レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

往く牧師 来る牧師

2018-01-14 05:00:00 | 日記
正月明けの後の十日間ほどは、比較的暖かい日々が続き、時には気温が5、6度くらいにまで上がることがあったようです。その代わり、雪溶け水があちらこちらに「池」を作ったりして、運転をしていると結構気を使います。うかつに水たまりに突っ込んで、歩行者に「水」を引っ掛けてはいけませんから。

ところで、先日このマイナーブログの、開始以来の延ページビューの回数が五十万回を数えました。まあ、そのうちの十万回くらいは私自身ではないかと思うのですが(更新や誤字脱字の訂正などで何度も見直すことがありますので)。(^-^;

それはそれとして、目を通してくださる皆様には、心より感謝申し上げます。

さて、年明け早々から、私の仕事環境では色々な変化が起こっています。それは人事移動によるもの、というか、牧師さんの交代によるものです。牧師が変わることそのものに関しては、不意の出来事ではなく、以前より了解されていたことなのですが、新しく誰が着任するのかは、決定されるまでわからなかったのです。

私が定期的に集会を持ったりして関係している教会は現在四つあります。まず、オフィスがあるヒャットラ教会。その隣りにあり、バスセンターに近いロケーションのブレイズホルトゥス教会。レイキャビク市の大きなプールの近くのロイガネス教会。国際空港の町ケフラビクにあるケフラビク教会の四つです。

あと、これらに加えて邦人の方がよく挙式されるハットゥルグリムス教会を加えることもできますが、これはあくまでも「訪問して使わさせてもらう」というだけの関わりです。

今回、牧師さんの交代があったのは、ヒャットラ教会とブレイズホルトゥス教会のふたつです。このふたつの教会は、私が特に日常的に働いているところなので、牧師さんの交代はやはり影響するところ少なくありません。




私のオフィスのあるヒャットラ教会


話しが混乱しないように、ちょっと説明します。アイスランドの国民教会は、正式にはアイスランド福音ルーテル教会といいます。で、町や村のあちこちにある教会は、全部ではありませんが、大多数はこの国民教会のものです。

「セブン=イレブン」を思い浮かべていただければ、同じ仕組みです。あちこちにお店はあれど、一応全部「セブン=イレブン」なわけです。

もっとも、それぞれの教会にはそれなりの独立性が与えられており –これもセブン=イレブンと同じだと思うのですが- その教会の牧師の選定などは、その教会自身が行います。上の方から誰かが任命されてくるわけではありません。

ですから、先に「人事移動」と言いましたが、ちょっとその言葉は当たらないかもしれません。教会の本部が「次はこの人をあちらへやって、ここへはこの人を」という仕方で人の移動が決定されるわけではないからです。

レイキャビク周辺の教会では、だいたいひとつの教会にふたりの牧師さんがいます。彼らはまずもって、その「教会と教区(教会に割り当てられた区域)」のために働いています。

ですが、私はそのような「教区」牧師ではなく。アイスランドの移民全般のために働く「特別職」にあります。そのような「特別職」には、他に刑務所に服役している人とその家族のための牧師さんや、障害を持った方々のために特に働いている牧師さん等があります。

そういうわけで、私はヒャットラ教会にオフィスを持つものの、ヒャットラ教会の「ために」働いているわけではないのです。そのため、私は牧師さんの交代を「人ごと」的に横目で見ながら、それでも「次に良い人が来てくれますように」と祈らざるを得ないわけです。

で、教会の牧師さんなのですが、同じ牧師さんが同じ教会にずーっといる、ということは普通にあり得ます。ですが、同じ教会に長年勤めていると、どうしても仕事がマンネリ化してきたりして、嫌になってしまうことがあります。結果、仕事がなおざりになってきて新しいアイデアが出なくなったりする弊害もあります。

今回、ヒャットラ教会の主任牧師さんだったシグフスさんは、十五年間務めた後に、教会の事務局でもある監督オフィスの教育部へ移って行きました。彼はまだ若く(四十代始め)なのですが、非常に欲のない、あたりの柔らかい人で一緒に働き易かったので、この移動は残念な思いがしました。まあ、ですが、ちょっと飽きが来てるかなあ、というのは側から見て感じられましたので、彼にとっては良い移動だったのだろうと思います。

移ったのは十二月の初めからで、彼の代わりに、そんなに歳はいっていないのにすでに引退していたシーグルズルさんという方が、臨時牧師代行として来てくれています。歳はまだ62歳とかで、私と大して変わりません。

余談ですが、「まだ若いのに毎日何をしているんですか?」とたずねたところ、「孫が八人いる。その世話だけで十分に忙しいよ」とのこと。さすがアイスランド。

そして、シーグルズルさんが臨時を務めていてくれる間に、次期の主任牧師の選定がなされていたわけです。それがようやく先週結論にいたり、スンナさんという、これもまだ四十代始めの女性が着任することになりました。ちなみにこの人、やたらと背が高いんですよね。

実はヒャットラ教会では、ふたり目の牧師さんが病気のため現在休養中でもあり、ちょっと「誰が牧師なんだー?」感があったのですが、ようやく落ち着いてくれることでしょう。




テントをモチーフにしたデザインのブレイズホルトゥス教会


もうひとつのブレイズホルトゥス教会では、それまでの主任牧師代行の牧師さんが(これも背が高い人)が、家族の事情もありスウェーデンへ引っ越すことになり、新しい牧師代行者がクリスマス後に決定されました。

この教会は、現在行政的な「教区」の見直しの中にあるため牧師さんは「代行」状態になっています。(何が違うのかというと、普通の牧師職は原則五年契約で、それを更新していくのですが、代行だと一年間とか、期間限定の契約になります)

では、主任牧師が変わると、どういう影響があるのか?ということですが、牧師さんは教会の王様ではないとはいえ、相当な部分はやはり牧師さんの考え方や、好き嫌い?に影響されます。

その牧師さんと、以前からいる他のスタッフとの間が良好かどうか?というようなことも、職場の空気に非常に影響します。

私などは、特にどこへ行っても「居候」のようなものなので、牧師さんはもとよりスタッフの皆さんに嫌われないようにしなくてはなりません。台所仕事は手伝ってあげる、集会室の後片付けをきちんとする、日本に帰省すれば手土産を持ってくる等々、ゴマすりは欠かしません。

そうやって築く人間関係ですから、牧師交代となると、やはり気にはなります。幸いに今回は、ヒャットラ教会のスンナさんも、ブレイズホルトゥス教会の代行牧師のマグヌスさんも、まったく知らない仲ではなく、私の仕事にも良い理解を持っていてくれる牧師さんたちなので、その点ではラッキー!という感じですね。

「教会」と聞くと、そこにいるのは皆聖人のような考えをお持ちの方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、それははっきり言って「幻想」です。キリストは「義人ではなく、罪人(つみびと)を招くために私は来た」と言っていますから、教会は「罪人の集まり」です。と、したら牧師は「罪人の親分」たり得ます。

それでも教会が教会たり得るのは、ひとえにキリストの存在があるからなわけです。まあ、牧師さんが交代したことで、改めてこの「罪深い現実」とキリストの有り難さを年頭に思い起こす結果となったということかもしれません。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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