5/4(月) 19:41配信 AbemaTIMES
4日夕方、緊急事態宣言の延長決定について会見を開いた安倍総理は「収束に向けて着実に前進している」との認識を示した一方、「この努力をもう少しお願いしたい」との認識を示した。質疑応答では、PCR検査数について記者から質問が出た。
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ーー政府は能力拡充を図ってきているとしているが、実施件数が伸びていない現状がある。そういう中で感染の全体像が本当に掴めているのか、把握できない感染が広がっているという国民の不安があると思う。医師が必要だと判断した人だけが受けられるといった運用の見直しを図るなどして、より検査が受けられるようにしていくといった改善点についてどう考えているか。
安倍総理:日本は検査の数が諸外国と比べて少ないのではないかという指摘もある。私も医師が判断すれば受けられるようにすると申し上げてきたし、その能力を上げる努力をしてきた。しかし8000件、15000件と増やしても、実際に行われているのは7、8000件のレベル。どこで目詰まりがあるのか、本日の専門家会議の分析・提言では、東京などの大都市部で検査待ちが報告され、検査件数が伸びない理由については各自治体における保健所の業務過多、検体採取の体制などが挙げられている。地域の医師会にも協力いただきながら、東京では12カ所のPCRセンターが設置され、強化が図られてきている。引き続き、東京などの大都市圏を中心に対策を徹底していきたい。
諮問委員会の尾身茂会長:専門家会議の記者会見でも詳しく申し上げようと思っているが、確かに日本はPCR検査のキャパシティを上げることが他の国に比べて遅れた。ただ、それには様々な理由がある。もともと衛生研究所が感染法の中で行政の検査をやるということで、日本の場合は幸いなことにSARSやMARSが無かったために、少しPCR体制の経過が無かった。そういう中で、当初は重症化を防ぐため限られたキャパシティを集中せざるを得ないのが事実だった。しかし、だんだんと感染者、死亡者が増える中で、2月20日ごろからは大学や他の医療機関に試薬を送る、保険適用にするなどのことをやってきた。それでもなかなか思ったほどスピードが上がらなかったことは事実。
理由は6つくらいある。保健所の業務の過多、入院先をしっかり示す仕組みがない、人員カットなどもあり、PCR検査を行う地方衛生研究所のリソースが極めて少ない、検体採取をするためのマスクや防護服の問題、一般医療機関は都道府県と契約をしないと検査ができない仕組みがあったこと、採取した検体を運ぶことに様々な障害があった。そういうことで、確かに他の国よりは少なかった。しかし、それと日本の医療体制は肺炎のサーベイランスやってきたから、肺炎を起こすよう人はほとんどがCT検査とかをやられ、多くはPCR検査もやられているので、そういう意味では死亡者のようなものは正しい件数がピックアップされている。また、徐々にではあるが検体数が増えていて、その中で陽性率は下がっている。そういうポジティブなところもある。
まだまだ私自身、あるいは専門家委員会としては検査が必要な人にもう少しできるようスピードアップする必要があると思う。そのためには、これも6つくらいの課題がある。保健所の強化、都道府県調整本部の活性化、地域の外来をしっかりやること、キットの調達。それから検査をするといってもトレーニングも必要であること。また、基本的対処方針で実態の把握等について知事のリーダーシップをお願いしている。そういうことで、さらにしっかりと必要な人にPCR検査が受けられるようになると思う。
ーー日本のPCR検査数はOECD諸国の中でメキシコに次いで低いということが国際的にもわかっているが、感染状況を知る上でも非常に重要だ。日本は内閣総理大臣が増やせと指示をしても実力的にできないということをおっしゃっているのか、あるいは本気で増やそうとしてこなかったのか。なぜ民間を使うという選択肢が出てこないのか。
安倍総理:もちろん本気でやる気がなかったというわけではない。実際、国として能力を上げるということはやってきている。しかし、15000件まで能力を上げれば15000件できるというわけではない。先程も申し上げたが、多くは東京に集中しているので、PCRセンターの12カ所の体制を作った。人的な目詰まりもあったので、医師会にお願いをして、さらに歯科医師会の皆さんにもご協力いただくことになった。これからも全力を挙げていきたい。
尾身会長:民間については保険適用が始まって少しずつ増えている。統計を始めて、民間の検査会社でやっているのも含めて件数はわかっているが、複雑なのは、病院でやったものについては、同じ方が退院までに複数回やることがある。それが全て報告されるので分母が増えるというジレンマがある。なんとか解決しようと思っているが、民間を入れると増えすぎるというのが現実。確かにトータルとして検査件数は上がっている。
もう一つ、非常に重要なのは、PCRと補完関係にある迅速診断キットだ。まだ最終的な結果は出てないが、唾液の採取でできる簡単なもので、日本はインフルエンザでやってきた。もちろんPCRの方が感度はいいが、ウイルスの排出の多く感染しやすい、症状の始まる前2日くらいのレベルの人達を探知するのは十分。PCRについては、もちろん困難はあるが努力して2万件まで行かせるのと同時に、迅速診断キットができれば、かなり状況は変わると思う。
最終更新:5/4(月) 22:34
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