行きつく先は破壊的な事態が生じるハードランディング! これから我々が標榜するのは、人と地球を救う経済学だ。
大型で猛烈な台風が次々と日本を襲う最大の理由は地球温暖化で海面温度が上昇しているから。
温暖化は待ったなしだ。 国連サミットのS D G s(持続可能な開発目標)のゴールは格差をなくし地球を守ることだが、世界はこの理念とは真逆の方向に進んでいる。 そこに新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけ、グローバル資本主義の限界が露呈した。
これから世界を救うのはガンディーの経済学だ。それは環境問題に加え、貧困や格差もなくす「隣人を助ける」原理である。
【本文より抜粋】 インド建国の父であるガンディーは、自由貿易や近代工業化に反対したことで知られている。
しかし、それは決して鎖国主義ではなかった。 ガンディーも、自国で生産できないものについては、輸入すべきだと言っているし、自国の産業が新しい生産技術を採り入れることに反対したわけでもない。
ガンディーは貧困や格差をなくすために、消費や投資を通じて、「近くの人を助ける」ことから取り組もうと言ったのだ。
近所の人が作った農産物を食べ、近所の人が作った服を着て、近所の人が建てた家に住む。そうすれば、その地域に雇用が生まれ、地域経済が回りだす。それは、利他主義を考えるときの明確な基準だ。
【目次より抜粋】
1章 壊れ続ける地球
2章 壊れ続ける庶民の暮らし
3章 原因は資本主義
4章 ハードランディングは避けられない
5章 人と地球を救うガンディーの経済学 6章 新しいライフスタイル 7章 MMTとベーシックインカム
【著者略歴】 森永卓郎(もりなが たくろう)経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。
1957年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。
日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。 執筆のほか、テレビやラジオ、講演などでも活躍。
著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)、『なぜ日本だけが成長できないのか』『消費税は下げられる!』(ともに角川新書)など多数。
「信託理論」
富裕者の財産は神から「信託」されたものであり、預かった富は社会や公共のために適切な形で戻すべきだ。
つまり、企業の社会的責任に通じるものだ。
企業は、地域社会や地球環境に責任を持ち、将来の世代に対する責任を深く考えなけばならない。
長期的に見れば、そうした理念を効果的に実施している企業の方が、そうでない企業よりも利益を上げている。
ガンジーは、非暴力のい精神で人々を結び、植民地支配に立ち向かった。
そして、身分や階層に関係なく、全ての人々が向上してゆく平等な社会を目指した。
Reviewed in Japan on August 7, 2020