14日(日)。わが家に来てから今日で3043日目を迎え、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は12日、同国の正規軍がウクライナ東部の激戦地バフムート近郊の拠点から「逃亡」していると述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロシア軍の兵士にはウクライナと闘う大義がないからね 国より自分の命が大事だろ
昨日、晴海の第一生命ホールで「室内楽ホール de オペラ」シリーズ「林美智子のコジ・ファン・トゥッテ」を観ました これはコロナ前に上演し大好評だったモーツアルトのダ・ポンテ三部作(「コジ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョバンニ」「フィガロの結婚」)のピアノ伴奏による再上演企画です この公演の大きな特徴は独唱の全アリアをカットし、重唱のみを取り上げてアンサンブル・オペラの楽しさを前面に打ち出したところにあります 私は前回3作品とも観ましたが、どれもが大いに楽しめたので、日程の空いている限り再度観ようと思ったのです
出演はフィオルディリージ=澤畑恵美、ドラベッラ=林美智子、フェランド=望月哲也、グリエルモ=黒田博、ドン・アルフォンソ=池田直樹、デスピーナ=鵜木絵里。ピアノ=河原忠之です
オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」(「女はみなこうしたもの」または「恋人たちの学校」)は、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)がダ・ポンテの台本に基づき、1789年から翌90年にかけて作曲、同年ウィーンのブルク劇場で初演されました
フェランドとグリエルモの若者2人が「僕たちの恋人は浮気なんてしない」と言うと、哲学者のドン・アルフォンソはそれを否定する そこで3人は恋人たちが浮気をするかどうか懸けをする ドン・アルフォンソはデスピーナを巻き込んで策略を練る 若者2人は兵士として船に乗って戦地に赴くが、実際には船には乗らず 外国人に変装してお互いの恋人を口説きにかかる 「愛してくれないなら毒を呑んで死ぬ」という2人に、フィオルディリージとドラベッラ姉妹はたちまち恋に落ち、結婚承諾書にサインまでしてしまう すると、思ったより早く若者2人が戦地から戻り、姉妹は慌てる そこで若者2人は変装を解き、種明かしをする 2組のカップルは再び愛を確認し合い、ドン・アルフォンソが「コジ・ファン・トゥッテ」と言ってハッピーエンドで幕を閉じる
自席は1階5列13番、センターブロック左通路側席です 大ホールと異なり、小ホールの場合は前の席ほど良い席です 会場は満席に近いのではないかと思います
ステージの下手奥にピアノが置かれ、椅子が6脚並べられているだけのシンプルな舞台です それぞれの椅子には登場人物の名前入りの顔写真が掲げられていて、誰がどの役を歌うのかが一目瞭然となっています 劇中 椅子は小道具として重要な役割を果たします ステージ正面の壁の上方には大きなスクリーンが下げられ、歌に合わせて日本語の字幕が大きな文字で出る仕組みになっています また、歌はイタリア語で歌われますが、セリフは日本語なのでストレートにオペラの楽しさが伝わってきます
最初にドン・アルフォンソ役の池田直樹が登場しオペラの開幕を告げます 彼はこのオペラの狂言回し役として活躍します 次いで、オーケストラの代わりにピアノ1台で歌手陣を支える河原忠之が「序曲」を軽快に演奏します
次いで、ドン・アルフォンソ、フェランド、グリエルモが登場し、「私のドラベッラだけはそうじゃない」「女の操というものは」「美しいセレナータを」の三重唱が歌われます バス・バリトンの池田は低音の魅力で存在感抜群です テノールの望月哲也とバリトンの黒田博も良く声が通り、演技力も素晴らしい
そこにフィオルディリージとドラベッラが加わり「ああ、私の足は動いてくれない」からの五重唱になりますが、ソプラノの澤畑恵美の歌唱は美しく、メゾソプラノの林美智子の歌唱はそれに輪をかけて素晴らしい
いよいよ男2人が出兵することになり「もう一度口づけを」が歌われ、登場人物が舞台から引き揚げていきます その時、河原がピアノを離れ客席に向けて横断幕を掲げます。そこには「88分09秒が経過」と書かれています 「えっ、開演からそんなに時間が経ったか?」と思っていると、河原が「ハ・ヤ・オ・ク・リ(早送り)」と解読します つまり、男2人が戦場に赴いた後から次のシーンまでの長い時間を短縮してお届けします、というわけです これには会場は大爆笑です このアイディアは仕掛け人・林美智子プロデューサーによるものだろうか
そしてフィオルディリージ、ドラベッラ、ドン・アルフォンソの三重唱「さわやかに風よ吹け」が歌われますが、澤畑恵美、林美智子、池田直樹のアンサンブルが素晴らしかった
そして、遂にデスピーナの登場を迎えます この役に鵜木絵里ほど相応しい人はいません この役と「魔笛」のパパゲーナを歌い演じたら他の追随を許しません 歌はもちろん素晴らしく、コミカルな演技が聴衆の笑いを誘います
「ああ、はかない幸せ」から始まる第1幕フィナーレでは全員による六重唱が繰り広げられますが、まさにモーツアルトのアンサンブル・オペラの真骨頂です モーツアルトって何と素晴らしいんだろうと思います
20分休憩後の第2幕も、第1幕と同様に二重唱、三重唱、六重唱が歌われます この幕で可笑しいのは、フェランド、グリエルモの2人が毒を煽って死ぬ真似をするシーンです 2人が手にした小瓶は精力剤アルギンZではなかったか 2人を解毒するため、デスピーナが2人の身体に大きな磁石を当てるとビリビリと身体を震わせるシーンも可笑しかった ここではコメディアン・コメディエンヌとしての演技力が試されますが、3人とも合格です
ソロのアリアとレチタティーヴォを排し、重唱と日本語の簡潔なセリフにより、テンポよくストーリーを展開していく手法はユニークで、時間が経つのを忘れるほど楽しい 楽しませてくれた歌手6人の皆さんと、歌手陣を支えたピアノの河原忠之氏にあらためて大きな拍手を送ります 中でも、本公演の日本語台詞台本・構成・演出を担い、そのうえ自らドラベッラを歌い演じた林美智子さんに惜しみない拍手を送ります モーツアルトのオペラは、シンプルな舞台、ピアノ1台の伴奏でも 歌手陣が充実していれば 十分楽しさが伝わってくることを証明しました
次は6月10日(土)14時開演の「ドン・ジョバンニ」です もちろん私も観に行きます 時間のある方はお出かけされてはいかがでしょうか 楽しくて、絶対後悔しません チケットが残っているかどうかだけが心配です 残っているといいですね 残ってますよ、きっと