人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイング、リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」を観る ~ 当初「オックス」というタイトルだったことを思い出させる演出

2023年05月31日 06時57分31秒 | 日記

31日(水)。月末を迎えたので、恒例により5月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=23回(本日夜の読響を含む)、②映画鑑賞=10本、③読書=3冊でした クラシック・コンサートは「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」の1公演1時間前後のコンサートをそれぞれ1回と数えている関係で多めになっています 3時間を超えるオペラも1回とカウントしているので 同じ扱いです

ということで、わが家に来てから今日で3060日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は28日、ウクライナとの国境の州などで相次いでいる事件を受け、治安機関に国境地帯の警備を強化するよう指示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これでウクライナ南東部に集中していた侵攻が分散する ロシアの終わりの始まりだ

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました 最近、カレーやシチューには牛バラ肉に代えて牛ブロック肉を使っていますが、柔らかく煮込むことができました

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」を観ました これは今年4月15日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストは元帥夫人=リーゼ・ダーヴィドセン、オクタヴィアン=サマンサ・ハンキー(イザベル・レナードの代役)、オックス男爵=ギュンター・グロイスベック、ゾフィー=エリン・モーリー、ファー二ナル=ブライアン・マリガン(マルクス・ブルックの代役)、アンニーナ=キャサリン・ゴルドナー、ヴァルツァッキ=トーマス・エベンシュタイン。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=シモーネ・ヤング、演出=ロバート・カーセンです

 

     

 

「ばらの騎士」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が詩人フーゴー・フォン・ホーフマンスタールの台本により1909年から1910年にかけて作曲、1911年1月26日にドレスデン宮廷劇場で初演されました

物語の舞台は18世紀のウィーン(本公演の演出では、20世紀初頭の第一次世界大戦前、つまりリヒャルト・シュトラウスが「ばらの騎士」を作曲した当時のウィーンに時代を移しています)。朝からオックス男爵が元帥夫人の館を訪ねて来て、「ばらの騎士」の紹介を依頼する 「ばらの騎士」は婚約の儀礼として銀のバラを相手方に届ける役割である 元帥夫人は 昨夜も一緒に過ごした愛人のオクタヴィアンを薦める。当のオクタヴィアンが小間使い(マリアンデル)に変装しているとも知らず、男爵は喜んでその提案を受け入れる    男爵が帰った後で、元帥夫人は「時は過ぎていく。自分は老いていく。オクタヴィアンは自分から去っていくだろう。その日は今日か、明日か」と憂鬱な気分に襲われる(以上第1幕)

成り金の市民ファー二ナルの館に、ばらの騎士オクタヴィアンが到着する   館ではオックス男爵の婚約者で、ファー二ナルの娘ゾフィーが待っていた オクタヴィアンとゾフィーは一目見て相手を気に入ってしまう 後からやってきたオックス男爵のあまりの粗暴さを嫌がるゾフィーを見かねたオクタヴィアンは、とうとうオックス男爵に決闘を挑む オックス男爵はかすり傷を負い周囲が騒然とする そんな中、オクタヴィアンを中心にオックスを懲らしめる計画が着々と進められる(以上第2幕)

郊外のゲストハウスに逢引きにやってきた男爵は、それが罠で、元帥夫人邸の小間使いマリアンデルと思い込んでいる相手が、実は女装したオクタヴィアンとは知らない 散々懲らしめられたのになおも抵抗する男爵の前に、元帥夫人が現れ男爵をたしなめる 元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーの3人が残される。伯爵夫人にとって とうとうその時が来てしまった 若い幸福な2人を残して、元帥夫人は静かに去っていく(以上第3幕)

 

     

 

本公演は、これまで観てきた「ばらの騎士」と全く違う印象を持ちました オックス男爵を中心にオペラが進行していると思われるほど、オックスは終始忙しく歌いながら動き回り存在感を示します そこで思い出したのは、このオペラは当初「オックス」というタイトルだったということです つまり、リヒャルト・シュトラウスは「ばらの騎士」=オクタヴィアンと同じくらいのウエイトでオックス男爵を考えていたのです カナダ出身のロバート・カーセンのオックス重視の演出は、作曲者の原点に立ち返ったものだと言えるでしょう

そのオックス男爵を歌ったギュンター・グロイスベックは1976年オーストリア生まれのバスです 全編を通して強権的で好色で 実は気の弱い男爵を、高度の身体能力を生かしてテンポの速い演技でこなすとともに、低音の魅力を存分に発揮しました

元帥夫人を歌ったリーゼ・ダーヴィドセンは1987ノルウェー生まれの36歳。METではルネ・フレミングの跡を継ぐ「伯爵夫人」として期待されているソプラノです 豊麗な歌声が魅力ですが、これからが本領発揮だと思います

オクタヴィアンを歌ったサマンサ・ハンキーは、イザベル・レナードの降板により代役を務めることになったメゾソプラノです 米マサチューセッツ州出身で、2017年METナショナル・カウンシル・オーディションで優勝しています 歌唱力・演技力ともに優れています

ゾフィーを歌ったエリン・モーリーは1980年アメリカ・ソルトレイクシティ生まれのソプラノです 幕間の映像で自らピアノを弾きながら第3幕のゾフィーの歌唱を解説していましたが、表現力豊かな歌唱が魅力です

ファー二ナルを歌ったブライアン・マリガンはマルクス・ブルック降板により代役を務めることになったニューヨーク出身のバリトンです ”見栄の塊”のような成り金貴族を見事に歌い演じました

第3幕で歌われる伯爵夫人、オクタヴィアン、ゾフィーの三重唱と、その後のオクタヴィアンとゾフィーの二重唱は、何度聴いても鳥肌ものです オクタヴィアンの愛は伯爵夫人からゾフィーに移り、ゾフィーは新しい愛を獲得し、伯爵夫人は「いつかこの日が来ると覚悟していた」と、自らオクタヴィアンから去っていく・・・そんな3人のそれぞれの感情が三重唱で美しく感動的に歌い上げられます

 

     

 

演出面では、第2幕の冒頭、ファー二ナルの館に大砲2台が堂々と置かれていましたが、これは(この演出では武器商人の)ファー二ナルが貴族の仲間入りをした象徴として置かれていたものだと思います また、第3幕の舞台であるゲストハウスが娼館になっていたのにはビックリしました この辺の演出はぶっ飛んでいました

特筆すべきはシモーネ・ヤング指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団によるウィーン情緒豊かな演奏です 指揮者のシモーネ・ヤングは1961年オーストラリア・シドニー生まれ。ウィーン・フィルを女性として初めて振った指揮者として知られています METには約20年ぶりの登場です

全体的に弦楽セクションの艶のある演奏、ホルンの豊饒な音色の演奏が印象に残りました

         

ところで開演時に、スクリーンの上下と左右の尺寸が異常で、横長につぶれていたようになっており、「これでは観るのに目が疲れるなァ」と思っていたら、上映が一時中断され、係員が登場して「スクリーンの映像の尺寸が正常でないので、修正のうえ上映し直します」とアナウンスして、修正後に導入部から再上映しました この間約10分程度でしたが、すごく長く感じました 上映修了後、会場から外へ出る時に、係員から「どうも申し訳ありませんでした」として、ポップコーン又はドリンク1点と交換できる「引換券」が配布されました ライブコンサートは何が起こるか分かりませんが、映画でも何が起こるか分からないことが分かりました

 

     

コメント
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