先日、アイスランドの日本大使館からメイルが届きました。内容は「カトラ火山の噴火が予想されるとアイスランド当局が注意を喚起しています。カトラ火山方面を旅行さる方は、十分に情報に留意し気をつけてください」とうようなものでした。
大使館はわりとマメにこのような「注意メイル」を送ってくれます。大抵の場合は「ヨーロッパでのテロが懸念されています。お出かけの予定のある方は気をつけてください」とか「アメリカへのテロが懸念されています。不用意に米大使館などに近付かないように」というようなものです。
テロも実際にあり得ることですが、それだけでは漠としていますし、注意も普段している以上のことはしようがないような気もします。対して火山の噴火はより現実的というか、実際にそこにあるものを専門家が観察しつつ「要注意」と言っているのですから、これはそれなりに受け止めなくてはなりません。
そこで大使館からの情報のお裾分けです。三ヶ月以内の滞在予定で観光に来られる方などありましたら、緊急情報の連絡用に外務省が用意した「旅レジ」という登録サイトがありますので、ぜひ登録しておいてください。渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができます、とのことです。
旅レジ
ご承知のようにアイスランドは日本と同じく火山国です。特にここ数年来は年中どこかの火山が噴火しているような気がしてきました。
今回注意報で挙げられているカトラ火山ですが、アイスランドの地図を見た場合、一番下の南の海岸線近くにあるミルダール氷河という氷河地帯の中にあります。ここで地震を含む活発な地下活動が観測されているのです。
2014年の秋から長きにわたって溶岩を噴出していたバウザールブンガ火山群(正確に「火山群」なのかどうか知りませんが、噴火口があちこちにありましたので、そう呼んでおきます)は、このミルダールヨクル氷河の右横にある、アイスランド最大の氷河ヴァトナヨクル氷河の北西の部分にあります。この火山群でも現在また地震が観測されています。
1918年カトラの大噴火
Myndin er ur Landogsaga.is
さてカトラですが、先にも言いましたようにミルダールヨクル氷河の下にある火山です。(ちょっと細かい話しですが、「ヨクル」というのは氷河のことですので、「ミルダール氷河」とした方が正確です。ですが、山や川などの名称にはそれだけで固有名詞のようになっているものもありますので、なかなかすっきりと呼称を確定できません)
カトラは海抜1400メートルで、火口の直径は30キロもあります。火口内に100平方キロで深さが700メートルもあるカルデラがあります。火口内の、何と言うのでしょうか、火口内火口?は16確認されていますが、おそらく20以上はあるだろうと推測されています。
これまでカトラは40−80年の周期で噴火を繰り返してきています。一番最近の噴火は1918年でしたので、すでに99年前。このことからここ数年、カトラの大噴火が何かにつけて噂になっていました。
カトラの噴火は国民生活に非常に大きな影響を与えると言われています。カトラのあるミルダールヨクル氷河の下方を、国内を一周する国道のリングが通っています。もしカトラが噴火すると、その熱で溶け出した氷河の雪や氷が濁流となって氷河の「下」で流れます。
そしてその濁流は氷河の下方のどこかの地点で地表に噴き出すわけです。この濁流の行き先を予測するのが難しいらしく、「水は上から下へ流れる」ことから下方のどこかで噴出する、以上のことは実際に水が出てくるまでわからないのだそうです。
ですから、国道が寸断されることになる可能性は高いですし、そうなると今が稼ぎ時の観光業にも大きな打撃となるでしょう。まあ、一時のように逆に「溶岩見学ツアー」なんていうのも復活するでしょうが。
ところで、この「カトラ」Katlaというのは女性の名前です。アメリカではハリケーンがよく女性の名前で命名されますよね、カトリーンとかサンディとか。なぜそうなったかというと、なんでも「固有名の方が関係者内で間違いなく迅速にコミュニケーションできるから」とか「軍関係の気象学者たちが自分の奥さんやガールフレンドの名前をつけた」とか色々と説はあるようです。
ちなみに1979年以降は男女平等の精神で、男性名も付けているんだそうです。でも、思いつくものは何もないんですよねェ。
アイスランドの火山の中には他にも(すべてではありません)女性名を持ったものがあります。一番有名なのはカトラの西隣りにあるヘクラHeklaです。
普段は女王の気品 ヘクラ
Myndin er ur Skarpi.is/Skarphedinn Thrainsson
ヘクラは海抜1491メートル、「アイスランド火山の女王」と呼ばれています。前回の噴火は十七年前の2000年の2月のことでした。噴火のようやく15分前になって、噴火するとわかったという、ウソのようなホントの話しが残っています。
ヘクラも定期的に噴火を繰り返し、最近では1970年−80年−91年−2000年というサイクルになっています。大体十年サイクルですから、今回の「休養」は十七年と長いですね。そろそろかも...
カトラさんもヘクラさんも、わりと周りに普通にいます。私が知っているカトラさんは、以前マルチカルチュアル関係の仕事で協力していた方です。黒髪の美人で胸も豊かな方でしたが、そういえば怒れば怖かったなあ。私が怒らせたわけではなかったので幸い。
そういう、女性に関する国民の共通的体験から火山が女性となったのでしょうか?こういうことをうかつに口にするとフェミニストから吊るし上げをくいますからね。それもコワイ。「〜だ」という断定ではなく、「〜でしょうか?」という軽い疑問ですのでご容赦を。
カトラとヘクラ。噴火しないで欲しいものです。酪農業、交通、観光、飛行機、警察、レスキュー隊...誰もトクしない「ダレトク」の見本ですから。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
大使館はわりとマメにこのような「注意メイル」を送ってくれます。大抵の場合は「ヨーロッパでのテロが懸念されています。お出かけの予定のある方は気をつけてください」とか「アメリカへのテロが懸念されています。不用意に米大使館などに近付かないように」というようなものです。
テロも実際にあり得ることですが、それだけでは漠としていますし、注意も普段している以上のことはしようがないような気もします。対して火山の噴火はより現実的というか、実際にそこにあるものを専門家が観察しつつ「要注意」と言っているのですから、これはそれなりに受け止めなくてはなりません。
そこで大使館からの情報のお裾分けです。三ヶ月以内の滞在予定で観光に来られる方などありましたら、緊急情報の連絡用に外務省が用意した「旅レジ」という登録サイトがありますので、ぜひ登録しておいてください。渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができます、とのことです。
旅レジ
ご承知のようにアイスランドは日本と同じく火山国です。特にここ数年来は年中どこかの火山が噴火しているような気がしてきました。
今回注意報で挙げられているカトラ火山ですが、アイスランドの地図を見た場合、一番下の南の海岸線近くにあるミルダール氷河という氷河地帯の中にあります。ここで地震を含む活発な地下活動が観測されているのです。
2014年の秋から長きにわたって溶岩を噴出していたバウザールブンガ火山群(正確に「火山群」なのかどうか知りませんが、噴火口があちこちにありましたので、そう呼んでおきます)は、このミルダールヨクル氷河の右横にある、アイスランド最大の氷河ヴァトナヨクル氷河の北西の部分にあります。この火山群でも現在また地震が観測されています。
1918年カトラの大噴火
Myndin er ur Landogsaga.is
さてカトラですが、先にも言いましたようにミルダールヨクル氷河の下にある火山です。(ちょっと細かい話しですが、「ヨクル」というのは氷河のことですので、「ミルダール氷河」とした方が正確です。ですが、山や川などの名称にはそれだけで固有名詞のようになっているものもありますので、なかなかすっきりと呼称を確定できません)
カトラは海抜1400メートルで、火口の直径は30キロもあります。火口内に100平方キロで深さが700メートルもあるカルデラがあります。火口内の、何と言うのでしょうか、火口内火口?は16確認されていますが、おそらく20以上はあるだろうと推測されています。
これまでカトラは40−80年の周期で噴火を繰り返してきています。一番最近の噴火は1918年でしたので、すでに99年前。このことからここ数年、カトラの大噴火が何かにつけて噂になっていました。
カトラの噴火は国民生活に非常に大きな影響を与えると言われています。カトラのあるミルダールヨクル氷河の下方を、国内を一周する国道のリングが通っています。もしカトラが噴火すると、その熱で溶け出した氷河の雪や氷が濁流となって氷河の「下」で流れます。
そしてその濁流は氷河の下方のどこかの地点で地表に噴き出すわけです。この濁流の行き先を予測するのが難しいらしく、「水は上から下へ流れる」ことから下方のどこかで噴出する、以上のことは実際に水が出てくるまでわからないのだそうです。
ですから、国道が寸断されることになる可能性は高いですし、そうなると今が稼ぎ時の観光業にも大きな打撃となるでしょう。まあ、一時のように逆に「溶岩見学ツアー」なんていうのも復活するでしょうが。
ところで、この「カトラ」Katlaというのは女性の名前です。アメリカではハリケーンがよく女性の名前で命名されますよね、カトリーンとかサンディとか。なぜそうなったかというと、なんでも「固有名の方が関係者内で間違いなく迅速にコミュニケーションできるから」とか「軍関係の気象学者たちが自分の奥さんやガールフレンドの名前をつけた」とか色々と説はあるようです。
ちなみに1979年以降は男女平等の精神で、男性名も付けているんだそうです。でも、思いつくものは何もないんですよねェ。
アイスランドの火山の中には他にも(すべてではありません)女性名を持ったものがあります。一番有名なのはカトラの西隣りにあるヘクラHeklaです。
普段は女王の気品 ヘクラ
Myndin er ur Skarpi.is/Skarphedinn Thrainsson
ヘクラは海抜1491メートル、「アイスランド火山の女王」と呼ばれています。前回の噴火は十七年前の2000年の2月のことでした。噴火のようやく15分前になって、噴火するとわかったという、ウソのようなホントの話しが残っています。
ヘクラも定期的に噴火を繰り返し、最近では1970年−80年−91年−2000年というサイクルになっています。大体十年サイクルですから、今回の「休養」は十七年と長いですね。そろそろかも...
カトラさんもヘクラさんも、わりと周りに普通にいます。私が知っているカトラさんは、以前マルチカルチュアル関係の仕事で協力していた方です。黒髪の美人で胸も豊かな方でしたが、そういえば怒れば怖かったなあ。私が怒らせたわけではなかったので幸い。
そういう、女性に関する国民の共通的体験から火山が女性となったのでしょうか?こういうことをうかつに口にするとフェミニストから吊るし上げをくいますからね。それもコワイ。「〜だ」という断定ではなく、「〜でしょうか?」という軽い疑問ですのでご容赦を。
カトラとヘクラ。噴火しないで欲しいものです。酪農業、交通、観光、飛行機、警察、レスキュー隊...誰もトクしない「ダレトク」の見本ですから。
応援します、若い力。Meet Iceland
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