レイが、ぷりぷり怒りながら歩いていると、屋根の上でのんびりと日向ぼっこをしている1匹のネコに出会いました。白い毛に4本の足先としっぽの先だけにグレーの毛の生えているネコ。タビです。
レイは、日向ぼっこをしているタビの前を、ちょっと大袈裟に自慢の毛をなびかせながら横切ってみました。タビをうっとりとさせて、少しでも気分を晴らそうと思ったのでした。しかし、タビはうっとりするどころか、大きなあくびをひとつしただけでした。
レイは、頭にきてタビに言いました。
「レディーの前で、そんなに大きな口を開けてあくびをするなんて失礼じゃないの。ねえ、あなたは私のこの素敵な長い毛を見ても何とも思わないの?」
「ごめん、ごめん。君の長い毛ねえ、うん、素敵だと思うよ」
「ずいぶんと素っ気無い言い方ね。他のネコはみんな私に好かれたくて仕方ないのに、あなたは全然私に魅力を感じていないようね」
「そんなこともないけど…」
「まあ、いいわ。気のない振りをして私の気を引こうたってそうはいかないからね」
レイは、そういう言うと、自慢の長い毛をゆっさゆっさと揺らしながら、来たときよりも一層、ぷりぷりと怒って去っていきました。
タビは、そんなレイの後ろ姿を、呆れたような目で眺めていました。
しばらくすると、今度はタビの前をミーが横切ろうとしました。ミーもやっぱり、レイのようぷりぷりと怒っています。
「どうしたんだい。そんなに怒って…」
今度は、タビの方から声をかけました。ミーは、タビの優し気な声に、思わず「レイが…」と話そうとしましたが、言葉を止めてしまいました。何だか、話をすると、自分がレイにやきもちを焼いていることを知られてしまいそうな気がしたのです。ミーは、自分がレイにやきもちを焼いていることは、とても恥ずかしいことだと思っていたので、だれにも知られたくはありませんでした。
「別に何でもない。あなたには関係ないことだわ」
結局、ミーはこう言って、小走りにその場を去ってしまいました。
タビは黙って、ミーの後ろ姿を心配そうに眺めていました。
(つづく)
レイは、日向ぼっこをしているタビの前を、ちょっと大袈裟に自慢の毛をなびかせながら横切ってみました。タビをうっとりとさせて、少しでも気分を晴らそうと思ったのでした。しかし、タビはうっとりするどころか、大きなあくびをひとつしただけでした。
レイは、頭にきてタビに言いました。
「レディーの前で、そんなに大きな口を開けてあくびをするなんて失礼じゃないの。ねえ、あなたは私のこの素敵な長い毛を見ても何とも思わないの?」
「ごめん、ごめん。君の長い毛ねえ、うん、素敵だと思うよ」
「ずいぶんと素っ気無い言い方ね。他のネコはみんな私に好かれたくて仕方ないのに、あなたは全然私に魅力を感じていないようね」
「そんなこともないけど…」
「まあ、いいわ。気のない振りをして私の気を引こうたってそうはいかないからね」
レイは、そういう言うと、自慢の長い毛をゆっさゆっさと揺らしながら、来たときよりも一層、ぷりぷりと怒って去っていきました。
タビは、そんなレイの後ろ姿を、呆れたような目で眺めていました。
しばらくすると、今度はタビの前をミーが横切ろうとしました。ミーもやっぱり、レイのようぷりぷりと怒っています。
「どうしたんだい。そんなに怒って…」
今度は、タビの方から声をかけました。ミーは、タビの優し気な声に、思わず「レイが…」と話そうとしましたが、言葉を止めてしまいました。何だか、話をすると、自分がレイにやきもちを焼いていることを知られてしまいそうな気がしたのです。ミーは、自分がレイにやきもちを焼いていることは、とても恥ずかしいことだと思っていたので、だれにも知られたくはありませんでした。
「別に何でもない。あなたには関係ないことだわ」
結局、ミーはこう言って、小走りにその場を去ってしまいました。
タビは黙って、ミーの後ろ姿を心配そうに眺めていました。
(つづく)