人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「第17回 チャイコフスキー国際コンクール」終わる ~ ロシア人が4部門で1位、韓国人が3部門で1位、日本人の入賞なし / リューベン・オストルンド監督「逆転のトライアングル」を観る

2023年07月02日 06時55分05秒 | 日記

2日(日)。昨日の朝日新聞朝刊が「第17回チャイコフスキー国際コンクール」の結果を報じていました 記事の概要は以下の通りです

「ロシアのチャイコフスキー国際コンクールが29日に本選を終え、最終結果を発表した 途中、ワグネル反乱の激震に見舞われたが、予定通りに続けた。ウクライナ侵攻の影響で中国の参加者が急増した一方、ロシアと対立する「非友好国」の韓国が健闘した。ロシア人がピアノと声楽(女性)、木管、金管の4部門、韓国人がヴァイオリンとチェロ、声楽(男性)の3部門で1位を分け合った 日本人はピアノとヴァイオリンで計7人が参加したが、本選への進出はなかった 今年は侵攻を批判する欧米の参加者が8割減となった一方、中国からは6倍に増えた

やっぱりね、という結果でした 4年後にロシアという国家が存在しているかどうか分かりませんが、開催されるのであれば、世界が平和な状況の中で「第18回チャイコフスキーコンクール」が開かれることを祈ってやみません

ということで、わが家に来てから今日で3092日目を迎え、ロシアで反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が保有するメディアグループ「パトリオット」が活動を停止したが、プーチン政権の圧力を受けた動きとみられ、プリゴジン氏自ら「解散させた」といわれる   というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     このグループは「フェイクニュース工場」だ  無くなっても次の工場が出てくるだろ

 

         

 

昨夜は、娘がピザを食べたいと言うのでデリバリーで取りました 注文を娘に任せたらピザ大1枚、小2枚、それにチキンとポテトも注文していて、こんな大量になりました もちろん食べきれないので残りは翌日に回します

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でリューベン・オストルンド監督による2022年製作スウェーデン・ドイツ・フランス・イギリス合作映画「逆転のトライアングル」(147分)を観ました

モデルで人気SNSインフルエンサーのヤヤ(チャールビ・ディーン)と、男性モデル・カール(ハリス・ディキンソン)のカップルは、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る 各国のリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界だ しかしある夜、大嵐に遭い 乗客たちの重度の船酔いによってクルージングは大惨事になる。挙句の果てに海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く 食料も水もSNSもない極限状態の中で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群の船のトイレ清掃員の女性アビゲイル(ドリー・デ・レオン)だった

 

     

 

この映画は、金さえ払えば何でもできると思っているセレブたちを笑い飛ばすエピソードに満ちています 紳士淑女にしか見えない老夫婦が武器商人だったり、老婦人がメイドに「あなたにも楽しんでもらいたいの。今すぐ泳ぎなさい」と理不尽な命令をしたり、まともな人はいません 傑作だったのは、嵐の中で、アメリカ人の船長とロシア人の富豪が酒を飲みながら、マルクス主義や共産主義についてジョーク合戦するシーンです オストルンド監督は資本主義社会でも共産主義社会でも富豪は存在するし、イデオロギーなど何にもならない、とおちょくっているように見えます

この映画の肝の一つは、前半で男たちが「おれは金持ちで何でも手に入れられる」と豪語していたのが、いざ無人島に着くと、魚釣りも何も出来ないことを思い知らされ、女性の命令に従わざるを得なくなるところです

さて、音楽です。冒頭のレストランでのシーンで、ヤヤとカールが伝票を前に、どちらが支払うかで口喧嘩をしている時に、ボッケリーニ「弦楽五重奏曲 ホ長調 作品11-5」の第3楽章「メヌエット」が流れていました 深刻な会話に穏やかで平和な音楽・・・これも一種の「アンビバレント」な使い方でしょうか

 

     

     

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新国立オペラ「ラ・ボエーム」を観る ~ アレッサンドラ・マリアネッリ、スティーヴン・コステロ、ヴァレンティーナ・マストランジェロ、須藤慎吾にブラボー!

2023年07月01日 00時01分27秒 | 日記

7月1日(土)。今日から2023年も後半戦に突入します 別に戦わなくても良いのですが、残り半年であと何回コンサートが聴けるか、あと何本映画が観られるか、あと何冊本が読めるか・・・自分との戦いみたいなものです

ということで、わが家に来てから今日で3091日目を迎え、ロシア大統領府(クレムリン)は29日、プーチン大統領が熱狂的な支持者と交流する動画を公開し、民間軍事会社ワグネルの反乱鎮圧後、プーチン氏が「驚異的な」支持を集めている証拠だと主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       プリゴジン反乱の動揺を隠すための プーチン・ロシア得意のフェイク映像じゃね?

 

         

 

昨日、夕食に2週間に一度のローテにより「鶏のから揚げ」を作りました 2週間なんて あっという間ですね 鶏もも肉を栗原はるみ先生の「旨味醤油」に午前中から漬けておいたので、味が浸み込んで美味しく出来ました

 

     

     

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でプッチーニ「ラ・ボエーム」を観ました 本来は28日(水)のプルミエ(初日)公演を観る予定でしたが、読響の公演と重なったため、オペラの方をこの日に振り替えました 振り替えられた席は1階11列12番、センターブロック左通路側です。私の会員席よりかなり前の最良の席です

出演はミミ=アレッサンドラ・マリアネッリ、ロドルフォ=スティーヴン・コステロ、マルチェッロ=須藤慎吾、ムゼッタ=ヴァレンティーナ・マストランジェロ、ショナール=駒田敏章、コッリーネ=フランチェスコ・レオーネ、べノア=鹿野由之、アルチンドロ=晴雅彦、パルピニョール=寺田宗永。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=TOKYO FM 少年合唱団、指揮=大野和士、演出=粟國淳です

私が新国立オペラ「ラ・ボエーム」を観るのは、2003年、2004年、2008年、2012年、2016年、2020年に次いで、今回が7度目ですが、すべて粟國淳の演出です

開演前に 珍しく大野芸術監督によるプレトーク(約20分)がありました 「プッチーニは1858年の生まれだが、その2年後の1860年にグスタフ・マーラーが生まれている マーラーは交響曲における調性音楽の可能性を最大限に広げたが、プッチーニはオペラの世界で、登場人物全てを主役にして作曲した 『ラ・ボエーム』はその典型的なオペラだ」と語りました

 

     

 

歌劇「ラ・ボエーム」は、ジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がフランスの作家アンリ・ミュルジェール(1822-61)の小説「ボヘミアン生活の情景」をもとにジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカが手掛けた台本に基づき、1892年から95年にかけて作曲、1896年にトリノのレージョ劇場で初演されました

物語の舞台はクリスマス・イブのパリ 若くて貧しい芸術家4人が住む屋根裏部屋で詩人ロドルフォが独り仕事をしていると、隣人のお針子ミミがロウソクの火をもらいに現れ、二人はたちまち恋に落ちる 画家マルチェッロも元恋人ムゼッタとよりを戻し、音楽家ショナール、哲学者コッリーネを含めた若者たちは青春を謳歌する 2月の雪の日、ロドルフォは胸を患うミミを救うために痛恨の別れを決意する 数か月後、ミミが瀕死の状態で屋根裏部屋に運び込まれ、愛するロドルフォの傍らで息を引き取る

 

     

 

このオペラは何回観てもラストシーンには魂を持っていかれます プッチーニは泣かせるオペラの作曲家では第一人者でしょう

ミミを歌ったアレッサンドラ・マリアネッリはイタリア生まれのソプラノです マスカーニ音楽院で学び、2001年、15歳の時にカーシナリリカ国際コンクールで第2位入賞 翌02年ピサ・ヴェルディ劇場「フィガロの結婚」バルバリーナでデビュー その後イタリアの歌劇場を中心に活躍しています 第1幕のアリア「私の名はミミ」をはじめ、巧みなヴォイスコントロールによる自然なヴィブラートが美しく響きました

ロドルフォを歌ったスティーヴン・コステロはアメリカ生まれのテノールです 2007年に26歳でメトロポリタン歌劇場のシーズン初日にデビューし注目を集め、その後、世界のオペラ劇場で活躍しています 「冷たき手を」をはじめ、高音が良く伸びるリリカルな歌唱で、圧倒的な存在感を示しました

マルチェッロを歌った須藤慎吾は国立音楽大学・大学院出身のバリトンです 第42回日伊声楽コンコルソ第1位入賞者で、新国立オペラの常連歌手です 力強い歌唱と優れた演技力が光りました

ムゼッタを歌ったヴァレンティーナ・マストランジェロはイタリア生まれのソプラノです マルトゥッチ音楽院で学んだ後、2013年からマリエッラ・デヴィーアに師事しました 脇園彩さんと同門ですね 第2幕のワルツ「私が街を歩くと」をはじめ、声に力があり、美しい歌唱で存在感を示しました

新国立劇場合唱団とTOKYO FM 少年合唱団のコーラスも素晴らしかった

「ラ・ボエーム」はアリアも二重唱も素晴らしいのですが、私が最も素晴らしいと思うのは、第3幕「アンフェール関門」のシーンです ミミがロドルフォに別れを告げるアリア「あなたの呼ぶ声に」を歌い、そこにロドルフォが加わって二重唱「さらば愛の夢よ」を歌い上げますが、その傍らでは、マルチェロとムゼッタが口喧嘩をして「別れよう」と言い合っています 同じ別れでも「悲しみ」と「憎しみ」の音楽を重ねて進行させる・・・普通ならやらないことをプッチーニはやってのけます それが見事に的を射ていて、ミミとロドルフォの別れの悲しさが一層際立つことになります

 

     

 

プログラム冊子に音楽・オペラ研究家の水谷彰良氏が「ミラノのボヘミアンの生活情景 ~ プッチーニの学生時代」というタイトルの文章を寄せています それによると、プッチーニは父を5歳で亡くし、母方の叔父の教えを受け、その後 マルゲリータ王妃の奨学金(月額100リラで1年間)を得てミラノ王立音楽院に入学します しかし、母や妹に宛てた手紙によると、ミラノでの3年間、プッチーニはいつも金欠状態で、日常的に食費を切り詰め、靴やズボンがほしいとまで書いています

こうした学生時代のボヘミアン的な生活が、第1幕のロドルフォのアリア「冷たい手を」に反映しています

「ぼくは気楽な貧乏暮らしにあって、愛の詩と賛歌で立派な紳士のように贅沢をしています 夢のお陰で、夢想のお陰で、空中楼閣のお陰で、ぼくは大富豪の心をもっているのです

ところで、粟國淳の演出で一番の見ものは第2幕「カルチェ・ラタン」のシーンです 背景の建物があちこち動き、舞台の景色がどんどん変わっていきます 実は、建物は機械仕掛けではなく人が動かしているのです このシーンはスケール感が出ていて素晴らしいと思います 同じ演出が20年間・7回にわたり続いているのも第2幕あってのことだと思います

 

     

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