人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラ、リヒャルト・シュトラウス「サロメ」初日公演を観る ~ これまでの同じ演出による公演だが何かが違う

2023年05月28日 00時10分05秒 | 日記

28日(日)その2.昨日午後、ミューザ川崎を後にして、初台駅に着いたのは13時10分。昼食を取ろうと「丸亀製麺」に行ったら「本日休業」の張り紙が 仕方ないのでコンビニでおにぎり2個と水を買って昼食を済ませ、開演30分前の13時30分に新国立劇場に入りました 私がなぜ急ぐかと言えば、プログラム冊子を事前にできる限り読んでおきたいからです しかもこの日のオペラ「サロメ」は途中休憩がないのでなおさらです 結果的には半分しか読めなかったので、残り半分は帰りの電車の中で読みました

         

ということで、昨日14時から新国立劇場「オペラパレス」でリヒャルト・シュトラウスのオペラ「サロメ」初日公演を観ました キャストはサロメ=アレックス・ペンダチャンスカ、ヘロデ=イアン・ストーレイ、ヘロディアス=ジェニファー・ラーモア、ヨハナーン=トマス・トマソン、ナラボート=鈴木准、ヘロディアスの小姓=加納悦子ほか 管弦楽=東京フィル、指揮=コンスタンティン・トリンクス、演出=アウグスト・エファーディングです

私が新国立オペラ「サロメ」をアウグスト・エファーディングの演出で観るのは2004年、2008年、2011年、2016年に次いで今回が5度目です

 

     

 

オペラ「サロメ」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がオスカー・ワイルドの劇をもとに1903年から05年にかけて作曲、1905年にドレスデンで初演されました

物語の舞台は紀元30年頃の領主ヘロデの宮殿。ヘロデの寵愛を一身に受ける義理の娘サロメは、庭の古井戸に幽閉されているヨハナーンに関心を持ち、衛兵隊長ナラボートに彼を連れ出すよう命ずる ヨハナーンはサロメにキスを求められるが、彼は拒否して古井戸に戻る ヘロデから 何でも望みの褒美を与えると舞をせがまれたサロメは、7つのヴェールを裸身にまとい、妖艶な踊りを披露する 舞終えたサロメが要求した褒美はヨハナーンの首だった   逡巡するヘロデだったが約束を守り、ヨハナーンの首が撥ねられ銀の皿に乗せられてサロメに差し出される 死者の唇にキスをするサロメを見たヘロデはサロメを殺すように命じる

 

     

 

【注:以下は 演出に関わるコメントが含まれています】

同じ演出家による「サロメ」公演なので印象はさほど変わらないはずです しかし、今回は何かが違います それは何か

通常の公演は客席の照明が落とされ、指揮者が登場してオーケストラピットに入り、序奏なりの演奏を開始して幕が開きますが、本公演ではまず照明が落とされ、再び照明が点灯すると幕が開き、すでに指揮台にいる指揮者がタクトを振ります こういう演出はたまに見かけます。残忍な内容だけに開幕に拍手は相応しくないという判断でしょうか

ヘロデを歌ったイアン・ストーレイはイギリス生まれのテノールです 声が良く通り、サロメのとてつもない要求を断るに断れないヘロデ王を見事に演じました

ヘロディアス(ヘロデの妻、サロメの実母)を歌ったジェニファー・ラーモアはアメリカ出身のメゾソプラノです 強靭な歌唱力の持ち主で、異常なサロメの母親らしいエキセントリックな役柄を演じ、聴衆を圧倒しました

ヨハナーンを歌ったトマス・トマソンはアイルランド・レイキャビクの音楽学校で学び、英国王立音楽院卒業後にヨーロッパを中心に活躍しているバリトンです 威厳のある洗礼者ヨハネを力強い歌唱で歌い上げ、抜群の存在感を示しました

 

     

 

さて、問題はサロメを歌い演じたアレックス・ペンダチャンスカです ブルガリア・ソフィア生まれのソプラノですが、歌唱力に関しては声も美しく強靭な歌唱で申し分ありません しかし、これまで観てきたサロメ役の歌手と比べ、演技力の点で物足りなさを感じます ひと言で言うと、もっと「サロメ」らしい狂気と妖艶さがほしいということです 特に一番の見どころ「7つのヴェールの踊り」では、トリンクス ✕ 東京フィルの濃厚とも言える妖艶で狂気に満ちた音楽づくりに対し、あまりにも動きが静か過ぎて「どこまでも冷静なサロメ」を感じてしまいます これは彼女自身の責任というより、演出・衣裳・振付の問題かもしれません そう思いながらプログラム冊子を読んでいたら、「登場人物紹介」ページの「サロメ」に「シュトラウスは『理想とするサロメは、イゾルデの声を持つ、16歳の王女である』(!)と非公式に発言した」とあります 16歳の少女に「妖艶で狂気に満ちたサロメ」を求めるのは酷かな、と思い直しました しかし16歳で「どこまでも冷静なサロメ」もないだろうとも思います

特筆すべきはドイツ出身のコンスタンティン・トリンクス指揮東京フィルの演奏です 終始歌手に寄り添いながら緊張感に満ちた素晴らしい演奏を展開しました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅田俊明 ✕ 高木綾子 ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「セレナータ・ノットゥルナ」「フルート協奏曲第2番」「交響曲第40番」を聴く ~ 第53回モーツアルト・マチネ

2023年05月28日 00時01分03秒 | 日記

28日(日)その1.わが家に来てから今日で3057日目を迎え、取材中の記者がロシア当局にスパイ容疑をかけられて拘束・起訴された米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のロシア関連の報道をめぐり、ロシア国営ノーボスチ通信は26日、「WSJが偽情報の発信を続けるのであれば、WSJは(拘束中の)記者の運命に関心がないということだ」とする「モスクワの情報筋」の発言を報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     拘束されている記者を人質にしてWSJを脅かしてる  卑劣なプーチン政権のやり口

 

          

 

昨日午前11時からミューザ川崎シンフォニーホールで「第53回 モーツアルト・マチネ」を聴きました プログラムはモーツアルト①セレナード第6番 ニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」、②フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314(285d)、③交響曲第40番ト短調 K.550です 演奏は②のフルート独奏=高木綾子、管弦楽=東京交響楽団、指揮=梅田俊明です

 

     

 

1曲目は「セレナード第6番 ニ長調 K.239『セレナータ・ノットゥルナ』」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が20歳の1776年に作曲しました 第1楽章「行進曲:マエストーソ」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「ロンド:アレグレット」の3楽章から成ります 鉢村優氏のプログラム・ノートには、「タイトルに添えられた『ノットゥルナ』は語義通りには『夜の』を意味するものの、何を指すのか明らかではありません。モーツアルトにとっては”ちょっと変わった”セレナードという程度の意味だったようだ」と書かれています

オケは変則5型で、左から第1ヴァイオリン(5)、第2ヴァイオリン(5)、コントラバス(1)、チェロ(2)、ヴィオラ(4)という並びで、下手にティンパニがスタンバイします コンマスは東京藝大の「藝大フィルハーモニア管弦楽団」コンサートマスターの澤亜樹です

梅田俊明の指揮で第1楽章が開始されます 澤コンマスと第2ヴァイオリン首席の服部亜矢子のデュオとオケとのコンチェルトのような形で軽快な演奏が続きます 清水太のティンパニが心地よいリズムを刻み 演奏にアクセントをつけます 第2楽章では、澤コンマス、服部、チェロ首席の伊藤、ヴィオラ首席の青木による四重奏とオケとの合奏(コンチェルト・グロッソ)により楽しい音楽が展開します 第3楽章に入ると、澤、服部、伊藤、青木、そして清水が、順番にソロの腕前を発揮しますが、清水はティンパニを硬いマレットで叩く傍ら、小柄なハンマー(小槌)で板を叩いていました🔨 マーラーじゃないんですけど 5人のソリストはノリノリで、タイトルのように「乗っとるな」と思いました こんなに楽しい「セレナータ・ノットゥルナ」を聴いたのは初めてです 梅田氏のセンスの良さを感じました

2曲目は「フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314(285d)」です この曲は1778年に作曲されました 原曲は「オーボエ協奏曲 ハ長調 K.271k」です パリのアマチュア・フルート愛好家ド・ジャンの依頼により3曲のフルート協奏曲を作る予定が間に合わず、1曲はオーボエ協奏曲から編曲(ハ長調 ⇒ ニ長調)したのです 第1楽章「アレグロ・アぺルト」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

フルート独奏の高木綾子は愛知県豊田市出身。東京藝大大学院修了。数々の管楽コンクールで優・入賞しています 現在、東京藝大准教授、洗足学園音楽大学客員教授を務めています

オケは8型に拡大し、管楽器が加わります

梅田の指揮で第1楽章が快速テンポで開始されます 間もなく高木のフルートが入ってきますが、確かな技術に裏付けられた軽快な演奏が続きます 第2楽章は憂いに満ちた演奏が印象的です 第3楽章は一転、愉悦感に満ちたフルートが会場を翔け巡ります 各楽章のカデンツァは鮮やかで聴きごたえがありました 文句なしの素晴らしい演奏でした

実は、この曲は私のクラシック入門曲なのです 今からン十年前、当時 一世を風靡していた「ラジカセ」にFM放送から4つの音楽を録音しました モーツアルト「フルート協奏曲第2番」、ドビュッシー「小組曲」、トワ エ モア「空よ」、C C R(クリーデンス・クリア・ウォーター・リバイバル)「トラベリング・バンド」です  何度も何度も繰り返し聴いて、最後に残ったのがモーツアルトでした    今でも覚えていますが、フルート独奏=宮本明恭(N響首席)、森正指揮NHK交響楽団による演奏でした    これをきっかけに、私はクラシックの世界にのめり込んでいくことになります 第2楽章のアダージョを聴きながら、当時の 若いだけが取り柄のアホな青春時代に思いをはせました

 

     

 

最後の曲は「交響曲第40番ト短調 K.550」です この曲は1788年に3か月間で作曲された第39番から第41番までの3つの交響曲の一つです 第1楽章「モルト・アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります もともとクラリネットなしの編成で作曲されましたが、完成後にクラリネットを追加する改訂が行われました。この日の演奏はこの第2稿によります

オケは10型に拡大します ホルンのトップは読響首席の松坂隼の客演のようです

梅田の指揮で演奏に入ります 第1楽章では弦楽器を中心に、涙が追いつけない疾走感溢れる演奏が素晴らしい 第2楽章ではホルンが冴え、弦楽器アンサンブルが美しい 第3楽章では相澤政宏のフルート、葉加瀬太郎、もとい、最上峰行のオーボエ、松坂隼のホルンが素晴らしい 第4楽章は滝から流れ落ちるような切迫感を感じる演奏が展開し、憂いに満ちたアレグロで曲が閉じられました

梅田 ✕ 東響は終始モーツアルトらしい軽快なテンポで演奏、満場の拍手を浴びました

 

     

 

終演は12時20分でした 14時から初台の新国立劇場でオペラ「サロメ」を観るので焦ります ミューザから川崎駅に向かう途中、スマホのヤフー「乗り換え案内」で川崎 ⇒ 初台を検索、品川駅で山手線に乗り換え、さらに新宿駅で京王新線に乗り換えて1つ目の初台で降りるのが最短時間であることが分かりました 開演時間には間に合いそうだが、昼食をとる時間はあるのか?・・と不安を抱えながら初台に向かいました 「その2」に続きます

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする