大きなビルの小さな隙間に、ミミとチチというキジ柄の兄弟猫が住んでいました。
ミミがお兄さん、チチが弟。2匹はとっても仲良しです。
ある日、弟のチチが病気になってしまいました。
ミミは、心配して一所懸命に看病をしました。
しかし、ミミの病気は一向によくなる気配がありません。
「チチ、大丈夫?」
「ありがとう、ミミ兄さん。僕は、もうここにはいられそうもない。もうすぐ、行かなくちゃならないんだ」
「行くって…。病気なのに、どこに行くんだよ?」
「兄さんにも、いつかわかるときが来るよ」
チチはそんな言葉を残し、本当にいなくなってしまいました。
ミミは、チチの帰りを待っていましたが、その日はとうとう帰ってきませんでした。
翌日も、その翌日も帰ってきません。
「チチは、どこに行ったんだろう?」
途方にくれたミミは、長老猫のフーに相談しました。
「人間たちは、木曾の御岳や遠州森の秋葉神社に修行に行くなどというが、猫は誰にも見られない場所で死んでいくんだよ」
「じゃあ、長老はチチが死んだっていうの?」
「残念だけどな…」
「ウソだ! チチが死ぬはずない!」
ミミは、そういうと怒って走り去りました。
ミミには、チチの死が受け入れられませんでした。
寂しくなって、ビルの谷間から見える月に向かって「にゃーん」と鳴いてみましたが、だれも来てくれません。
ミミは、どうしてもチチに会いたいと思いました。
(つづく)
ミミがお兄さん、チチが弟。2匹はとっても仲良しです。
ある日、弟のチチが病気になってしまいました。
ミミは、心配して一所懸命に看病をしました。
しかし、ミミの病気は一向によくなる気配がありません。
「チチ、大丈夫?」
「ありがとう、ミミ兄さん。僕は、もうここにはいられそうもない。もうすぐ、行かなくちゃならないんだ」
「行くって…。病気なのに、どこに行くんだよ?」
「兄さんにも、いつかわかるときが来るよ」
チチはそんな言葉を残し、本当にいなくなってしまいました。
ミミは、チチの帰りを待っていましたが、その日はとうとう帰ってきませんでした。
翌日も、その翌日も帰ってきません。
「チチは、どこに行ったんだろう?」
途方にくれたミミは、長老猫のフーに相談しました。
「人間たちは、木曾の御岳や遠州森の秋葉神社に修行に行くなどというが、猫は誰にも見られない場所で死んでいくんだよ」
「じゃあ、長老はチチが死んだっていうの?」
「残念だけどな…」
「ウソだ! チチが死ぬはずない!」
ミミは、そういうと怒って走り去りました。
ミミには、チチの死が受け入れられませんでした。
寂しくなって、ビルの谷間から見える月に向かって「にゃーん」と鳴いてみましたが、だれも来てくれません。
ミミは、どうしてもチチに会いたいと思いました。
(つづく)