夏の第二十一週を迎える頃になると羊たちの命運を分ける時期がやって来ます。夏の第二十一週というのはSumar dagurinn fyrsti(夏の第一日)とされている四月の第四木曜日から数えての週で、毎年大体九月の中旬くらいになります。
この時期になると夏の間のんびりと放牧生活をしていた羊ちゃんたちを集めて持ち主の農家の舎屋へ戻す作業が、村をあげて行われるのです。これは 「リェッティル」Rettirと呼ばれます。
リェッティルは二日から三日かかる大イベントで地域の人は皆協力して働くことになっています。この時期が近づくとその村や町の役場が正式にリェッティルの日付けを発表し、人々は準備を始めるようです。
今年は北部の地域の一部では、すでに八月の末からリェッティルが開始されていました。北部では昨年の九月初めにまさかのゲリラ大雪でまだ放牧中だった羊たちに大損害が出ました。今年も悪天候の可能性が出ていたため早めの「招集」となったわけです。
夏期の間羊ちゃんたちは文字通りの放任主義のもと、好き勝手に野や丘を歩き回っています。相当広範な地域に拡がって生活しているのです。もちろんここから先はダメ、というフェンスが最後には出てきますが。
この羊たちを追い立てて行くのですから、ある人はジープで、ある人は馬で、そこへ犬たちも加わっての行軍となります。羊は基本的に群れで動くようで、勝手にあちこちへは行かないようです。(聖書の中には九十九匹の羊とはぐれた一匹の羊の譬えがあるのですが、めったにあることではないようで)
そのため追い立てられると、洪水のような勢いで羊ちゃんたちは同じ方向へ走り続けます。羊たちが追い立てられて行く先は、その地域に羊集合用に設けられている広い空き地です。この場所自体のこともリェッティルと呼ばれるようです。
石を積み上げた壁によって仕切られた古いリェッティル
-Myndin er úr Skessuhorn.is-
そうして羊が一匹も残さず集められると「お疲れさまー!」ということでみんなで食べたり飲んだり、大人たちは乾杯したりという楽しい宴が始まります。
フルーナマンナ郡という南部の村の今年のリェッティルの様子がネット新聞のビデオニュースにありましたので、ぜひ見てみてください。言葉はわからないでしょうが、雰囲気は伝わると思います。
フルーナマンナ郡のリェッティルの様子
「このリェッティルに着るように特性のセーターを編んだのよ」という女性もいれば、「ホットチョコレート、コーヒー、それに手焼きのクレーヌル(アイスランドの名物のツウィストしたようなパン)に薄焼きパンを用意したわ」という女性。祭りに通じるものがありますね。
さて羊ちゃんたちなのですが、彼らには身体のどこかは忘れましたが持ち主の農家の焼き印が押されており、それを目印にしてそれぞれの農家へと振り分けられていきます。そして生家へご帰還となります。
しかし、それからが羊たちの沈黙です。
酪農家の方から直接聞いたわけではないので、詳しくはわかりません。が、基本的に来春また子供を産むメス羊たちは生き残り組。オス羊たちはワタシたちのお腹を満たすための道をたどるようです。
もちろん種馬ならぬ種羊も必要でしょうから、全部ではないのでしょうが...
今の時期、既にスーパーの広告などには様々な羊肉が登場しています。シーズンなのです。これについてはまた次回。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
この時期になると夏の間のんびりと放牧生活をしていた羊ちゃんたちを集めて持ち主の農家の舎屋へ戻す作業が、村をあげて行われるのです。これは 「リェッティル」Rettirと呼ばれます。
リェッティルは二日から三日かかる大イベントで地域の人は皆協力して働くことになっています。この時期が近づくとその村や町の役場が正式にリェッティルの日付けを発表し、人々は準備を始めるようです。
今年は北部の地域の一部では、すでに八月の末からリェッティルが開始されていました。北部では昨年の九月初めにまさかのゲリラ大雪でまだ放牧中だった羊たちに大損害が出ました。今年も悪天候の可能性が出ていたため早めの「招集」となったわけです。
夏期の間羊ちゃんたちは文字通りの放任主義のもと、好き勝手に野や丘を歩き回っています。相当広範な地域に拡がって生活しているのです。もちろんここから先はダメ、というフェンスが最後には出てきますが。
この羊たちを追い立てて行くのですから、ある人はジープで、ある人は馬で、そこへ犬たちも加わっての行軍となります。羊は基本的に群れで動くようで、勝手にあちこちへは行かないようです。(聖書の中には九十九匹の羊とはぐれた一匹の羊の譬えがあるのですが、めったにあることではないようで)
そのため追い立てられると、洪水のような勢いで羊ちゃんたちは同じ方向へ走り続けます。羊たちが追い立てられて行く先は、その地域に羊集合用に設けられている広い空き地です。この場所自体のこともリェッティルと呼ばれるようです。
石を積み上げた壁によって仕切られた古いリェッティル
-Myndin er úr Skessuhorn.is-
そうして羊が一匹も残さず集められると「お疲れさまー!」ということでみんなで食べたり飲んだり、大人たちは乾杯したりという楽しい宴が始まります。
フルーナマンナ郡という南部の村の今年のリェッティルの様子がネット新聞のビデオニュースにありましたので、ぜひ見てみてください。言葉はわからないでしょうが、雰囲気は伝わると思います。
フルーナマンナ郡のリェッティルの様子
「このリェッティルに着るように特性のセーターを編んだのよ」という女性もいれば、「ホットチョコレート、コーヒー、それに手焼きのクレーヌル(アイスランドの名物のツウィストしたようなパン)に薄焼きパンを用意したわ」という女性。祭りに通じるものがありますね。
さて羊ちゃんたちなのですが、彼らには身体のどこかは忘れましたが持ち主の農家の焼き印が押されており、それを目印にしてそれぞれの農家へと振り分けられていきます。そして生家へご帰還となります。
しかし、それからが羊たちの沈黙です。
酪農家の方から直接聞いたわけではないので、詳しくはわかりません。が、基本的に来春また子供を産むメス羊たちは生き残り組。オス羊たちはワタシたちのお腹を満たすための道をたどるようです。
もちろん種馬ならぬ種羊も必要でしょうから、全部ではないのでしょうが...
今の時期、既にスーパーの広告などには様々な羊肉が登場しています。シーズンなのです。これについてはまた次回。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
このイベント、リェッティルと言うのですね。前アイスランドにワークキャンプで滞在したときちょうど9月だったので、仲間に誘われて何も知らず参加したのですが、Tomaさんのこの記事でいろいろな事情がわかりました!
羊をつかまえるのは面白かったですし、地元の子どもたちが嬉々として参加していたのが印象的でした。私が参加したのはEgilsstaðirの近くでしたが、確か羊の耳にタグがついていて、そこに各農家の番号が書いてありました。
アイスランドのラム肉、感動的な美味しさだったことが今でも忘れられません。ああ、また食べたい…
コメントをありがとうございます。m(_ _)m
そうなんですか?羊集めに参加されたことがあるんですね!すごいです。ワタシなんざニュースで見るだけですから。(恥)
羊のことを考えるとちょっと複雑な気持ちになります。すごく自然な風景の一部なんですけど、同時に食肉なんでよね...
その間の一部に触れる必要がない立場なので知らんぷりしていますが。もっとも他のチキンやブタさんやモーさんに関しても同じでしょうが。