「自粛しないと通報するぞ」自警団を買って出る人が怯えているもの

2020年05月04日 12時40分24秒 | 社会・文化・政治・経済
まったりディストピア

 コロナショックによって、日本中のありとあらゆる領域で分断が生じています。

 とりわけ政府や自治体による「自粛要請」を盲信して「自粛警察」(自粛していない店や人を警察のように取り締まったり、実際に通報する行為を指すネットスラング)を買って出る人々と、「補償なき自粛」に異議を申し立てて応じない人々、「規制なき自粛」に何の危機感も抱かずに過ごす人々が、お互いを罵り合って収集がつかない「分割統治状態」が出現しています。

【写真】たった62人の富豪が世界の半分の富を持つ異常な世界の現実

 被支配者同士の対立をあおり立てて、支配者への批判をかわす統治手法を「分割統治」と言います。自粛をめぐる3つどもえのバトルは、為政者が頼んでもいないのに勝手連的に沸き起こった地獄絵図です。

 都市部を中心に感染者数の増加が収まらず、経済的に困窮する事業者・被雇用者も増えている中で、市民同士による陰湿な相互監視が幅を利かせ、個々の事情などお構いなしに「同調圧力」という暴力が横行しています。

 他方、今のところコロナ禍による経済的なダメージをほとんど受けることなく、テレワークの恩恵を享受できている人たちがいることも事実です。巣ごもり特有の「贅沢な悩み」をウェブ会議でほろ酔いで語り、マスク姿の主婦たちは子連れで買い物に繰り出し、公園などに集まって素知らぬ顔で井戸端会議をしています。まるで、パンデミックなど自分たちの生活には大して影響はない、と言わんばかりにです。

 筆者はこうした、「深刻」と「楽観」が隣り合うようにして、埋め難い社会の分断が噴出する暗黒世界を「まったりディストピア」と呼んでいます。

 感染症で人が死に、仕事がなくなるといった極限状態が展開される一方で、依然被災(こう述べても差し支えない状況になっているでしょう)を免れている人々の間では、実はそれほど変わらぬ日常が続いています。たしかに「ディストピア」感はあるのですが、それは平時にぼんやりと思っていたような破局の光景ではなく、やたらと「まったり」しているのです。

国家は「死の恐怖」で人を動かす

 無観客でライブ配信を行なうライブハウスに「次開けたら警察に通報するぞ」と脅し、自粛要請の範囲内で営業している居酒屋に「このような事態でまだ営業しますか?」と張り紙をする「自粛警察」と揶揄される人々は、分かりやすく言えば、増大する「死の恐怖」から逃れるための一時的な代償行為を演じているに過ぎません。実際的な「死のリスク」ではなく「恐怖」からの逃避です。

 わたしたちは普段、自らの存在の足下が動揺させられるような大規模自然災害というものですら、ほとんど瞬間的で地理的に限定された「例外状態」として認識しています。

 しかし、今回のコロナ禍は、長期化と遍在化によって感染とそれによる死が実際以上のリスクとして強く認識されています。これによって、通常「思慮の外」にあった「死の恐怖」――つまり、自らの身体の動物性、ウイルスの宿主となる動物としての人間、死すべき運命にある動物としての人間といった実存――を意識しないことによって成立していた「自尊感情」が、危機に陥っているのです。

 いつの時代も、国家はこうした「死の恐怖」を動員のフックとして活用してきました。ナショナリスティックな言説の背後には、民族の永遠性、共同体への献身といった「死の乗り越え」がしばしばみられます。これによって、わたしたちはただの動物であることを受け入れながら、象徴的に不死を獲得できるというわけです。

 けれども現代の国家は、そのような仰々しい役割を担うことを止め、「社会の不条理」は個人の問題、自己責任として処理するよう迫り、国民創生の物語もゴミ箱に捨ててきました。さらに自尊感情の支えとなる家族や地域社会といったソーシャルキャピタル(社会関係資本)はこの数十年間で崩壊し、社会的な連帯も困難になりました。

 その結果、わたしたちは溺れかけた人が目の前に浮かんだ流木にすがるように、一時的にせよ恐怖を打ち消してくれる信念や権威に、進んで従おうとしてしまうのです。過剰な「自粛」と「反自粛」は、そのメカニズムの表と裏でしょう。

恐怖と「軽蔑」の関係

 社会心理学者のシェルドン・ソロモンらは、このようなメカニズムについて以下の通り述べています。

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〈文化的な現実認識が死の恐怖を抑えているからには、自分の信念に反する信念の妥当性を認めれば、自分の信念が抑えつけている恐怖そのものが解き放たれる。そこで私たちはその脅威をかわすために、別の人生観をもつ人々を見下して人間扱いしない。または彼らに私たちの信念を受け入れさせ、彼らの文化を私たちの文化に吸収する、あるいは彼らを完全に抹殺する必要がある〉(シェルドン・ソロモン、ジェフ・グリーンバーグ、トム・ピジンスキー『なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか 人間の心の芯に巣くう虫』大田直子訳、インターシフト)
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 しかも「他者を軽んじるこの傾向は、とくに死を思い起こさせられた直後に顕著となる」というのです。

 コロナ禍で感染者を「殺人鬼」と評した政治家が典型ですが、潜伏期間の長さや無症状の者が多いこのウイルスのステルス性によって、すべての他者が「死の可能性」を帯び、自粛に従わずに遊んでいる若者などに至っては無自覚な「死の媒介者」に見えてしまうのです。いわば、人々の一挙手一投足が、恐怖の源泉となっています。

 国家や自治体の非公式のサポーターである「ミニ権力者」となり、不愉快な他者を攻撃しているあいだだけ、「恐怖そのもの」は「身近な権威」を借りた正義感や使命感によってやり過ごすことができます。

 けれども、そもそも全国民の行動変容を実現し、リスクをゼロにできるというのは完全に幻想です。「自粛警察」は政府の「クラスター対策」と同じく、木を見て森を見ずの状態で、自らの妄想と戦っているのです。いわば逃避の一種です。要するに、何ら現実を直視できていないのです。

楽観という防衛機制

 片や、「規制なき自粛」をあざ笑うかのように、何の危機感もないまま、好き勝手に振舞っている人々がいます。

 自分だけは大丈夫という「正常性バイアス」の仕業と言ってしまえばそれまでですが、ここでも実は、ソロモンらが指摘したメカニズムが作動しているのです。「自粛ムード」を「楽観ムード」に置き換えただけで、まったく同じ防衛機制が機能していることに気付きます。

 いつも通りの習慣を維持すること、これまでのルーティーンを変えないことが、「恐怖そのもの」のストッパーになる――この認識は制御しようがないのです。コロナ対策で営業時間を短縮しているスーパーマーケットやホームセンターなどが、家族連れでごった返すという異常事態が、まさにそれを表してしまっています。

 買い物で外出することによるに感染リスクよりも、買い物で得られる精神的な安定性が優先されるのです。ルーティーンを確認できるのであれば何でも良いのです。

 しかし、この心性もまた、新たな混乱の種でしかありません。

 こうした人にとって「心理的な安心感」は以前と変わらぬ習慣、ルーティーンに大きく依存しています。それがリスクの過小評価に基づく「日本すごい」論となんとなく合わさって、「楽観ムード」に水を差す者、悲観的な見通しを語る者を、原発事故の際の「危険厨」のようなものとして一笑に付すのです。

 ソロモンらの警鐘はここでも有効です。「『異なる他人』を見下しているときのほうが、やっかいな死の考えを消し去りやすい」(前掲書)からです。

「第三の道」を拓くことは可能か

 もちろん、逆に「日本がニューヨークのような惨状になる」というのも、何のエビデンスもない戯言でしょう。しかしむしろ、日本において最も驚愕すべき事実は、行政側の都合によってPCR検査を厳しいハードルを設けるなどして大幅に抑制してきたために、かえって感染症の流行がどのフェーズにあるのかを正確に把握できるデータがどこにもないことの方です。緊急事態宣言とその開始時期、あるいは解除や延長の妥当性も、判断のしようがないというわけです。

 遅かれ早かれ、経済活動は段階的にしろ部分的にしろ再開せざるを得ません。その場合、当然ですが「ゼロリスク」はあり得ません。また、何事もなかったように元に戻す楽観論もあり得ないでしょう。今後、この2つの極論がさらなるいがみ合いを始めることは間違いありませんが、重要なのは、自分たちが生きるために必要な経済活動と健康リスクのバランスです。

 まったくアテにならない「自粛要請」に後押しされた「自粛ムード」を金科玉条のごとく受け取らずに、一方で過剰な楽観や危機意識に対する冷笑にも陥らずに、この状況に「殺されないためにできること」を考え抜いて生きることが重要になります。それは「深刻」でも「楽観」でもない第三の道を切り拓くことにつながります。

 コロナ禍でも思考停止に陥らずに活路を見い出しているのは、誰のために何を守るのかを明確に見極めることができ、平時から共助のネットワークを大切にしていた人々です。

 愚かな国家にも罵詈雑言を投げ付ける市民にも振り回されないために、そして他者を攻撃することで不安を解消する「感情のモンスター」にならないために、この「まったりディストピア」の欺瞞に引きずられない強さをもって、当面はこのコロナ禍と賢明に付き合っていかなければならないでしょう。

真鍋 厚(評論家・著述家)

 

最終更新:5/4(月) 11:46
現代ビジネス


「出たくても出られない」 クラスター発生の永寿病院、陰性でも退院できない患者10人以上

2020年05月04日 12時35分58秒 | 医科・歯科・介護

 新型コロナウイルスで国内最大規模のクラスター(感染者集団)が発生し、病院としては最多の37人の患者が亡くなった永寿総合病院(東京都台東区)。ここではPCR検査で陰性が確認されながら病院から出られない患者が4月末時点で少なくとも10人以上いる。「永寿の患者」というだけで多くの病院が受け入れを拒否するためだ。入院中、陰性判明後に新型コロナに感染した人も少なくなく、残された患者は感染におびえながら毎日を過ごす。「出たくても出られない。刑務所のようだ」。退院したばかりの女性が入院生活を明かした。

【詳しく知る】永寿病院の患者、相次ぐ転院拒否 「普通の人間なのにやるせない」

 永寿総合病院は400床の病床を持つ台東区で最大の病院。患者や医療スタッフら210人が感染し、今も外来患者や救急搬送を受け入れていない。

 退院後に取材に応じたのは台東区の無職の女性(82)。脳梗塞(こうそく)を起こして3月初旬に都内の別の病院に入院していたが、3月中旬に人工透析の治療を受けられる永寿に転院した。脳梗塞の治療は順調に進み、3月29日に退院することも決まった。

 しかし、転院直後から院内はコロナ感染で騒然となっていた。女性もPCR検査を受けたが陰性と判明。ほっとしたが、退院は突如延期となった。女性が通う予定だったかかりつけの透析専門病院が受け入れを拒否したのだ。

 「病気は治ったのになぜ」。病室のテレビは連日、永寿総合病院のニュースを流していた。多くの患者の感染死が伝えられるなか「このまま病院にいれば、次は自分かもしれない」と不安が募った。

 感染拡大とともに、院内環境は厳しくなっていった。まず病室から出るのが禁じられた。マスクは2枚しか配られず、それを1カ月間使い続ける。入浴には介助が必要だったが、接触を避けるため、看護師らの付き添いはなくなった。そのため、週1回程度配られる蒸しタオルで体を拭くしかなかった。

 病院も混乱を極めていた。この女性は7階の病棟で入院していたが、ある日、看護師から「5階に移るから荷物をまとめて」と指示があった。永寿では感染者と非感染者を別のフロアに集めていた。しかし、その後、「(移動場所は)6階にします」と別の指示が出た。5階で新たに感染者が出たためだという。

 医師の回診は3日か4日に1回。「早く出たい」と伝えても「こちらもそうしたいが、無理です」と言われるだけ。4月13日の2回目の検査で再び陰性が確認されたが、退院は認められなかった。「まだです。もう一度検査を受けてほしい」と医師は繰り返した。その間もニュースは永寿での集団感染を流し続けていた。

 4月20日、3回目の検査を受けた。「もし陽性だったら」。すでに入院から1カ月が経過していた。結果は陰性。その後、かかりつけの透析専門病院が受け入れを了承したと聞いた。

 同じ病室には、転院を希望しながら認められない60代女性がいた。同じ境遇の2人は励まし合って暮らしてきた。退院が決まった時、声をかけられた。「さみしいよー」

 感染におびえるこの60代女性は一人で病室に残された。

 永寿から転院するには転院先を探すことが最も難しく、周辺の病院に受け入れをお願いしても、「永寿」と言うだけで拒否されることもあるという。

 永寿総合病院は先月28日、ホームページで「現状報告」を示し、院内の濃厚接触者について「ほとんどの方の退院が可能となっておりますが、(略)受け入れ先の決定に時間を要しております」と記した。【林田奈々、遠山和宏、関谷俊介】

 

最終更新:5/4(月) 10:03
毎日新聞


「10万円給付」で不審メール 対策本部名乗る電話も―便乗詐欺に注意・新型コロナ

2020年05月04日 12時30分17秒 | 事件・事故

2020年05月01日13時31分

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う現金10万円の一律給付に便乗した不審なメールや電話が相次いでいる。個人情報を聞き出し、行政手続きを装って金をだまし取る詐欺の手口とみられ、警察などが注意を呼び掛けている。

コロナ乗じた勧誘に注意を カルトや悪徳商法―専門家

 大阪府警によると、枚方市の50代女性に4月22日、「10万円給付に関して」と題したメールが届いた。記載のURLに接続して申請するよう促す内容だったが、女性は接続せずに府警に届け出た。奈良県では「お客さまの所在確認」と書かれたメールも確認された。
 不審なメールは、愛知県でも同24日までに4件あった。「手続きしないと受け取れない」「事前登録が必要」などと書かれていたという。

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴う現金10万円の一律給付に便乗した不審メールの画像(KDDI提供)

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 公的機関などをかたった電話も確認されている。東京都西東京市の70代女性宅には同22日、「都コロナ対策本部」を名乗る男から「給付金が出るので市役所職員が書類を持って伺う」と電話がかかってきた。都内では他に「国民に10万円が振り込まれる。代行サービスをやっている」との音声ガイダンスが流れる電話もあったという。
 総務省によると、同省や自治体が個人情報を問い合わせることはなく、業務委託もしていない。いずれのケースも被害はなかったが、氏名や口座番号などを入力すれば、金を引き出される恐れがある。
 相次ぐ不審メールや電話を受け、警視庁犯罪抑止対策本部は「給付に関する偽サイトを作るなど今後手段を変えてくる可能性もある。不安に思ったら連絡を」と話す。連絡先は消費者ホットライン「188」または最寄りの警察署まで。

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【社会記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】

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ホステスよりも黒服が重体化…医師が明かす銀座のコロナ事情

2020年05月04日 12時22分06秒 | 医科・歯科・介護

5/4(月) 6:32配信 SmartFLASH

「バーやナイトクラブなど、接待をともなう飲食店などに行くことは当面控えていただきたい」と3月30日の会見で述べた小池百合子都知事(67)。“夜の街” の代表格である東京・銀座でも感染は拡大しているという。

【グラフ】新型コロナウイルス、致死率が高い「基礎疾患」リスト

「我々は医療崩壊を起こさないように闘っていますが……皆さんが思っている以上に、銀座の感染状況は危機的です」

 そう語るのは、銀座近辺で働くある内科医だ。

「重篤な人も亡くなった方も含めて、これまでに20件ほど、自分自身が診察した症例や近辺の医師とのネットワークから、銀座で働く人たちの感染状況を確認してきました。

 じつはホステスだけでなく、いわゆる “黒服” として働いている男性の感染も多い。店外でのやり取りも多く、客の支払いを預かったりと、接触が多いからでしょう。そして傾向としては、黒服のほうが重症化しています」

 女性よりも男性感染者の致死率が高いことは、中国やイタリアでも報道があった。銀座でも同様の傾向が見られるというのだ。

「この銀座での傾向から、『女性のほうが、新型コロナウイルスに対する免疫があるのかもしれない』と、私も感じています。これから医学的にも立証しなければなりませんが……」

 夜の街での “感染経路” にも、特徴があるという。

「お客さんと会話をするホステスも、横に座って接客するタイプのほうが感染しやすい傾向を感じます。

 マスク着用が推奨されているため、対面で話している人のツバなどから感染すると思われていますが、実際は相手の体に触れた際にウイルスが付着して、その手で自分の口や鼻などをさわってしまうことが感染の原因になっているのではないでしょうか。あくまで現場の医師の感覚ですが……」


(週刊FLASH 2020年5月12・19日号)

 

最終更新:5/4(月) 11:31
SmartFLASH


弱音吐かない人が「もうやっていけない」 死亡した店主

2020年05月04日 12時11分10秒 | 事件・事故

 新型コロナウイルスによる感染拡大で休業を余儀なくされた東京都練馬区のとんかつ店。地元に愛され続ける店を切り盛りする傍ら、商店街の振興にも尽力していた店主の男性(54)は、聖火ランナーにも選ばれていたが、火災で亡くなった。捜査関係者によると、油をかぶった形跡があったという。店先では2日、花を手向ける人たちの姿が夜になっても後を絶たなかった。

【写真】男性が腕を振るったとんかつ店はシャッターが下り、「臨時休業のお知らせ」が貼られていた=2020年5月2日午後4時2分、東京都練馬区、鶴信吾撮影(画像を一部加工しています)

 警視庁などによると、火災は4月30日午後10時ごろ発生。1階の一部が焼けただけだったが、男性は全身にやけどを負って亡くなった。

 男性は商店街組合の副理事長を務めていた。5年ほど前には、商店街の店を紹介するチラシ作りを提案。店主の似顔絵をイラストレーターに描いてもらい、マップを添えた。一体感を高めようと、商店街全体で一斉に打ち水をする「打ち水大作戦」も手がけたという。

 「とにかくまじめな人柄で、仕事が大好きだった」。近くで居酒屋を営む男性店主(52)は話す。各地に大きな被害をもたらした昨年10月の台風19号の際にも、男性は店を開け続けていたという。

 

最終更新:5/3(日) 10:00
朝日新聞デジタル


「河井さんと一緒に沈んでもらう」東京地検に恫喝された渡辺典子県議が激白 前法相夫妻の捜査大詰め〈週刊朝日〉

2020年05月04日 12時04分36秒 | 事件・事故

 広島地検と東京地検特捜部が捜査している河井案里参院議員と夫で衆院議員の河井克行前法務相が地元・広島の地方議員らに現金をばら撒いたとされる公職選挙法違反の捜査が大詰めを迎えている。

【写真】本誌に激白した渡辺典子県議

 とりわけ、検察側が狙いを定めているのが、広島の重鎮と呼ばれる元県会議長、檜山俊宏県議らと河井夫妻の関係だ。広島地検と東京地検特捜部は4月28日、桧山県議や渡辺典子県議坪川竜大県議、3人の県議会控室などを家宅捜索した。

 この中で最も取り調べ回数が多いとされるのは、かつて河井夫妻と親しかった渡辺県議だ。すでに10回ほど事情聴取を受けている。

 しかし、渡辺県議は強引な取り調べで「自白を強要された」として同30日、最高検察庁の監察指導部に公平な取り調べを求める「要請書」を送付した。

「捜査の支障になってはと、今まで黙っていました。しかし、検察の捜査、取り調べにはもう我慢ができない」

 渡辺県議は本誌にこう涙声で訴えた。県議3期目、35歳という渡辺氏。学生時代からモデルで活躍。父は地元の家電チェーングループの創業者として知られる。渡辺県議の弁護士もこう批判する。

「脅して、検察ストーリーにあう供述調書を作成したいのでしょう。村木厚子さんの冤罪事件とそっくりだ。明らかに不当な調べなので、要請書を出し抗議しました」

 渡辺県議との一問一答は以下の通り――。

――現在の体調は?

「検察から強引な取り調べを何度も受け、精神的、肉体的にダメージを受け、急性胃腸炎と診断され、休んでいました。今は回復途上です」

――4月28日に県議会の控室を広島地検と東京地検特捜部が家宅捜索をしました。

「体調が悪く、議会にも出席できないと届けを出し、弁護士から検察にも連絡している。にもかかわらず、東京地検特捜部の検事は10回ほどストーカーのように、携帯電話を鳴らし続けました。そんなことも重なり、体調を崩してしまった」

――これまでに何度、取調べを受けていますか?

「案里さんや克行さんの秘書が逮捕された最初の公職選挙法違反事件で5、6回。今回、案里氏や克行氏が現金を県議らに現金を配った公職選事件では3、4回は聞かれました。最初から私が案里氏、克行氏から現金をもらっている犯人だと決めつけるようなひどい取り調べでした」

 ――具体的な取り調べ内容を教えてください。

「4月初めに2回続けて、東京地検特捜部の検事から取り調べがありました。その検事は私が案里氏や克行氏から現金をもらった証拠がさもあるような発言を何度もしました。しかし、その証拠は示されません。東京地検特捜部が捜査することについて『ステージが上がった』『広島地検でできるような話じゃない』と最初に言いました」

――河井夫妻から現金をもらったことはありますか?

「克行氏は衆院広島3区の選出で私の選挙区である安佐北区が地盤のひとつ。毎年、10万円を2回、政治資金として頂き、収支報告書に記載しております。それが何年以上、続いている。そんな話をすると『なんで(捜査が)東京地検かっていうと、10万円2回の他にもお金をもらっているとみている』『証拠があるかというと、率直に申し上げると実はある。それなら今のうちに言って(自供)ほしいのです』『東京地検がわざわざ来て、怪しい人に電話かけて聞いているのではない。証拠がある人をピンポイントで呼んでいる』とまで言われました。しかし、私はまったく違法なお金をもらったことはありません。『もらってないものは、もらってない』と反論すると、検事と水掛け論になりました。すると、検事はさらに踏み込み、『最終的な証拠、決定的な証拠はお見せできません。渡辺さんには裁判を受けてもらわねばならない』『お金を(河井夫妻から)もらったとお認めになられた方がいい』『裁判になってからじゃ遅い。後出しじゃんけんって司法の世界では最もやっちゃいけないこと。認めるのか、よくよく考えた方がいい』と言い、最後に『認めないなら、河井さんと一緒に沈んでもらうしかない』とまで言われました。私の声にまったく、聞く耳を持たずで取り調べは終わりました。4時間以上の事情聴取でした」

――検事は持っている証拠からストーリーにあわせた自白をさせようとしているのですか?

「そうです。自白して、検察ストーリーに合わせてくれたら、悪いようにしないと暗に検事は言っているように感じました。もらっていないので、自白のしようがありません」

――その後、取り調べはどうなりましたか?

「先ほどの取り調べから2日後、再度、呼びだされました。この日は短時間で終わらせると言っていました。最初から、河井夫妻から現金をもらった、もらっていないと言い合いになりました。検事にもらっていないと何度言っても、『証拠はある』と自白を強要してくる。堂々巡りが続いて検事は『結論はどうします? もう時間ないので、はっきり言って。お認めになる?』とさらなる自白を求めてきました。私が『もらっていないというのが事実です』というと検事は『自らステージをあげるってことですね』と言い放ち、ドンと机を叩きました。次に『渡辺さんが事件の主役になるってことですね』と再度、机を叩きました。背筋がゾッとしました。まさに、冤罪はこうやって作られるんだと思った。村木厚子さんもこんな怖い経験をされたかなと、取調室で頭をよぎった」

――渡辺県議のご自宅にも家宅捜索が入りましたね?

「4月9日だったと思います。自宅と事務所に検察はきました。案里氏、克之氏の秘書が逮捕された事件でも捜索されたので、押収していったのは、ICレコーダーと手紙だけでした」

――押収されたICレコーダーや手紙に河井夫妻との重要なやり取りが記録されているという情報があります。

「検察がそんな情報を流しているなら、本当にひどい。まったくそんな会話など録音されていない。手紙はある大手マスコミの取材があまりにひどく、弁護士を通じてクレームを入れたら、謝罪の手紙を送ってきた。ただ手紙の内容がひどくて、放置していた。それを検察が見つけて押収したのです。なぜそんな手紙をもっていったのか不思議です」

――代理人の弁護士を通じて、4月30日、最高検に監察指導部に公平な取り調べを求める「要請書」を送付されました。

「私の主張は違法なお金は一切、もらっていない。それしか言いようがない。検事はもらったに違いない、自白しろ、しないなら逮捕すらにおわせて、脅すような取り調べをしています。さすがに我慢ならないと弁護士さんを通じて、送ってもらった」

――昨夏の参院選では多くの自民党県議は元参院議員の溝手顕正氏を支援。渡辺県議のように表立って案里氏を応援した人は少なかった。本当に現金授受はなかったのですか?

「全くありません。案里氏を支援したのは、県議会でも同じ会派で活動し、親しかったからです。ただ、河井夫妻と実際に選挙を戦い、『戸別訪問をやれ。2軒続けてやるな、1軒ごとにやれば、法律に触れない』などと指示され、嫌になった。法より自分たちの意思を優先させる、有名な河井ルールが存在することを痛感しました。今回の現金を配った疑惑も河井ルールからすれば大丈夫だと、思ったのでしょうかね」

――今、河井夫妻や検察に言いたいことは?

「広島の県議や市議、首長らが私と同様に検察からきつく調べを受けている。報道や私の取り調べからも、河井夫妻が現金を配っていたのは事実だと思う。河井夫妻が出てきて、説明すれば、県議会、市議会も混乱することも県民に迷惑をかけることもない。河井夫妻は国会議員という責任ある立場なので、逃げずに、早く公の場で、自らの言葉で語ってほしい。検察には勝手に思い込みでストーリーをでっちあげず、証拠と供述に基づいて捜査してほしい。河井夫妻に疑惑があるのは事実です。しっかりと真相究明をやっていただきたい。それは検察しかできないのですから」

(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事

 

 

最終更新:5/4(月) 11:12
AERA dot.


PCR検査、大阪で最長10日待ち 医師「保健所受け付けず」 民間委託で拡充急ぐ

2020年05月04日 12時01分23秒 | 事件・事故

 新型コロナウイルスの感染者数が1600人に達した大阪府で、保健所がPCR検査が必要と判断してから実際に検査するまで、最長で10日程度かかっていたことが3日、大阪市保健所への取材で分かった。

【グラフ】新型コロナウイルス 都道府県別感染者数・死者数

 患者の急増に検査態勢が追い付いておらず、検査を待つ間に容体が悪化して入院したケースもあった。府は民間検査機関の活用も進めるなど検査能力の拡充を急いでいる。

 府内では、大阪健康安全基盤研究所(大阪市)や医療機関などで1日当たり計約420件の検査能力がある。府は検体採取場所を増やし、民間検査機関にも委託することで、約890件に拡充する見込みだ。

 しかし、感染者の4割が集中する大阪市では4月中旬、相談から検査までに最長10日間かかっていた。重症者やクラスター(感染者集団)の検査を優先したが、待機中に容体が急変して入院した人もいたという。大型連休中で検査が減少した1日時点でも、5日程度の待ち時間が生じていた。

 新型コロナが疑われる患者が訪れる地域の開業医も対応に苦慮する。府内のあるクリニックには発熱した人がほぼ毎日来院するが、他の患者とは別の時間帯に、防護服を着込んで診察している。男性院長は「保健所は必要な検査をほとんど受け付けていない」と語気を強める。

 院長によると、患者に肺炎の所見があるにもかかわらず、保健所に検査を断られたケースがあった。発熱した別の介護職員は検査を受けられず、仕事に復帰できないまま2週間の自宅待機を余儀なくされているという。

 院長は「検査を受けられずに39度の熱が続くのがどれだけつらいか。医療崩壊を防ぐため、患者に過度な負担を強いている現状が気の毒でならない」と話した。 

 

最終更新:5/4(月) 10:45


多摩川で50人がBBQ 主催の男性、警察などに「『自粛ってどういう意味ですか』って言ったんですよ」…「とくダネ!」でインタビュー放送

2020年05月04日 11時56分51秒 | 社会・文化・政治・経済

 4日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国に緊急事態宣言が発令される中、大型連休中に神奈川県の多摩川河川敷で約50人がバーベキューを楽しむ様子について報じた。

【写真】小倉智昭氏、沖縄でゴルフの石田純一に「他県には移動しない方が…」

 インタビューに応じた主催者の男性は、開催した理由について「ガス抜きですね。報道でコロナで亡くなってる人はよく報道されるけど、『コロナうつ』っていうか、リストラ、倒産、破産で僕の友達は1か月で12名亡くなってるんです」と説明。

 集まった人については「もともと社会人サークルなので、こっちが強制的に『来てくれ』じゃなくて、タイムラインに書いたら勝手に集まったっていう。(初対面の人も)半分くらい」とした。

 感染に対する心配については「僕的には今、通勤もしてますけど、正直マスクもしてないんですよ。なんていうのかな、実感がないと言えば正直、実感ないのかもしれないですよね。電車で毎日満員電車の中で通勤してて、コロナになってないわけですよ。要は自分がなってない、マスクしてない状況で。マスクうっとおしいんで。なるんだったら、俺がなった方がいいかなぐらいですよね、正直」と語った。

 開催するにあたり感染予防のため検温と消毒を実施したといい、バーベキューを行っていいか警察などにも確認したという。「自粛じゃないですか。警察にも言ったし、国土交通省にも言ったけど、これが自粛じゃなくて、ぱくられるとかいう話であれば、出来ないですよ。『自粛ってどういう意味ですか』って言ったんですよ。それで納得させたんですよ。何かあれば保健所が入るでしょうし、その時に逃げるつもりも隠れるつもりもないし。リスクはあると思ってますよ、正直」と話した。

報知新聞社

 

最終更新:5/4(月) 11:39
スポーツ報知


山梨で1人感染 感染知りつつ東京に帰った女性の友人

2020年05月04日 11時49分20秒 | 社会・文化・政治・経済

 山梨県は3日、県内に住む20代男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者は計56人となった。

 県によると男性は、2日に感染を知らされた後、帰省先の山梨県内から自宅のある東京都内に高速バスで帰っていた20代の会社員女性の友人。濃厚接触者としてPCR検査を受け、陽性が判明した。

 

 

最終更新:5/3(日) 20:35
朝日新聞デジタル


20歳代女性、「陽性」知った後に高速バスで都内に帰宅…「結果出る前」とウソ

2020年05月04日 11時13分40秒 | 事件・事故

5/3(日) 19:25配信 読売新聞オンライン

山梨県は3日、帰省していた県内で新型コロナウイルスPCR検査を受けた20歳代の女性会社員が、感染したと知った後で高速バスに乗り、東京都内の自宅に帰っていたと発表した。2日の発表では、女性の説明に基づき、検査結果が出る前に帰宅したとしていたが、女性の知人の指摘で虚偽説明と判明し、内容を訂正した。


 女性は4月29日に県内の実家に帰省。味覚や嗅覚に異常があったことなどから今月1日に検査を受け、2日に感染が判明した。

 県は1日の検査後、女性に実家で待機するよう求めていたが、2日午前9時過ぎに感染を電話で伝えると、女性は「1日夜の高速バスで自宅に戻った」と説明。しかし実際には、県から電話を受けた直後の2日午前10時台に、富士急ハイランドのバス停を出て新宿に向かうバスに乗ったという。

 一方、県は3日、この女性の濃厚接触者だった県内の20歳代男性が検査で陽性と判明したと明らかにした。

 

最終更新:5/4(月) 11:30
読売新聞オンライン


「歌や応援は、十分な距離かオンライン」「名刺交換はオンライン」専門家会議が“新たな生活様式”の実践案を提言

2020年05月04日 11時13分40秒 | 社会・文化・政治・経済

 新型コロナウイルスの対策を検討する政府の専門家会議が4日午前開かれ、長丁場の対応を前提とした「新たな生活様式」の具体例の案を次のように提言した。(ANNニュース)

【映像】陽性判明後にバスで帰京の女性、虚偽説明も

■「新しい生活様式」の実践例

(1)一人ひとりの基本的感染対策
■日々の暮らしの感染対策
・外出は、マスクを着用する。遊びにいくなら屋内より屋外を選ぶ。
・人との間隔は、できるだけ2m (最低1m)空ける。
・会話をする際は、可能な限り対面を避ける。
・家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。
・手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒業の使用も可)。

※高齢者や特病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には、体調管理をより厳重にする。

■移動に関する感染対策
・感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
・帰省や旅行はひかえめに。出張はやむを得ない場合に。
・発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモしたり、スマホの移動履歴をオンにする。
・地域の感染状況に注意する。

(2)日常生活を営む上での基本的生活様式
・まめに手洗い・手指消毒
・咳エチケットの徹底
・こまめに換気
・身体的距離の確保
・「3密」の回避(密集、密接、密閉)
・毎朝家族で体温測定、健康チェック。発熱又は風邪の症状がある場合はムリせず自宅で療養
・屋内や会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用

(3)日常生活の各場面別の生活様式
■買い物
・通販も利用
・1人または少人数ですいた時間に
・電子決済の利用
・計画をたてて素早く済ます
・サンプルなど展示品への接触は控えめに
・レジに並ぶときは、前後にスペース

■娯楽、スポーツ等
・公園はすいた時問、場所を選ぶ
・筋トレやヨガは自宅で動画を活用
・ジョギングは少人数で
・すれ違うときは距離をとるマナー
・予約制を利用してゆったりと
・狭い部屋での長居は無用
・歌や応援は、十分な距離かオンライン

■公共交通機関の利用
・会話は控えめに
・混んでいる時間帯は避けて
・徒歩や自転車利用も併用する

■食事
・持ち帰りや出前、デリバリーも
・屋外空間で気持ちよく
・大皿は避けて、料理は個々に
・対面ではなく横並びで座ろう
・料理に集中、おしゃべりは控えめに
・お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

■冠婚葬祭などの親族行事
・多人数での会食は避けて
・発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

(4)働き方の新しいスタイル
テレワークやローテーション勤務
・時差通動でゆったりと
・オフィスはひろびろと
・会議はオンライン
・名刺交換はオンライン
・対面での打合せは換気とマスク

※業種ごとの感染拡大予防ガイドラインは、関係団体が別途作成予定

 

最終更新:5/4(月) 11:24
AbemaTIMES


140年前「コレラ」との闘い 通達文書発見、新型コロナと共通点多く 恐怖に震えた日本人/兵庫・丹波市

2020年05月04日 11時10分27秒 | 社会・文化・政治・経済

 新型コロナウイルスが猛威を振るっているが、過去に人々を恐怖の底に落とした感染症はいくつもある。その一つが江戸期から幾度となく流行した「コレラ」だ。兵庫県丹波市の歴史を調査する「氷上郷土史研究会」の古文書部会(山内順子代表)が、同市内の円通寺で進めるふすまや屏風の下張り文書はがし作業で、1877年(明治10)に流行していたコレラに関する県や内務省の通達文書を見つけた。住民への啓発文書で、感染しても無症状の場合があるといった、新型コロナのニュースと錯覚するような文言が並んでおり、約140年前の日本人も現在と同じような恐怖に震えていたことがうかがえる。

治療法探る医療従事者の奮闘、患者数の公表も

 一枚の屏風からはがした115枚のうち、23枚がコレラ流行に関する文書だった。いずれもB4サイズの原稿用紙に活版印刷で印字されている。昨年5月に発見した。

 文書の中で最も古い日付は明治10年9月23日で、内務省衛生局が発行した「報告第六号」。明治政府により、“お雇い外国人”として東京医学校(現東京大学医学部)の教師に招かれたドイツ帝国の医師ベルツが調べた、予防や症状、治療法を紹介している。

 県が「県検疫委員報告」として発した文書も見つかった。同年9月29日付の「第二号」には、「公立神戸病院より、其病理、予防、徴候、治法を差し出せり」とあり、コレラの歴史や流行の原因などを記載。「注意すべきは、その毒を受くると雖も、コレラ病を発することなく、却て、他人にその毒を伝ふることあり」とし、感染していても無症状の場合があり、知らずのうちに伝染させているという、新型コロナウイルスと同じ傾向にあったことが分かる。

 いくつか予防法を挙げた上で「国境に入る他国人を、各一、検査し、コレラ病あるものは、これを適宜に所置すべきである」とし、「表見、健康の人たりとも、この毒を輸致することあるがゆえに、これを以て、十全の予防法とすること能はず」としている。コロナの無症状感染者発見の難しさをほうふつとさせる。

 文書の中で、県はコレラを「施用する特効薬あることなし」と表現。一方で、この未知なる病原菌に対する医療従事者の戦いも、文書の中から読み取れる。アヘンや炭酸水などを用いた治療法の記述が見られ、現在のコロナウイルスと同様、現場の最前線で特効薬などを開発しようとする医療従事者の姿と重なる。

 また、同年10月17日付の「報告第七号」には、9月22日―10月15日までの県内患者数を掲載。総数は490人で、うち一般患者が144人、避病院(伝染病専門病院)の患者は346人。一般患者の内訳は死亡89人、治癒7人、治療中48人。避病院患者は死亡229人、治癒21人、治療中96人。

「社会の弱点」あぶり出し乗り越えた先人たち

 これらの文書が同寺に残されていた理由を山内代表は、「文書の中に、『各区区長などは熟読し、その趣旨を理解し、予防に注意すべし』という内容が書かれている。昔はお寺が今の市役所的な役割を果たしており、お寺から地域住民にお達しが伝えられることがあった」と語る。「コレラの流行を契機に、公衆衛生の考えなどが広まり、インフラも整備されていった。社会の弱点をあぶり出し、それに屈することなく先人たちは乗り越えていった。その姿勢には学ぶべきものがある」と話している。

 

最終更新:5/4(月) 8:02
丹波新聞


私はこう考える 他者に寛容な社会に

2020年05月04日 05時56分19秒 | 社会・文化・政治・経済

劇作家 演出家 平田オリザさん

新型コロナウイルスの感染拡大で「見えない敵を前にして理性的な判断ができなくなっている」と話す劇作家で演出家の平田オリザさん。「命の次に大切なものは一人ひとり違う。いろんな人がいて、認め合うことが大事だ」と訴えます。(5月3日)

世界で信頼と尊厳が揺らぐ

新型コロナによって、今、世界中が、かつてない状況になっています。オリザさんはどう見ていますか?

平田オリザさん
見えない敵を前にして理性的な判断ができなくなっていると感じます。パニック状態になると、反知性主義みたいなものが非常に露骨に現れてきて疑心暗鬼がまん延します。

この状態が実はいちばん危険で、ある意味ウイルスより危険だと思います。アメリカで、銃が売れているのはその象徴です。「気に食わないから」と言って暴力で人から物を奪ったりしないという信頼関係で私たちの社会は成り立つものですが、これが危機に陥っているということがいちばん大きな問題じゃないかと思いますね。

専門家への敬意を

インターネット上では真偽不明の情報も飛び交っていますね。

平田オリザさん
ほぼデマ情報のようなものの拡散が今回ひどくなっていると感じています。原発事故の時は、背景に何かイデオロギーがあるのではないかと疑われ、専門家が信頼されないということがありましたが、今回は特に外出もできず、ストレスがたまり非常に攻撃的になっています。

専門家の知見に対する尊敬と信頼が失われてしまっているのです。表面上の経済の繁栄と、実際の生活実感がものすごくかい離してしまって自分だけが損をしているのではないか、誰かがズルをして得をしているのではないかという意識がまん延していたことも背景にあると思います。知識や経験への信頼が崩壊するということは、本当に危ないと思っています。

文化・芸術・教育にもっと目を向けて

オリザさんは、新型コロナにより、自粛を余儀なくされている文化・芸術活動について、強い危機感をもって、積極的な発信を続けています。

平田オリザさん
日本において、文化はいちばん弱い存在です。活動の自粛は健康を優先するために政治判断として、一時的にそういうことはしかたないと思います。

しかし、収束後には回復せねばならない。今もアーティスト自身が補償について訴えていますけれど、本来は文化・芸術を享受できなくなった全国民にそれを補償するべきなんです。

憲法25条には健康で文化的な最低限の生活を保障すると、書かれています。

さらに学校の休校が続くなか、子どもたちの教育を受ける権利についても、もっと議論されるべきだと訴えます。

平田オリザさん
社会全体の議論として、この問題への関心がまだ少し弱いと感じています。子どもたちの犠牲をどこまで強いていいのか。教育は家庭の経済格差が反映されやすいものです。学校が休校でも、家庭教師をつけられる人は圧倒的に有利ですし、全国で緊急事態宣言が出される前に、再開されていたところと、休校だったところでは、学習面で差がつきます。

教育を受ける権利が相当、抑制されてしまい、その損失は、経済以上と言ってもいいくらいです。これをどうやって回復するかということについて本来はすごく予算をつけなければならないと思います。

ぶつかり合う主張に信頼を持って議論を

感染を防ぎつつ、経済も守るという難しい議論が行われています。

平田オリザさん
日本人は、高い計画性を持って実行することに優れていて、リスクをゼロにしたいんです。『ゼロリスクがない』ということが受け入れられないと冷静ではなくなってしまう。日本の原発は絶対に事故が起きないという、まさに『安全神話』がありましたが、今も同じ状況です。

これだけのパンデミックが広がる中でも、まだ安全神話を求める人がいますが、そういったものはありません。

では全体のリスクをどう軽減するのか。新型コロナウイルスでの死者数も抑えないといけないけれど、精神的な自殺者も抑えないといけない。ここで求められるのは冷静な議論で、いちばん必要なのが相手との信頼関係なんです。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えたい医療関係者の気持ちもわかるし理論も正しい。そして経済学者や、社会学者の言うことも正しい。私たちアーティストの主張も正しい。

『じゃあどうしましょう』っていうことをちゃんと話し合えるかどうか。これが大事なのですが、皆さん苦手なのです。

他者に寛容な社会を

最後に、新型コロナに私たちはどう向き合うべきかと聞くと、オリザさんはこう口にしました。

平田オリザさん
みんな命は大事で、そのために行動します。でも命の次に大切なものは一人ひとり違っています。音楽がなければ生きられないとか、演劇で人生が救われたとか、スポーツが最大の楽しみとか、いろんな人がいて、認め合うことが大事です。

他者に寛容な社会になる、ということですね。他者が大切にしていることを尊重する社会であってほしいと思います。
(社会部記者 能州さやか)

【プロフィール】

平田オリザ

1962年(昭和37年)11月8日 東京生まれ。

1995年、演劇界で権威のある岸田國士戯曲賞を「東京ノート」で受賞。新国立劇場が制作した日韓合同公演『その河をこえて、五月』(2002年)では日韓両国で大きな演劇賞を受賞、その後、日仏合同公演『別れの唄』を制作したり、ベルギー王立劇場に、はじめて日本人が1人も登場しない戯曲『森の奥』を書き下ろすなど活躍。劇作家、演出家として、国内外で活動し、現代演劇界をリードし続けている。

 

 


京都で初の「再陽性」、感染者数は計331人に 府・京都市3日発表

2020年05月04日 05時52分17秒 | 医科・歯科・介護

5/3(日) 22:24配信 京都新聞

 京都府と京都市は3日、新たに3人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。うち井手町の40代女性は4月に感染してPCR検査で陰性になったが、退院後に再び症状が出て陽性が確認された。府内で感染者が陰性になった後、再び陽性に転じたのは初めて。

【グラフ】京都の感染者数の推移

 府によると、女性は4月1日に発熱の症状があり、同3日に感染が確認されて入院した。その後回復し、2回続けて陰性になったため同23日に退院した。しかし同28日になって息苦しさを感じるようになり、5月1日に帰国者・接触者外来を受診し、再び検査で陽性反応が出た。

 府は、女性が退院後自宅で過ごしていたことから「症状が再発した可能性が高い」とみている。ほかは大阪府の70代男性で感染経路は不明。

 京都市は市内の10代の無職男性。院内感染が発生している堀川病院(上京区)の50代女性看護師の長男。

 府内での感染者は計331人となった。

 

最終更新:5/3(日) 23:12
京都新聞


2回の検査で「陰性」も医師判断で感染判定 20代の男

2020年05月04日 05時49分12秒 | 医科・歯科・介護

5/3(日) 23:18配信 神戸新聞NEXT

 神戸市が4月24日に新型コロナウイルス感染を確定した同市内の20代男性について、PCRなど2回の検査では陰性判定だったが、医師の判断で感染者と認定していたことが3日、分かった。同市では初のケースだという。

【写真】消毒用アルコールがないときは 医科大の主任教授がアドバイス

 同市によると、同居人が陽性と判定され、この男性も37度台の発熱や鼻水の症状があったという。市は、ほかにも一緒に暮らす住人がいたため、早く隔離する必要があったとしている。

 

最終更新:5/3(日) 23:22
神戸新聞NEXT