7日(日)。わが家に来てから今日で3036日目を迎え、ロシアが侵攻し、併合を宣言したウクライナ南部ザポロジェのロシア側「行政府」トップ、バリツキー氏は5日、ウクライナ軍の攻撃が強まっているとして、前線に近い計18地区から子どもや高齢者、病気療養者らを一時避難させると発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
一時じゃなくて永遠に避難することになるだろう 元々ウクライナの土地だからね
昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつもは隔週金曜日に作っていますが、前日は娘が「バターチキンカレー」を作ってくれたし、また息子が夜、単身赴任先の宮城県白石市に戻るので、家族そろっての最後の晩餐ということで、私が作りました
いつものフライパンを娘が使っていたので、別ので作りましたが、どうも調子が違うようでカラッとは揚がりませんでした
息子がミネストローネスープを作ってくれました
とてもヘルシーで美味しかったです
昨日、東京国際フォーラムで開催された「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023:ベートーヴェン」第3日目(最終日)のうち次の3公演を聴きました
①公演番号321「人生との闘いの末に辿りついた巨匠の静かなる境地」
②公演番号312「アイディアと覇気の噴出! 若きベートーヴェンの想像力を見よ」
③公演番号323「7人の名手による親密にして豪華な饗宴」
最初に10時からホールCで「人生との闘いの末に辿りついた巨匠の静かなる境地」を聴きました プログラムは①ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109,②ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110,③ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 作品111です
ピアノ独奏はアンヌ・ケフェレックです
自席は抽選による2階17列30番、2階センターブロック最後列右から4つ目です 会場はほぼ満席です
ケフェレックが黒のシックな衣装で登場し、演奏に先立ってプレトークを行いました これは極めて珍しいのではないかと思います。ケフェレックは通訳を通して概要次のように語りました
「午前10時から本番を迎えるのは私の生涯で初めてです 皆さんもこんなに早くからコンサートを聴くのは滅多にないでしょう
しかも演奏するのがベートーヴェンの最後の3つのソナタです
演奏する方も大変ですが、聴く方も大変だと思います
ベートーヴェンは約30年にわたりピアノ・ソナタを日記のように書き続けてきました
その中の最後の3つのソナタを、私は3姉妹と呼んでいます
作品番号が109,110,111と並んでいることもあります。それぞれ曲想は異なりますが、変容していくところは共通しています
ソナタ30番は・・・・」
通訳を通して話をしているので、第30番と第31番に関するプレトークだけで15分かかってしまいました 一旦舞台袖に引き上げ、拍手の中 再度入場し、会場に一礼することもなくすぐにピアノに向かい演奏に入ります
ベートーヴェンはこれで良いのです
ステージに出た瞬間からベートーヴェンの世界に入っていなければなりません
最初の曲は「ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1820年に作曲、マクシミアーネ・ブレンターノに献呈されました
第1楽章「ヴィヴァーチェ、マ・ノン・トロッポ ~ アダージョ・エスプレッシーヴォ」、第2楽章「プレッティッシモ」、第3楽章「十分に歌い、心の底から感情をもって:アンダンテ・モルト・カンタービレ・エド・プレッシーヴォ」の3楽章から成ります
いつも感じるのですが、ケフェレックのピアノはクリアです 強音でも濁ることなく明確に鳴り響きます
次の曲は「ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110」です この曲は1821年から翌22年にかけて作曲されました
第1楽章「モデラート・カンタービレ・エ・モルト・エスプレッシーヴォ」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ ~ フーガ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります
この曲は、後に死因となった肝臓病の兆候が現れ、また甥のカールの養育問題に悩まされていた頃に書かれた作品であることから、苦悩とそれを乗り越えようとする意志を感じる作品ですが、そうしたベートーヴェンの心境に理解を示すかのように共感を持って演奏しました
ここで再びトークに入り、「本来ならば、ここで休憩がほしいところですが、次の第32番について短くお話しします」として、エドウィン・フィッシャーやビクトル・ユーゴーの言葉を引用しながらこの曲の解釈について語りました
私はこの時初めて、この曲の最後が休符で終わっていることを知りました
最後の曲は「ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 作品111」です この曲は1821年から翌22年にかけて作曲されました
第1楽章「マエストーソ ~ アレグロ・コン・ブリオ・エド・アパッショナート」、第2楽章「アリエッタ:アダージョ・モルト・センプリーチェ・エ・カンタービレ」の2楽章から成ります
第1楽章冒頭は怒涛の快進撃とでも言えるような激しい音楽が展開します 第2楽章は一転、祈りの音楽です
ケフェレックのピアノはその切り替えが見事です
公演が終了したのは11時半近くでした。予定より20分も超過です ケフェレックはカーテンコール時に、頭を押さえて「時間を超過して申し訳ない」という表情を見せましたが、ホールCの管理者や次のコンサートが迫っている聴衆にとっては大迷惑だったに違いありません
LFJは最初の頃はこういうスケジュール無視の公演があちこちで見られましたが、徐々に減ってきていました
私もコンサートのハシゴは時間的な余裕を持って組むべきだということを学びました
次に12時45分からホールAで「アイディアと覇気の噴出! 若きベートーヴェンの想像力を見よ」を聴きました プログラムは①バレエ音楽「プロメテウスの創造物 作品43」より序曲、②ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19です
演奏はピアノ独奏=福間洸太朗、横山奏指揮東京21世紀管弦楽団です
自席は1階4列27番、左ブロック右通路側です。これも先行抽選販売による席ですが、4列は前過ぎです
指揮をとる横山奏は札幌市出身、2018年の第18回東京国際音楽コンクールで第2位と聴衆賞を受賞しています 東京21世紀管弦楽団は2019年創設の若いオケで、2020年に浮ケ谷孝夫を音楽監督に迎え東京芸術劇場で定期演奏会を開いています
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという並び コンミスは東京ニューシティ管弦楽団(現・パシフィック・フィルハーモニア東京)の首席奏者だったヴァイオリニストだと思われます
それより何より驚いたのは、コロナ禍突入直後くらいの時に、新日本フィルを定年退職された第2ヴァイオリン奏者・篠原秀和さんが、第2ヴァイオリン首席の位置にスタンバイしているではありませんか
グリーン色の顎当て布は篠原さんのトレードマークでした
新しいオーケストラで第2の人生を歩まれているようで、とても良かったと思いました
篠原さんと言えば、新日本フィルの室内楽シリーズのプレトークで、原稿なしで曲目や作曲者の解説を巧みな話術を駆使してジャスト15分で終わらせて毎回聴衆を唖然とさせていた「トークの天才」として知られています
かなり貫禄が出て来たようで、落ち着いた演奏姿が堂に入っていました
さて、1曲目はバレエ音楽「プロメテウスの創造物 作品43」より序曲です この曲はイタリアのバレエ作家ヴィガーノから依頼されて1800年に作曲したもので、バレエは1801年にウィーンの宮廷劇場で初演されました
横山の指揮により、和音の一打で開始されますが、その後は速いテンポの軽快な演奏が続きます 鮮やかな演奏でした
2曲目は「ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19」です この曲は1793年以前に作曲され、1795年にウィーンのブルク劇場で初演されました
第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:モルト・アレグロ」の3楽章から成ります
長身でスマートな福間洸太朗が入場し、ピアノに対峙します 横山の指揮で第1楽章に入ります。長い前奏に次いで福間のピアノソロが入ってきますが、粒立ちが美しい演奏で、ベートーヴェンの若さが漲るような素晴らしいパフォーマンスです
技巧的なカデンツァが見事でした
バックを務める弦楽器が美しい
第2楽章は抒情的なピアノ・ソロが会場を満たします
第3楽章は一転、弾むような喜びに満ちた音楽で、軽快な演奏が繰り広げられました
会場いっぱいの拍手に福間は、突然 ポケットから赤いハチマキのようなものを取り出しました いったい何が始まるのか
と聴衆は興味津々です。すると福間はそれで目隠しをしました。どうやら鍵盤を見ないでアンコール曲を演奏するようです。これには会場はやんやの喝さいです
福間は右手と左手を交差させたままで、ベートーヴェン「ソナチネヘ長調Anh5」より第1楽章を鮮やかに演奏、ドヤ顔で聴衆の拍手喝采に応えました
こういうパフォーマンスは、モーツアルトが幼い頃に父レオポルドから強制されて貴族の前で披露し、名前を売り込んだのが有名です
でもベートーヴェンはやらなかったのではないか、と思います
ウォルフガング福間はベートーヴェンを超えたか
最後に15時からホールCで「7人の名手による親密にして豪華な饗宴」を聴きました プログラムは「七重奏曲 変ホ長調 作品20」です
演奏はクラリネット=吉田誠、ホルン=水野信行、ファゴット=モリス真登、ヴァイオリン=オリヴィエ・シャルリエ、ヴィオラ=川本嘉子、チェロ=マクシム・ケネソン、コントラバス=高橋洋太です
自席は抽選による1階1列28番、センターブロック右通路側です これも先行抽選販売による席ですが、いくら何でも1列目は前過ぎです
「七重奏曲 変ホ長調 作品20」は1799年から1800年にかけて作曲、1800年にウィーンのブルク劇場で初演されました ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ホルン、ファゴットにより演奏されます
第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「テーマ・コン・ヴァリアツィオーニ:アンダンテ」、第5楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第6楽章「アンダンテ・コン・コン・モルト・アラ・マルチャ ~ プレスト」の6楽章から成ります
7人は左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ホルン、ファゴット、クラリネットという並びで、チェロ以外は立奏します
この曲は大好きです 交響曲も良いし、弦楽四重奏曲も良いし、ピアノ協奏曲も良いし、ベートーヴェンに外れはないのですが、私は若きベートーヴェンが作曲した、どちらかというと”大衆受け狙い”の明るく分かりやすい曲が好きです
ヴァイオリンのオリヴィエ・シャルリエのリードで演奏が開始されますが、各楽章における左サイドの弦楽器群と右サイドの管楽器群との対話が素晴らしく、思わず足で拍子を取ってしまいます 演奏者は誰もが楽しそうです
各楽章でそれぞれの楽器のソロが披露されるのもこの曲の魅力です
ヴァイオリンとクラリネットは各楽章でリーダー的な役割を果たしますが、第4楽章の変奏曲における弦楽だけの三重奏は素晴らしかったし、第5楽章のチェロ独奏も伸び伸びとしていて良く歌っていました
この曲は何度聴いても飽きません。素晴らしい演奏でした
これをもって私の「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」も終わりです 3日間なんてあっという間に過ぎ去りました
次の音楽祭は6月の「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」です
これもあっという間に来るでしょう
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