けが防止、競技力向上へ指導/伊万里市の上田さん
佐賀新聞 2015年7月23日(木) 配信
スポーツ選手の口のけが防止や競技力向上に歯科医の立場から指導、助言する日本体育協会公認の「スポーツデンティスト」に、伊万里市の上田敏雄さん(64)が県内で初めて認定された。国のスポーツ基本計画では、競技中の選手の歯を守るマウスガードの着用促進が明記されるなど、スポーツ分野での歯科の重要性は高まっており、「スポーツ歯科」の専門家として、競技振興をサポートする。
同協会と日本歯科医師会はさまざまなスポーツの現場に対応できる「デンティスト」養成のため、2年前から共同で講習会を開催。600人以上の申込者から選ばれた上田さんら67人の歯科医が必要なカリキュラムを学び、今年4月、第1期生として認定を受けた。
上田さんは約20年前から「日本スポーツ歯科医学会」に所属し、マウスガード製作の認定医でもある。歯科校医を務める伊万里商高では、部活動で歯を折った選手たちを診療してきた。
その経験から「10代の成長期に自分の歯を失ってしまうのは、将来の生活にも深刻な影響を与える。それが残念だし、マウスガードの普及が進んでいないことにもどかしさを感じていた。デンティスト認定は選手たちの歯への関心を高めるチャンス」と感じている。
上田さんのアドバイスで、同校女子ホッケー部は選手16人全員がマウスガードを着用するようになった。小学時代からプレーしてきた原口萌伽さん(1年)は「最初のころ、ボールが顔に当たって怖い思いをした。幸い歯には影響がなかったが、マウスガードがあれば、あまり怖さを感じず試合に打ち込める」と話す。
上田さんはさらに、選手たちにプレーで最大限の力を発揮してもらうため、強く歯をかみしめることが、握力や背筋力など体の収縮する筋力を増大させ、上下の歯が重なる面積が大きいほど体の重心が安定して軸がぶれないことなど、歯と競技力向上の関連性も併せて指導していくという。
上田さんは「スポーツ歯科に対する理解はまだ低く、家庭でも部活でも歯の健康管理への意識を高めてほしい。それが将来的には健康寿命を延ばすことにつながる」と話す。
歯科治療の待ち日数、平均9か月
刑務所に勧告
読売新聞 2015年7月23日(木) 配信 読売新聞
長野県弁護士会は21日、長野刑務所(長野県須坂市)で、歯痛を訴えた男性受刑者が、約5か月間治療を受けられなかったのは人権侵害に当たるとし、医師を確保するなどの処遇改善を行うよう、同刑務所に勧告したと発表した。 勧告は6日付。
勧告書によると、男性受刑者は2014年4月から歯の痛みを再三訴えたものの、対応は鎮痛剤の交付のみで医師の治療を受けられたのは同年9月だった。同刑務所は弁護士会の照会に対し、歯科治療の希望者は増加傾向で、待ち日数が平均268日と回答した。
弁護士会の一由貴史弁護士は記者会見で、「予算の制約を考慮しても、受刑者の医療を受ける権利を侵害したものと言わざるをえない」と述べた。同刑務所は読売新聞の取材に、「刑務所としても昨年から診察日を増やすなどの対応をとった。引き続き適切な措置に努める」としている。
タブレットで健康管理
シャープ、三重で実験
共同通信社 2015年7月23日(木) 配信
シャープは22日、タブレット端末を活用した高齢者向けの健康管理事業の実証実験を9月から三重県亀山市で始めると発表した。タブレットを通じて日々の健康状態を記録。電話相談や見守りサービスも提供する。2016年度から事業化し、全国に広げたい考えだ。
実験では、参加者にタブレット端末を貸し出し、体重や血圧、食事内容などを記入してもらう。情報はシャープがインターネット上で管理し、電話で看護師らが個人のデータを見ながら個別に対応できるようにした。
端末には、地域のスーパーやタクシー会社などにつながるメニューも用意、買い物や配車ができるサービスも付けた。地域のシルバー人材センターが専任スタッフを新たに採用、自宅を訪問する見守りの体制も整えた。
実験は、亀山市在住の75歳以上が主な対象で、200人の参加者を募る。16年1月までで利用料は月々3218円。亀山市にはシャープの工場がある。
医療機関の消費税問題
「消費税“見える化”、難しい」、日病の堺会長
病院に特徴的な項目を調査へ
m3.com 2015年7月22日(水) 配信 池田宏之(m3.com編集部)
四病院団体協議会は7月22日、総合部会を開き、医療機関における控除対象外消費税の問題について話し合い、独自に調査を実施することを決めた。日本医師会が開いている「医療機関等の消費税問題に関する検討会」などにおいて、病院の消費税負担を考える材料となる見込みで、病院に特徴的なMRI検査や看護職員夜間配置加算などを調べる方針。終了後の会見した日本病院会の堺常雄会長は、「“見える化”ができるのかどうか、疑問もある」「(影響の)色づけは難しい」と述べる場面もあった。
四病協は、1団体につき約20病院、13項目程度を調べたい考えで、今後詳細を決める。調査項目としては、MRI検査、看護職員夜間配置加算、医師事務作業補助体制加算、脳血管疾患等リハビリテーション料、酸素ボンベ加算などが含まれ、人件費や材料費への影響を調べる。日医は、診療所への影響を中心に調べるため、四病協では、病院特有の項目を含める(『13項目で消費税影響調査へ、日医検討会』を参照)。
現時点で、日医の検討会では、消費税の影響が特徴的に現れる項目を調べていく方針だが、マクロレベルの影響を調べるための方法についてのコンセンサスはない状況。調査がマクロの影響を判断する材料になるかについて、堺会長は「微妙な観点」との認識を示した上で、「“見える化”が可能なのかという問題がある。(消費税の導入や税率変更、その後の改定で)色づけが難しいのでは、という思いがある」と述べた。ただ、“見える化”に向けた作業については、「道筋を踏まないといけない」として、避けて通れない作業と見通した。
日本病院会の堺常雄会長は、消費税負担の”見える化”に向けて、MRI検査にかかる費用などを調べる意向を示した。
AMEDが難病研究の国際コンソーシアムに加盟
小児の未診断疾患の診療体制構築も始動
m3.com 2015年7月23日(木) 配信 高橋直純(m3.com編集部)
日本医療研究開発機構(AMED)は7月22日の理事会で、希少難病に関する研究投資機関の国際コンソーシアム「IRDiRC (International Rare Diseases Research Consortium)」に加盟することを決めた。同日に開催された「原因不明遺伝子関連疾患の全国横断的症例収集・バンキングと網羅的解析(IRUD)研究班」のキックオフミーティングの冒頭で、AMED理事長の末松誠氏が明らかにした。IRDiRCへの加盟で、難病に関するゲノム情報解析結果を加盟機関で提供し合えるようになるなど、国際的な研究体制を推進できる。
研究班の活動については、研究班代表を務める国立成育医療研究センター研究所所長の松原洋一氏らが会見、「今回は革新的な取り組み。治療薬を開発していきたい」と話した。
あいさつをする末松氏
難病研究はAMEDの重点分野の一つ(『志ある臨床医の協力、研究開発のカギ - 末松誠・AMED理事長に聞く◆Vol.1』を参照)。IRDiRCに加盟することで、患者(症例)数が非常に少ない難病に関するデータを国際的に共有できるようになる。末松理事長は、患者からゲノム情報を提供してもらう際に行ったインフォーム・コンセントの内容を、研究データに電子的にタグ付けする取り組みが進んでいるとして、「まだでき上がっていないので、日本も最初から参加していく。マシンリーダブルコンセント(機械可読な同意)という仕組みを考えていく責任が、AMEDにもある」と意義を語った。
未診断疾患イニシアチブ(Initiative of Rare and Undiagnosed Diseases)は難病に対する政策の総称で、「原因不明遺伝子関連疾患の全国横断的症例収集・バンキングと網羅的解析」はその具体例という関係。研究班は 今年7月にスタートし、2018年3月までを活動期間としている。全国に10程度の拠点病院を指定し、患者を日常的に診察するかかりつけ医と高度専門医療を行っている医師が連携し、最先端の遺伝子解析などを用いて診断する。小児の難病を対象とする研究班が先行するが、今年度中に成人向けの研究班もスタートする予定。
拠点病院は幅広い診療科の医師が参加するIRUD診断委員会を設置し、診断困難な患者について検討する。成育医療センター、慶應義塾大学、東北大学、横浜市立大学、金沢大学はIRUD解析センターとして、依頼された検体についてエクソーム解析などの遺伝子検査を行う。診断結果はかかりつけ医と連携して、フォローアップする。
22日はキックオフミーティングの直前に松原氏らが会見。「小児希少疾患の多くは遺伝性。日本は世界で研究高いレベルを誇っている。しかし、それが実際に患者に届いていないというもどかしさもあった。さまざまな遺伝子を見つけて治療薬を開発していきたい」と意気込みを語った。