これが抽選の宿命です

 

     

 

「ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 作品97 ”大公”」はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1811年に作曲、1814年にウィーンで初演されました オーストリアのルードルフ大公に献呈されたため「大公」という愛称が付いています 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ・マ・コン・モート」、第4楽章「アレグロ・モデラート ~ プレスト」の4楽章から成ります 第2楽章に「アダージョ」でなく「スケルツォ」を置くのは稀で、「第九」を先取りしたかのような構成です

萩原麻未がマリンブルーの、神尾真由子が純白の衣装で横坂とともに登場、萩原のピアノで第1楽章が開始されます このピアノが包容力があり優しさに満ちています そして神尾と横坂が加わりますが、何とも優雅で気品に満ちた演奏です 第2楽章は3つの楽器の対話が楽しい 第3楽章は冒頭の萩原のピアノ・ソロによるモノローグがとても美しく響き、ピアノに寄り添うヴァイオリンとチェロがよく歌っていました 第4楽章は軽快なピアノに引っ張られるようにヴァイオリンとチェロが生き生きとした変奏曲を奏でます

この曲の献呈を受けたルドルフ大公がこの場に居て 彼らの演奏を聴いたら、”一人スタンディングオベーション”をしていたことでしょう 素晴らしい演奏でした

 

     

 

次に17時45分からホールCで「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール ~ ハート直撃コンサート」を聴きました プログラムは①「4手のための3つの行進曲 作品46」より(抜粋)、②ワルトシュタイン伯爵の主題による4手のための8つの変奏曲 WoO87,③パガテル「エリーゼのために」イ短調 WoO59,④ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」、⑤ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」より第1・第2楽章です  演奏は①②のピアノ・デュオ=ガイスター・デュオ、③④のピアノ独奏=福間洸太朗、⑤のサックス四重奏=エリプソス四重奏団です

自席は1階19列7番、左ブロック左から2つ目です 会場はほぼ満席です

演奏に先立ってLFJの仕掛け人ルネ・マルタンが通訳を伴って登場、本公演で演奏される曲目とアーティストを紹介しましたが、演奏順がプログラムに掲載されている曲順と①と②が逆になることが明らかになりました

 

     

 

1曲目は「4手のための3つの行進曲 作品46」より(抜粋)です 2021年にミュンヘン国際コンクールで第1位となったピアノ・デュオ=ガイスター・デュオにより演奏されます 2人の手が交差しながら軽快なテンポで演奏されました

2曲目は「ワルトシュタイン伯爵の主題による4手のための8つの変奏曲 WoO87」です 滅多に聴く機会がない曲で、ベートーヴェンはこういう曲も書いたのか、と感慨深いものがありました

次の曲はパガテル「エリーゼのために」イ短調 WoO59です   この曲は1810年に作曲されました パリ国立音楽院で学んだ福間洸太朗は、終始ソフトなタッチで、曲を慈しむように演奏しました

次は「ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2”月光”」です この曲は1801年に作曲されました 第1楽章「アダージョ・ソステヌート」、第2楽章「アレグレット ~ トリオ」、第3楽章「プレスト・アジタート」の3楽章から成ります 福間はまるで、ある一組の男女をめぐるストーリーを語るように演奏しました

最後の曲は「ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13『悲愴』」より第1・第2楽章です この曲は1797年から翌98年にかけて作曲されました 演奏するサックスのエリプソス四重奏団は2004年にナントで結成され、パリ国立音楽院でメイエ、ル・サージュに師事しました

サックスを持った4人が登場しますが、まるでレゲエ楽団のような雰囲気をまとっています 4人とも音程の異なるサックスを持っており、ソプラノ、テナー、アルト、バリトンと揃い踏みです 演奏中は両手がふさがるので4人とも電子楽譜を使用します 第1楽章の悲劇的な様相と、第2楽章の穏やかで抒情に満ちた世界観の対比が鮮やかで、同族楽器による演奏でも、これほどの表現力があるのか、と驚きました

 

     

 

このタイミングで夕食を取りました LFJの時はいつもホールAの道を挟んだ反対側にあるビル地下のO屋で食事をとります 子どもたちは今頃、娘が作ったバターチキンカレーを食べていることでしょう

 

     

 

最後に20時30分からホールAで「ミチヨシはかくベートーヴェンの運命の扉を叩く」を聴きました プログラムは「交響曲第5番 ハ短調 作品67 ”運命”」です 演奏は井上道義指揮新日本フィルです

自席は1階3列30番、センターブロック左通路側です 位置的にはコンマスの正面の延長線上辺りの席で、考えようによってはすごく良い席ですが、3列はいくら何でも前過ぎです これも先行抽選販売の宿命です 驚いたのは約5000人収容のこのホールAが、どうやら満席となったらしいのです

 

     

 

演奏に先立って、井上が和太鼓の林英哲氏をステージに呼んで「名曲はなぜ名曲なのか?」という問答を始めました 井上の問いかけは「ベートーヴェンの第5番は名曲と言われているけど、じゃあ何故名曲なのか? みんなが名曲と言ってるから、じゃないでしょう」というものです 井上は「名曲は墨で一筆書きで書いた”書”のようなものだと思う 色が付いていない。つまり余計なものがない。べートーヴェンの第5番は、余計なものを排除してシンプルに作られている」と語っていました

井上が「月と太陽は全く大きさが違うのに 同じ大きさに見える。実に不思議だ」と訳の分からないことを言い出したあたりから、舞台袖の進行係が「このまま放っといたらいつまで経ってもトークが終わらない」と懸命な判断を下したらしく、楽員がぞろぞろと入場してきて配置に着きました それを見た井上は、「やばい、しゃべり過ぎたか。そろそろ引っ込んで準備せねば」と思ったかどうか、林氏と肩を組んで舞台袖に引っ込んでいきました

「交響曲第5番 ハ短調 作品67 ”運命”」は1807年から翌08年にかけて作曲、1808年12月22日に第6番”田園”とともにアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ ~ プレスト」の4楽章から成ります

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置をとります コンマスは西江王子、その隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

井上の指揮で第1楽章に入りますが、集中力に満ちた迫力ある演奏が展開します 席が前方ということもあってか、弦楽器群のものすごい風圧を感じるエネルギーに満ちた演奏です ホルンの日高剛、フルートの野津雄太、オーボエの岡北斗、クラリネットのマルコス・ペレス・ミランダの演奏が素晴らしい

5000人規模の満場の拍手にカーテンコールが繰り返されますが、井上は抵抗するルネ・マルタンを無理やり舞台に引きずり出してきて「主催者で~す」とばかりに賞賛します マルタンが「わたしゃ、演奏には関係おまへんで」とばかりに早々に引っ込むと、井上は「せっかく前面に出してあげたのに、なんで引っ込んじゃうんだよ」とばかりに悪態をつき、それが聴衆の笑いを誘います 奇才たる所以です 2024年12月末を持って指揮者を引退すると宣言している井上は、数少ない「お客が呼べる指揮者」の一人です 「惜しまれるうちが華」という美学なのでしょうが、惜しい人財です

 

     

コメント
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